第二百五十二話 桃子の仕事
累計PV数437万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「桃子さん、お疲れ様。今日の番組の反響もすごいことになっているよ!」
「ありがとうプロデューサー。いつもお仕事を取って来てくれてありがとう。これもあなたのおかげね」
「いやいや、皆の努力があってこそだよ! 皆が話題のとっかかりをつかんでくれたからこそ僕は大きな仕事をたくさん取って来れるんだから!」
ここはとあるテレビ局の控室。
レインボーウィザーズの一員であり、人気探索者系アイドルグループ、ビューティフルドリーマーのリーダーでもある桃坂桜、本名楠桃子がプロデューサーと話をしている。
ビューティフルドリーマーの面々はアイドルグループでありながら一流の探索者である経歴から、あちこちのテレビ番組から引っ張りだこである。その引っ張りだこっぷりはバラエティーからニュースキャスターから意見を聞くゲストまで様々だ。
今日もまた探索者の意見として桃子はテレビ番組に呼ばれ、コメンテーターとして活躍をしたのだった。
今やビューティフルドリーマーはこの業界きっての成功者とまで言われている。
「さて、ここ最近の定例と化しているんだが一応聞くぞ」
「却下! 私たちを殺す気ですか? って言っておいて」
「オッケー、その言葉を待っていた!」
「ごめんね、いつも迷惑をかけているわ」
「何の何の、ここ最近ダンジョン関連の事業が上手くいって調子に乗ってるんだ。この位ガツンと言ってやらなきゃだめだよ。ビューティフルドリーマーは企業の為に用意された手駒や綺麗所を集めたチームじゃないんだからね」
「あはは! 頼もしいなぁプロデューサーさん」
何かを聞く前に桃子は即答する。
NOを思いきり突き付けられたにもかかわらず、むしろそれを望んでいたかのようにプロデューサーは各所に連絡を開始する。
今の一連のやり取りは何かというと一言で言ってしまえば「南雲さん家のバグダンジョンにはまだ入らないのか」と言う話である。
秋彦の家に出来たバグダンジョンについては探索者達はそれをしっかり把握しているしそれに対する情報は常に待ち望まれている。
他のダンジョンよりも異質で凶悪なダンジョン、金のにおいがプンプンすると言う物である。増してそれをテレビ媒体を持っての独占調査。視聴率の跳ね上がり方がもはや想像もできないレベルだ。
だがあのダンジョンは泣く子も黙るレインボーウィザーズが総出で撤退したダンジョンだ。勇敢と無謀をはき違えてはいけない。
現状最強のチームにして最高の知名度を誇るレインボーウィザーズに期待がかかるのはしょうがないと言う物である。
だがレインボーウィザーズの面々はあのダンジョンにはしばらくはいる気はないと言う事で意見が一致している。
なにせグレイトアンデッドドラゴンにとどめを刺したあの南雲秋彦が、当時たった一分しか使用できない封印開放を最初の接敵で即解禁し「やばいから逃げるぞ!」と必死に号令を出して命辛々逃げかえったような場所である。
ちなみに優太を含む他の面々はあたりが暗かったことを差し引いても接敵に気付けもしなかったレベルである。
優太は接続者という謎の力に目覚めたはいい物のその力を行使するためには時間がかかる。ジュディ達女子陣は論外で何が起こっているかさえ理解できなかったレベルだった。
要するにこのダンジョンで探索できるのは実質たった一分しか活動できない秋彦のみであり他のメンバーはお荷物どころか足手まといにしかなっていなかったのだ。
いずれは人類最高峰の装備を整えリベンジはしたいと思っている物の、そうそうめったに入れる場所ではないことを痛感していたのだ。
故に断固としてレインボーウィザーズはバグダンジョンについての調査依頼はNOを突きつけ続けていた。
少し前まではきつく凄まれてしまえば嫌々ながらも飲まざるを得ない様な圧倒的な地位と権力を持つ人々から圧力を掛けられかけたことはあったが、今のビューティフルドリーマー、延いてはレインボーウィザーズはそれさえ跳ね除けられるほどの名声を得ていたのだ。
何せ国民の大半どころか政府でさえ彼女たちはVIPだ。日本を救い、世界を救うための切り札となりえる存在。丁重に扱わないで他所の国にでもいかれたら日本の損失としては計り知れないものになる。企業や有名人であっても国を向こうにして争う事は出来ない。事実上、ビューティフルドリーマーやレインボーウィザーズが本気を出して政府に働きかけられたらもう企業では太刀打ちできない。
これが一昔前ならば日本を出て徹底的に争う姿勢も見せられたのだろう。だが今の日本は唯一国土に魔物が存在しない国だ。他の国に逃れて日本と争う姿勢を見せれば魔物にいつ殺されるかわからない脅威に怯えながら争うことになるし、何より逃げ伸びる国が日本との関係悪化を恐れて引き渡す可能性すらある。もはや企業は国に対して圧力をかけることは困難なものとなったのだ。
テレビやCMで出せばCMで出した商品の売り上げはこれでもかと伸びるし、番組の視聴率も大幅に上がるドル箱であると同時に如何なる企業の権力や金に決して左右されないという扱いづらさを併せ持つ集団。
それ故に業界の内外から認知される取扱注意の劇薬の様な扱いを受けているのだ。
だがやはりたまに横柄な態度で接してくる馬鹿共はいたりする物なのだ。無茶苦茶な言い分、でたらめな根拠で自分の意見を押し通させる事に長けた輩が大声で怒鳴りつけてくる、馬鹿げたやり取りだ。
そういった人々を突っぱねるのも担当プロデューサーの仕事であり、役目だ。それにビューティフルドリーマーは【山崎プロダクション】の稼ぎ頭だ。これを守れずしてプロデューサーとは言えないと、プロデューサーである髙須賀 健斗は本気で思っている。
「じゃあそろそろ次の現場行こう。秋彦様々だよ本当に」
「それを使うのはちゃんと局から退館してからね」
「分かってるって。目が回るほど忙しいけど、そこまで横着しないって!」
そうして桃子は次の撮影現場に向かう。しばらくは休みも取れそうにないが、今だけのお祭りのような忙しさだ。ならば今は肉体も精神もすり減らしてでも楽しむ価値がある。
そうやって気合を入れつつ、今日も仕事に勤しんでいくのだった。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次回の投稿は2021年1月24日午前0時予定です。
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