第二百六十三話 北沢さん家の特殊ダンジョン その後
累計PV数455万突破、評価者数720人突破、総合評価15,000突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「はぁぁぁぁぁぁああああああ! 燃え尽きろケダモノ共!! 畑に手出しはさせないぞ!!!」
「おーおー、ずいぶん派手にやりなさる」
轟音と共に敵を焼き尽くす優太。雄叫びと共に戦闘を繰り返す優太には、いつもの様な柔和な笑顔はなかった。
ここは再びの北沢さんの特殊ダンジョン。ただいま絶賛優太が2Wave目の動物相手に広範囲の炎魔法で徹底的に一掃している。
正直これなら付き添いで来る必要もなかったとさえ秋彦は思えた。いくら優太は秋彦よりも魔法の扱いに優れていると言ってもまさか2Wave目だと言うのにまだ一匹も魔物が畑に到達できていない程に力量差が出るとは思わなかった。
目が七色に輝いていることから、接続者とか言うよくわからない所から力を引っ張ってくる事が出来る事も相まって今優太は作物に被害を与えないようにうまく制御をしたうえでガンガン広範囲に絨毯爆撃を繰り返していた。
以前からそうだが優太はどうも瞳が七色に光っている間は妙にハイテンションと言うか攻撃的になる印象が出来てしまった。
本人も「なんかよくわからないけど妙に気分が高揚して、ハイテンションになる」とは言っていたが、あの、本人曰く【接続中】の状態は本当に大丈夫なのだろうか?
「よーし! 敵の殲滅完了! お楽しみのご褒美3Wave目に突入だ!」
「ん、確かにもう敵はいねーみたいだな。だがもうちょい緊張感は持とうな?」
声高らかに敵の殲滅を宣言する優太。
確かに秋彦の感知技能をもってしても魔物は殲滅されたと言っていいだろう。秋彦の極め切った感知範囲内でも生きている魔物はもういなかった。
秋彦の思った通りこの特殊ダンジョンは優太にとって非常に相性がいいダンジョンだったようだ。
範囲魔法を以って畑に入らせなければこのダンジョンならどうとでもなる。その読みは見事当たったと言えるだろう。
実際に現在範囲魔法が強い炎魔法の資質が強い優太の攻撃によって畑には一切被害が発生しておらず、秋彦の突入時の頃よりも余程被害が少ないと言う物である。
ここまでくると個人個人の相性と言うのは無視できない。広範囲魔法による範囲殲滅が得意な優太にいかに強大であろうとも一対一の戦いならば勝ちの目を見つけられる秋彦。ここのダンジョンの中では優太の方が圧倒的に有利であったと言うだけである。
「さーてお楽しみのボーナスタイムだぜ。たっぷり狩っていこうぜ」
「もっちろん! そのために来たんだもんね!」
………………………………
「いやー、狩った狩った! トマトにキャベツ、レタスにリンゴ、メロンやスイカまであるよ、節操ないなー!」
「だな。前俺がここに来たときは数も質も大したことなかったけど、親友がいりゃあ畑無傷だったせいか魔物どもの量も質もかなり強かったな。まあ太古農家装備の前にはないも同然なんだけど」
野菜魔物を狩りつくし、やってきたDPを獲得できる場所。
野菜を回収し終えた二人はDPを手に入れるべくダンジョンウォッチを台座にかざす。
まずはでかでかとcongratulations! の文字。もはや見慣れた光景である。
次にresultと出て、今回のダンジョンの戦歴が出てきた。
特殊ダンジョン制覇……………………特殊ダンジョンを制覇した。
アナライザー(特殊)…………………特殊ボスの弱点を突いた。
サクサク攻略(特殊)…………………特殊ダンジョンを効率のいい階層攻略を行った。
燃やし尽くす者(特殊)………………ダンジョン内で炎魔法しか使わなかった。
プラントキラー…………………………植物魔物に植物属性特攻ダメージを与えた。
今回は少々リザルトとしてはさみしいが、人類史上初シリーズもなければフィジカルトレーナーや魔法の修練者の様な一定数の肉体力、魔法力の上昇ボーナスもなければ割とこのようなものだろう。
そしていつものように説明文が消え、代わりに数字が出てくる。
特殊ダンジョン制覇……………………5万DP
アナライザー(特殊)…………………2万DP
サクサク攻略(特殊)…………………1万DP
燃やし尽くす者(特殊)………………5万DP
プラントキラー…………………………2万DP
TOTAL 150,000DP
「おおー!! これってなかなか高いんじゃないの!?」
「おう、俺の時よりもだいぶ高いな。正直かなりの大盤振る舞いだと思うぞ」
15万DP。これは普通に考えれば驚くほどに高いDPの量だ。80万近く持っている秋彦でもかなりの量であると思う。
正直大盤振る舞いすぎるかとも思うが、こんなことは接続者としての力を行使し、半ば無尽蔵に魔法力をどこかから引っ張って来れる優太だから楽勝で済むが、普通だったら戦闘力の大半を担う装備を植物属性の魔物以外には全く通用しない、ゴミの様な装備に無理やり変えられたら1Wave目はともかく2Wave目では即終戦である。
恐らく大半の探索者が一も二もなく負けて死んでいるだろうし、ゴールドランク探索者であっても炎属性の魔法力が先行しているタイプの魔術師で固めたりという一工夫を強要されるだろう。通常の手段では到底手に入れる事は出来ないこのDP15万は通常の探索者にとっては果てしなく遠いDPなのである。
「よし、じゃあ最後におっちゃんとこ行くか」
「うん!」
………………………………
「おかえり二人とも! で、野菜はどうだった?!」
「この通りガッポガッポよ! やっぱ親友はすげーぜ!」
「キャベツとレタス、トマトときゅうり、ピーマンとニラにニンニクはこちらですべて頂きたいです。それ以外の物から3割になるようにお取りください」
「了解! とは言ってもそこら辺はなかなか品薄だからぜひとも欲しい物ではあるんだけどね……需要が多いってことだし」
「だめだよ! この野菜は家の店で使うんだからね!」
「分かってるってば。赤龍さんは俺らにとってもなじみ深いしね。いつも美味しく食べさせてもらってますとも」
軽口を叩きながら野菜の選別を行う北沢さん。現在買い取る野菜の見極めと値付けに必死になっている。
結局この【仲町商店街八百屋の北沢倉庫のダンジョン】は最終的に手に入れたドロップアイテムの3割を店に売ることで探索者に入場料無料で出入りすることを許可したらしい。
一般的な相場としては正しい選択をした様だ。
ちなみに昨今の相場としては、売り渡しを要求される量が2割なら探索者にとっては喜ぶべき数値であり、4割であれば足元を見ていると捉えられるのが一般的である。3割は実に中立的な量として認識される。探索者の理としてもダンジョンを保有する側の理としてもフィフティーフィフティーの利益になると言えるだろう。
それでもダンジョンを保有していない人たちとは得られる利益は比べ物にならない差があるのだが。
「じゃあ今回はこんなもんでどうだい?」
「了解です! まあこっちは欲しい野菜以外は引き取ってもらっても構わない位に思っていますんで!」
「おー! 嬉しいね優ちゃん! また何かあったらよろしくね!」
そうして秋彦達の特殊ダンジョン攻略は終了した。
その後、この仲町商店街八百屋の北沢倉庫のダンジョンはまだ珍しい野菜型の魔物とドロップアイテムを目当てに探索者が多く集まることになる名物スポットになるのであった。
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次回の投稿は2021年2月10日午前0時予定です。
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