第二百七十六話 中級ダンジョン 状態異常
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「ああいや、俺らはちょっと準備したいかな」
ジュディの参戦宣言をさえぎっての足踏み宣言はレインボーウィザーズをざわつかせた。
「秋彦?!」
「え、すぐにいかないの……?」
優太もそうだが、ジュディは秋彦が自分の言葉を遮ったことにも驚いた。だがそれ以上に驚いたのは、秋彦のことここに至って、さらに足踏みをしようと言う発言である。
普段の秋彦ならこういう時はジュディが言うまでもなく我先に行こうとしたはずだ。それが自ら行くと言わないばかりか足踏みをすると言う宣言までしてきたのだ。
これにはさすがにジュディどころか、秋彦の親友にして十年以上付き合いのある優太でさえ困惑していた。
「ああ、レインボーウィザーズは付き合わせちまってわりぃんだが、中級ダンジョンに行くのは待ってくれ」
「い、いや、それは別にいいんだけどさ……」
「……どうして?」
優太と茜も困惑気味だ。
だが秋彦には何か考えがあることは表情から見て取れる。
「ああ、ちょっとな、準備がいるって思ったのさ」
「準備? 何の?」
「そんなの状態異常に対する対策に決まってんじゃん。集めた情報によると状態異常に陥った相手を集中砲火する敵がいるんだろ? しかも集中砲火を受けた探索者はほぼ死ぬかギリギリってレベルって話じゃん? だったら状態異常に対してそれなりに対策しておいた方がイイじゃん?」
「それは……そうだけどさ」
秋彦の言い分は一理ある。ダンジョン内は状態異常を付与する魔物がおり、更に状態異常に陥った探索者を集中攻撃する魔物の存在が確認できる以上、状態異常そのものに対して耐性を得ようという思考は当然と言えるだろう。
「でも俺らも散々レア掘りしてても、状態異常を無効化する装飾品って一つだけならまだしも二つ以上の状態異常無効を付与するのなんてそうそうめったに見かけるもんじゃねーぜ? それなのに対策って、どんな対策があるってーのさ?」
「ん~……それに関してはちょっとばっかし心当たりあるのさ。確定じゃねーけどな」
この衝撃発言にはモンスターキラーズとビューティフルドリーマーだけでなく、その場で聞き耳を立てていた探索者全員が驚いた。
笑屋が言っていた通り、今現在状態異常を無効化する装飾品というものは、一つに付き一つの状態異常の無効化が常識である。二つ以上の状態異常無効を付与する装飾品は今のところない。
まして一つのアクセサリーで複数個の状態異常から身を守るアクセサリーなんて前代未聞である。
だが秋彦はそんな幻、或いは与太話の様な代物に対して「心当たりがある」と言ったのである。モンスターキラーズとビューティフルドリーマーだけでなくその場で聞き耳を立てていた探索者全員が驚くのも無理はないと言う物である。
「え、ちょ、マジすか?!」
「あーまあな。つっても石橋渡る様なことではあるんだけど。普通だったら状態異常某なんて装備を付け替えればいいってだけだろ? それに対して全状態異常無効レベルの物を作るって、そこまでする必要あるかなって気はあるんだわ。でも中級って難易度を考えるとちょっと不安がぬぐえねーっていうか」
「全状態異常無効?! そんな装飾品あるの!?」
周りがさらにざわつく。
状態異常を無効化する装飾品は、一つに付き一つの状態異常の無効化が常識という通念を簡単にぶち壊すような発言である。
「え……あれ、今俺そんなこと言った?」
「秋彦……貴方は本当に隠し事や腹芸が出来ない人ね……」
流石のジュディも頭を抱えざるを得なかった。こんなとんでもない情報を、うっかりどころか無意識に開示していくなんてことをやられると、流石にどうすればいいのか対処に困るというものである。
「え、えっと、とりあえず俺ちょっと用事を思い出したから帰るわ」
「そんな雑な言い訳で逃がすと思ってんの?」
その場から席を立とうとした秋彦の肩を真崎が掴む。表情は笑顔ではある物の肩をつかむ握力はかなり強めだ。
「オイコラ秋彦、とりあえずこれ以上話すと外野が五月蠅そうだからちょっと落ち着いて話せるところに行こうぜ? な?」
「あ、あの真崎さん口調が」
「ど う で も い い ん だ よ。おらさっさと好きな所テレポテーションしろやコラ。話聞くまで家に帰すと思うなよ、ああ?」
「……はい」
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