第二百八十二話 中級ダンジョン 4人のレインボーウィザーズ
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「じゃあ今日のところはこんなもんだな。もう今見せられる物はねーぞ」
秋彦がそういうと場の空気が緩みだす。
「了解、じゃあ今日のところはこれで解散ね。明日どうする? さっそく挑んでみる?」
「俺は早速装備を試してもらいたいけど、他は? 流石にこの人数で同じダンジョン突っ込むわけにはいかねーけど?」
「そうだな……俺たちはすでにどんな状態異常を喰らわせてくる魔物がいるかの情報が割れてるダンジョン行って、まずは中級ダンジョンの敵とどれだけやり合えるかを試しに行ってみるわ」
「私達もそうするよ、あたしらはしばらくカメラマンと一緒にダンジョン潜ってテレビ用に絵を提供しなきゃいけないから、レインボーウィザーズとはしばらくお別れだね」
興奮し気味に意気込む笑屋とさらりとレインボーウィザーズから一時離脱を宣言する桃子。
ぎょっとする笑屋と違ってあっけらかんとしている桃子以外のレインボーウィザーズの4人。
「あ、そっか。もういい加減ダンジョンに潜るのも別になっちまうのか」
「ちょっと寂しい気もするけど、モモちゃんの本業だからね、しょうがないか」
「まあ完全にチームから離れる訳じゃなくて、最近できた【クラン制度】みたいな感じだから。あたしはこれからも皆の仲間だからね!」
「ああ、クラン制度ね。確かに似てるかも」
言われて秋彦達は最近できた制度の事を思い出す。
クラン制度、それは昨今増えていく探索者達の、いわば暖簾分け制度と言ったところか。昨今探索者人口はずいぶん大きく広がりつつもまだまだ右も左もわからないひよっこ達が大半を占めている状況だ。まだまだ初級ダンジョンを踏破した探索者は少数派であり、増して特殊ダンジョンや中級に挑めるほどの存在など、それこそ地方都市奪還作戦に参加した探索者達以外にはまずいない。
一言でいえば指導力、そしてチームを支えるカリスマたちが圧倒的に不在の状況だったのだ。
ギルドはこの状況を何とか変えるべく、とある着眼点から生まれた制度がこのクラン制度である。
曰く「今のゴールドランク探索者が一つのチームの探索者チームのリーダーを務めればいいのではないか」である。
一人の実力者がチームを構築し、さらに多くの探索者チームを構築する。そうすれば経験者のノウハウを多く持つ者がチームリーダーとして経験の浅い者に指示を出し経験を積み、やがて経験の浅い者達にも相応の経験を積むことが出来る。
そういうコンセプトで生み出されたクラン制度はゴールドランク探索者がブロンズランクの探索者を率いて新たに探索者チームを結成する際に、元のゴールドランク探索者としても活動できるように支援する制度である。ゴールドランク探索者チームの下部チームを率いる制度とでもいうべきか。
実際その効果はなかなか目を見張るものがある。
元々ゴールドランク探索者にまでなる者には自分達が日本を守らねばならぬと言う使命感、或いは自己顕示欲から来るものが多い。
そういった人々に対し、前者は一人でも多くの優秀な探索者を自分の手で育てる喜びを、後者には自分がチームのリーダーとして頂点に立てる愉悦を与えており、元あったゴールドランク探索者チームは大体がクラン制度を利用し、下部チームを率いている。
尤も、中には気まぐれに探索者の修行を付けていたり、中級ダンジョンが世に現れる間の暇つぶしとして率いているケースもあったりはするのだが。
現状的にはクラン制度はレインボーウィザーズとビューティフルドリーマーの関係と言えるだろう。秋彦達が作ったレインボーウィザーズ、その一員である桃子がリーダーとしてチームを生み出し率いているビューティフルドリーマー、まさにそのままである。
「しばらくは別行動とはいえ、あたしのこと忘れないでねー?」
「アホか、お前が忘れようと思って忘れられるような奴なもんか、いやでも頭から離れねーよ」
「言えてる」
「ちょ、優までそんなこと言うの?!」
秋彦に乗るかのように大きく頷く優太に思わず桃子が突っ込みを入れる。
「……日頃の行いって大事」
「ごめんなさいねモモ。擁護できないわ」
「二人まで!」
どっと笑いに包まれる秋彦の工房。中級ダンジョン最初のダンジョンアタックは目の前である。
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