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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
ダンジョンに適応する日本
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第二百七十八話 中級ダンジョン 禍々しい材料

累計PV数486万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「改めて始めるか。レシピ本返してくれ」

「あ、はいこれ」

「サンキュ、えーっと、じゃあまずは材料の確認だな……」


 秋彦は笑屋から受け取ったレシピ本を広げ、宝箱から取り出した素材を作業台に広げる。


「まずは【焼死体の怨呪骨】に【水死体の怨呪骨】だろ、【感電死体の怨呪骨】に【風化した怨呪骨】、それに【恨みの糸】に俺の血に、【悲しみの水泡】に暗黒の炎……よし、全部あるな。じゃあ」

「待った待った何よそのいろいろ突っ込みどころの多い素材の山は?!」


 素材を確認して、ヨシ! と指を差した所で奏から突っ込みが入った。


「何って、何だよ、なんかおかしい所あるか?」

「まずその呪骨関連がすでにおかしくない!? 何焼死体の怨呪骨とかって?! てか材料の中に秋彦の血があるの?!」

「あのさー……解説欲しいなら後にしてくんない? ちょっと集中したいんだよ」

「う、ご、ごめん……」


 折角の仕事の前に水を差されてむっとしてしまったことが態度に出てしまったのか奏がしゅんとしてしまった。

 髪をかき上げ声を少し荒げてしまっただけなのだが。身内とはいえ少々刺激が強すぎたのかもしれない、と、秋彦少し反省。


「いやいや、そんな落ち込むなって……後で解説欲しいならしてやっからさ、今は質問の内容考えながら見守っててくれよ」

「わ、分かった……」


 ばつが悪そうに頭を掻く秋彦に大人しく引き下がる奏。

 鼻でため息をついて改めて材料の素材と向き合う秋彦。まずは作業台にあるビーカーを手に取り、そこに焼死体の怨呪骨を始めとした怨呪骨系の素材を入れていく。

 怨呪骨系の素材は、大きさ的には人差し指一本分位の大きさしかないが材料的には十分な量だ。それをそっとビーカーの外側に立てかけるように一つづつおいていく。慎重にである。

 そして四種類の素材をすべてビーカーに入れたら、そのビーカーに献血の際に血の成分を調べるために採る採血程度の大きさの真空採血管に収められた秋彦の血をビーカーにぶち込んでいく。

 まさにぶち込むと言う表現がふさわしい位に盛大にビーカーの中に入れていく。さっきまでの慎重っぷりはどこへ行ったのかと言わざるを得ない位に雑に封を切り、そのままかなりの量を入れていく。ドバドバと血をビーカーに入れていく、流石に輸血パック一つ分には及ばないとはいえなかなかショッキングな内容だ。

 ビューティフルドリーマーの面々は悲鳴に近い声を上げていた。

 それを意に介さずに、都合真空採血管六本分程度ビーカーに入れた所で秋彦の手が止まる。


「よしよし、このまま十分ちょい待つぜ、で? まっつんは何が聞きてーんだ?」

「え、あ、うん」


 作業がまず第一段階を過ぎたあたりで秋彦は奏に話を振る。


「えっとね、じゃあまず、あの焼死体の怨呪骨って何なの? あたし達結構探索者としてダンジョン潜ってるけど聞いたことないんだけど」

「そういやお前らのパーティーは物理攻撃がメインだったっけな。なら知らなくてもまあ無理はねーかもな」

「どういうことですか?」


 ビューティフルドリーマーのメンバーも喰いついてきた。

 自分が知っていて相手が知らない情報を話す愉悦に浸りながらも、出来るだけ得意げにならないように秋彦はゆっくり語る。


「ああいう怨呪骨系の素材はな。アンデッド系の魔物を炎、水、風、土の各属性の状態異常にした状態で倒すとまれに骨の一部がそれぞれの怨呪骨になっている時があるんだ」

「そうなのですか? でも私達魔法の攻撃で倒していたりもするけど解体の際に見た事ないですよ?」

「そらそうだ。それなりに相手も強くないといけないしたとえそれで倒したとしても一定の確率で得られるもんだしな。仮に手に入っても知識が無きゃ見逃しちまう可能性もあるしで、市場やオークションサイトでも今なかなか手に入らない逸品なんだわ」


 そういって秋彦は宝箱を睨むように見つめる。


「ただ……そう考えるとやっぱり明らかに少なくなってたよなぁ……」

「ん? どうしたの?」


 睨む秋彦に優太が声を掛ける。秋彦は表情が険しくなっていることを自覚して、努めて普段通りに話をする。


「ああ、いやさ、さっき材料が足らねーって話したじゃん?」

「うんうん」

「怨呪骨系の素材が少なくなってたの、やっぱり違和感あるんだよなぁ……こんなに少なくなかったはずなんだけど」


 頭を掻いて違和感の内容を吐き出す。

 そもそもこの骨系素材、元々いつか加工しようと思ってたまたまオークションサイトに競売に掛けられていたところを一気に買い上げたのだが、最低でもそれぞれの素材が十個以上はあったはずなのに、それがこんなに一気になくなっていると言うのは違和感がある。


「おかしいなぁって、おもうのさ」

「えー、まさかアッキー、【探索者空き巣】にあってたりとかしない?」

「う……探索者空き巣、まさか入られてるのか……?」


 探索者空き巣、昨今探索者に対する落伍者達に対する被害の中でも比較的大きい位に被害が出ている犯罪である。探索者の家に空き巣として入り込み、探索の成果物を盗み出す悪党である。

 通常の物よりも高い相場で素材が売れることもあり後を絶たない物である。

 勿論通常探索者達はそれぞれの方法で素材などを盗まれないように対策をしているが、この探索者空き巣はそれをかいくぐり物品を盗んでいく。

 この作業場にある道具なども盗まれた可能性が出てきたと言えるだろう。


「この作業部屋も結構気を遣ってるんだけどな、バリアとかも貼ってるし……」

「今時そんなのじゃ甘いかもよ?」

「う……やばい、何か不安になってきた。被害届とか出しといた方がイイかな……?」

「被害届出すにしても物の確認もしなきゃいけませんしね、その辺はまた後でいいかもしれません」

「おお、そうだな……」


 すっかり場が暗くなってしまった。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は3月27日午前0時予定です。

よろしくお願いします

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[一言] もしかして……また"アイツ,,が素材食べてる?
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