第二百八十六話 中級ダンジョン 不可解な解析結果
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「うーん、まあこんなもんかって感じかな」
「中級ダンジョンって言っても戦力差がありすぎちゃったわね。中級ダンジョンともあればもっとへんてこなギミックがあちこちにあると思っていたのだけれど、いくらなんでもこの戦力差を埋める物はなかったと言った感じかしら?」
「……それでいいと思う。正直今の私達では取るに足らない」
結局勝負を決めようと思ったら一瞬だった。
デーモンベビーの配下を召喚し、前衛に立たせ時間を稼ぎ、状態異常である睡眠状態にしたうえで相手を袋叩きにする。戦術としては筋が通っているし、間違ってもいない。
問題があるとするならば睡眠状態を完全に防げる敵に対しての対策が無かったところくらいだろう。そこら辺があるならばこれ以上の戦闘は無意味として倒しにはかからなかった。
「ほいじゃまあちょっとこいつらのステータスを改めて見て見ましょうかね」
「まあアナライズカメラで撮影された情報がすでに出回ってるからあんまり意味はなさそうだけどね」
「まあまあ、見るだけタダってもんだろ」
「まあ好きにすればいいと思うわ。どうせ今となってはアナライズ一回に掛かる魔法力なんて大したものじゃないんだし」
「……手短にね」
「わーったよ、そんじゃま、とう!」
昨今中級ダンジョンの魔物の情報と言うのはすでに勇気ある先駆者達の手によってあらかた共有されている。無論このダンジョンのデーモンベビーも例外ではない。情報は出回っており、秋彦達もすでに相手の情報は承知の上で戦った。
それでも実際に戦ってみれば手応えも変わるかもしれなかったから時間をかけて戦ったが、出回っている以上の情報は得られなかったので、途中で切り上げ倒したのだが。
だがそれでも秋彦は何となくデーモンベビーをアナライズしてみたくなったのだ。この辺りの感覚は最早直感と言うべき代物である。
名前:デーモンベビー
レベル35
肉体力:500
魔法力:7,000
戦闘力:9,375
有利属性:闇、炎
不利属性:光、水
使用魔法属性:闇Lv20、炎Lv20
スキル
ガラガラアタック:(【モンスタースキル】【アクティブ】手に持っているガラガラで相手を殴りつける。攻撃が命中したら一定確率で相手を睡眠状態にすることがある)
ガラガラ催眠音:(【モンスタースキル】【アクティブ】手に持っているガラガラを一定の周期で鳴らす事で聞いている相手を眠たくさせ、状態異常、睡眠を付与する。このスキルは鳴らすことを止めさせない限り効果が累積し、スキル発動時間に比例して睡眠付与確率が上昇する)
癇癪を起こす:(【モンスタースキル】【アクティブ】泣きながら大暴れする。魔法力を泣き声に乗せて広範囲の風属性物理攻撃として攻撃を行う。この攻撃は状態異常、睡眠になっているものが食らうとダメージが大幅に上昇する)
遊ぶ:(【モンスタースキル】【アクティブ】呼び出した仲間を呼んで遊ぶ。遊ぶことで肉体力を回復したり魔法力を回復したり、自分自身を強化したりと様々ながら、基本的に何が起こるかは本人にもわからない)
ねむねむフィールド:(【モンスタースキル】【パッシブ】この魔物が戦闘の場にいるとなぜか眠たくなってくる。状態異常、睡眠の付与成功率が上昇する)
ねむねむ羊がぴょん!:(【モンスタースキル】【チームスキル】【パッシブ】このスキルはデーモンベビーのダメージが深刻な状態であり、仲間呼びで呼んだ仲間が全員生存している時に使うことが出来る。デーモンベビーとその仲間たちが全員でお遊戯会の様な物を始める。お遊戯会が開催されている間は戦闘行動を行う事は出来ず、ただ見入ってしまう上に、最後まで見ると睡眠に対して完全耐性のない者は絶対に状態異常、睡眠になる)
擬態:(【モンスタースキル】【パッシブ】戦闘以外の場面では人間から攻撃の対象とされない。戦闘準備を整え切った後に効果が消える)
仲間呼び(幼)Lv8:(【モンスタースキル】【アクティブ】同種の自分以下の戦闘力の魔物を呼び、戦いに加勢させる。この魔物は悪魔族の中でも己の遊び相手になる魔物を呼び出す)
人間の赤ん坊の様に見えるように擬態した悪魔の幼体。
戦闘形態になっていない状態では、それこそ人間の赤ん坊と区別がつかない物の、戦闘態勢に入れば、たちまち悪魔としての本性を大いに表すだろう。
幼体ながら魔法の多彩さには目を引くものがあるが、真に恐るべきは状態異常、睡眠を中心に立ち回る一貫性のある戦法だ。
この悪魔の前で寝る事は、そのまま永眠へと誘われてしまう事に繋がるだろう。
「ふむ、やっぱり前情報と大差はないみたいだね」
「私としては、ねむねむ羊がぴょん! は正直見て見たかった気もするけど」
「……お遊戯会、確かにちょっと見て見たかった」
妙な所で話が盛り上がってしまっているが、秋彦はデーモンベビーから出てきた情報を鬼のような形相で見つめている。
「秋彦? どうしたのそんな怖い顔をして」
「いや、この隙間、アナライズでも出来るんだなぁって思ってさ」
言われてみてジュディも理解した。
このアナライズの説明、不自然に空白がある。説明項目的にはねむねむ羊がぴょんと擬態のスキル説明の間に不自然な空欄がある。
当初はこの空欄、アナライズカメラの表示ズレか何かと思われていた。だがこうして秋彦のアナライズにまで同じようなずれがあると言う事は何かそこに意図があるように思える。
そしてこれも秋彦がスキルで鍛えた直感がささやくのだが、これこそがこのダンジョンにおいて重要な要素を担っているように思える。
そこまで考えた時に、秋彦には一つの可能性が思い当たった。その可能性を確かめるために仲間たちに一つ声を掛ける。
「悪いんだが……こいつらともう一回戦闘だ。今度はちょいとばかし考えがあるんだ。間違いであればいいんだが……」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
しかしここで皆様に残念なお知らせがございます。
何とこの話で書き溜めが尽きました。しばらくは安定的な話の供給は難しくなってしまいます。
次の話もなるべき早く書けるようには致しますが、しばらく不定期での更新となることをお許しください。
次の更新は未定となります。
未定とは言え、更新しないと言う話ではありませんので、どうぞよろしくお願いします