第二百五十八話 南雲さん家のバグダンジョン、テレビ放送!
累計PV数437万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「はい、それじゃあ皆さん気を付けてくださいね。カメラに捕らえられるかはわかりませんが、気を付けて」
そうしてついにレインボーウィザーズと撮影班は南雲さん家のバグダンジョンへ潜入するのであった。
ダンジョン内にては一切の光が刺さない暗黒空間と化した世界。明かりをつけようとしたスタッフ。すると!
「ストップ! 明かりをつけるな!」
南雲さんの大声が響く! この暗闇の中暗視装置も無しに俺は大丈夫だと言い切った南雲さんはスタッフの行動をこの暗闇の中咎めたのである。
「ああ……すみません、説明が抜けていましたね。このダンジョンの中にいる魔物は光をつけると発狂するんですよ。特に明かりを持っている人は全力で袋叩きにして来ます、明かりを持たれると守り切れなくなるのでやめてください」
とんでもない説明の抜けである。危ない所であった。まあ幸いなことにすぐに発覚したことであるので良しとしておかねばならないが。
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「ああ、なんか今更ながらに俺が忘れたってことにしなきゃよかったって思い始めてるぜ……」
「諦めなさいな、貴方の忘れっぽさはもうキャラに昇華しないとやってられないレベルだもの」
桃子がメインパーソナリティーを務めるテレビ番組【迷宮探索TV会議!】の中の一幕である、レインボーウィザーズが秋彦さん家のバグダンジョンへの潜入を行った所をテレビを見ながら当時の事を思い出す秋彦とジュディ。
ちなみにこのシーンはスタッフから「そういう事にしていた方が受けがいい」と言う理由で、初めの打ち合わせの際にさんざん言っていたにもかかわらずそういう一幕を入れさせたのである。
もはや秋彦の忘れん坊のイメージは不動の物らしい。秋彦的には非常に不服ではあるが、龍之介が補助行動を行えることを忘れていたこともあって、それを覆すことが出来なかったのだ。
「最初このシーン、秋彦バカやめろって言ってたもんね」
「……本来手落ちを起こしたのは秋彦なのに、それを棚に上げてバカやめろというのは流石にまずい」
「内情を知っていればバカやめろって言いたくもなるけどね。ホントごめんね?」
「いやいいけどさ……」
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拍手とともに映像がスタジオに戻ってくる。現場を知らない芸能人たちが、半ば妄想に近いような事を言いたい放題言うターンの始まりだ。
例えばこのような言い分だ。
「しかしこれからはこういった凶悪なダンジョンを自分の手で生み出すことが出来る日も近いのかもしれませんね。中には魅力的なお宝ザクザクだと思うと胸が熱くなりますよ!」
「まあ中にあるお宝がとても魅力的だったのは勿論なんですけど、管理の難易度も上がりますし、一長一短だと思いますよ」
テレビの中のタレントと桃子と仲良さそうに話をしている。
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その様子を改めて見て桃子が盛大にため息をついた。
「この場面タレントさんの手前こういったけど、こんな凶悪なダンジョンホイホイ増やされてたまるか! 位にはいってやりたかったよ……」
「……それに関しては完全に同意する。正直本当に怖かった」
「これだから現場を知らない人ってのは……スタッフさんもわかりやすい位に足震えてたよね。それでもやめようと言い出さない辺り本当にプロ根性だなーって思ったけど」
ちなみに今秋彦の家にいるのは秋彦だけではない。レインボーウィザーズ勢ぞろいである。普段は地上波で探索者向けの番組を見るときもチャットツールなんかでチャットし合うのがいつものスタイルだが、バグダンジョンに入って以降、妙に全員そろうことが多くなった。
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「おおっと、カメラマンさん達準備してくれ。おいでなすったぞ!」
どこか楽しげに語る言葉にスタッフ一同総毛立つ。ダンジョンに入って最初の戦闘である。
「おっしゃー! 行くぞこらぁああああ!!」
しかし、そう叫んだ南雲さんは次の瞬間的である魔物をくし刺しにしていた。
はっきり言って何かをしているかはわからなかった。だが確実に何かをしていると言う事は分かった。
それではここで暗視機能搭載のハイスピードカメラの映像をご覧頂こう。
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「おおー、よく撮れてるな。あの戦いの現場もばっちりじゃねーか」
「うーん、容量さえ気にしないと言うなら今の技術でもここまでやれるって豪語していただけのことはあるわね……」
感心しながらテレビを見るレインボーウィザーズ。そこには秋彦の雷光突きを駆使した戦闘が一部始終収められていた。
以前暗視装置に何も見えないからと言う理由で断りを入れようとした桃子だったが、テレビ局の見解は「我々が使用するカメラなら問題ない」の一点張りだった。桃子がテレビ局の上層部に直接説得を試みたが、返ってきたのは「データの容量さえどうにかなるならどうにでもなる。現代社会の技術を甘く見ない方がいい」というお言葉であった。
正直秋彦達も期待しないままに撮影に臨んだのだ。結局ろくに映像にもならないだろうし、オンエアにはならないだろうとさえ思っていた。
ところが結果は御覧の通り。秋彦が雷光突きで敵と戦い、どのような動きをしたのかまで細かに理解できる。
そのあたりは流石である。ジュディが持って来た暗視装置なんて所詮は探索者向けではなく一般人向けだったと言う事を痛感させられる。
雷を纏い幾度となくダーク・ボーパルバニーを仕留めようとする秋彦、そしてそれを避け、逆に秋彦の首を落とそうと首に対して執拗に攻撃を繰り返すダーク・ボーパルバニーの様子が事細かにとらえられていた。
テレビ会社の社長とカメラマンの言っていた「データの容量さえどうにかなるならどうにでもなる。現代社会の技術を甘く見ない方がいい」と言う言葉は正に真理だったと言えるのだろう。
尤もコンマ0.001秒単位でようやくパラパラ漫画くらいの動きになるほどの高速移動を繰り返していたので、今回の撮影一回で撮影映像がどれほどの容量になったのかは恐ろしくて考えたくない所ではある。
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その後も番組の進行は滞りなく行われて番組は終わった。
秋彦にとってもこの番組は、自分の動きを客観的に見ることの出来る機会になったし、秋彦さん家のバグダンジョンに不用意に近づくことも減るだろう。
今回の放送は秋彦にとっても、かなり有意義な時間となったのだ。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
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次回の投稿は2021年1月30日午前0時予定です。
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