第二百四十七話 レインボーウィザーズWith M(Monster)
累計PV数424万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
その後も秋彦は商店街の様々な店に入っては物を買ったり店主と話をしたりして一日を潰した。
「うーん、今日はなかなか有意義な休日を過ごせたな……」
大きく伸びをして一言。空を見上げるともう夕方であった。そして一つ思い出す。
「ジュディは……確か今日は新しく建設した研究施設の下見とか言ってたからそろそろ帰ってくるかもしれないけど龍ちゃん達は今どうしているかな?」
………………………………
時間は少々さかのぼって午前九時。
「あ、いたいた! おーい!!」
「龍ちゃん、大声出しちゃだめよ」
「あ、おはようなのです!」
「あ~、龍ちゃん、エリちゃん、おはよ~」
「おはよう! これでみんな揃ったのよ!」
ここはとある駅の構内。待ち合わせの場所である。
そこにいたのは人間の姿をした龍之介とエリザベス、そして背の高い全身青でコーディネートされたお兄さんと赤を基調としたドレスの様な服を着た生意気そうな女の子。そしてオレンジ色のチャイナドレスを着た小さな女の子がいた。
しかしそれらの服のイメージが吹っ飛ぶのが、彼らがそれぞれに身に着けている悪夢の終焉の紋章が入ったゼッケンだろう。正直異様である。
もうお分かりだと思うが、彼らは全員レインボーウィザーズの従魔達である。彼らは今までも単独行動をすることはあっても魔物の姿で動き回っていて、周りももう見慣れた光景としてとらえていた。
だが彼らは進化によって人間の姿になれるようになってからは秋彦達と離れて人前で行動するときは極力人間の姿で行動するようになっていた。周りの目やらなんやらあるのかもしれないが、単純に見た目だけでも父、あるいは母と慕う育ての親と同じになれたことがうれしいのかもしれない。
それぞれ背の高い青い男は豊芦原で、ドレスみたいな服を着た生意気そうな女の子はルビィで、オレンジ色のチャイナドレスの女の子はコロナである。
「今日はどこに行くのよ?」
「この辺りの初級ダンジョンはあらかた回ったからね~。もっと戦闘経験を積むために初見の所に行きたいんだけど~」
「同じ敵と再戦することで得られる事もあるかもしれないわ。違う敵と戦う事ばかりがいい事じゃないと思うし、今日は以前行ったダンジョンに行ってみる?」
「龍ちゃんはおいしい魔物がいるところがいいな」
「私もなのです! お肉! お肉!」
「宝石やお宝が出る所がいいのよ、お金にならない所は嫌なのよ?」
この五人の相談はいつもわちゃわちゃしている。
食い気が優先の龍之介とコロナ、強くなることを念頭に置く豊芦原とエリザベス。そして意外にお金やお宝にこだわるルビィ。
こうしてみると意外と方向性がバラバラでなかなかまとまらない。話し合いと言うよりは意見のぶつけ合いの様な感じになってしまうからだ。
そして纏まらないときは……
「こうなったらいつもの奴やるのよ!」
「オッケー! 負けないぞー!」
「はーい、なのです!」
「今日もまとまらなかったね~」
「どうしていつもこうなっちゃうのかしら……」
「行くのよ! 最初はグー!」
こうやってじゃんけんをすることになるのである。この五匹、ちゃんと話し合いでどこに行くかを決められたことは一回もないのである。見た目は大人の様に出来てもまだまだ全員子供なのだ。
………………………………
「がおー!」
「強化が入ったわ! 行くわよコロちゃん!」
「はいなのです!」
結局今回は地下初級迷宮駅にて探索を行うことになった。ここもすっかり有名になった事で駅にはたくさんの人でにぎわっていた。
ただ不思議なのはこれだけ多くの人がいてもダンジョン内で人とすれ違ったりすることはあまりなく、あってもせいぜいボスのいる部屋で順番待ちをしている一人二人だったりする。
はっきり言って明らかにそれ以上に遭遇しても不思議ではないのだが。
今日はここの2階層でオークを倒しまくり、龍之介とコロナの気が済んだら3階層でアンデッドモンスターから紫水晶を大量に入手する予定である。
紫水晶は地方都市奪還作戦改め第一次人魔大戦後にその研究が大きく進められている鉱物でもある。アンデッドモンスターが必ず体のどこかに埋め込んでいる死体を動かす魔物の原動力。その謎を解明し、その研究を更に別の事に生かすために研究されているのだ。
なにせ第一次人魔大戦後の最後の壁として立ちふさがったあのグレイトアンデッドドラゴンの強さは尋常ではなかった。あれほどの魔物でさえ紫水晶の力に頼っている。興味が出ない方がおかしいと言わんばかりに研究がされ、今紫水晶はどこであっても高額で取引されている。
ぶっちゃけ金になるのである。
じゃんけんで決まったこととはいえ、よく考えたら豊芦原の新しい敵と戦いたい以外の四人の要望が叶う場所だったことでここに決まった。
「まずはお肉だー! さーて、頑張っちゃうよー!」
「お肉! お肉なのです!」
食い気が先立っている龍之介とコロナはすっかり臨戦態勢である。
「あ~ああ……新しい所行きたかったな~」
「じゃんけんで決まったんだからしょうがないのよ、順番が逆になっちゃったのは私も不服なのよ、でも我慢してるのよ?」
「私はどこであっても以前戦った敵との再戦は叶うからいいんだけどね。龍ちゃんとコロちゃんの先走りっぷりが心配ね」
半面残りの三匹はちょっと不服そうである。自分の思った通りの要望が後回しになったからという所がやはり精神的に幼さを残しているところである。
とはいえ割り切りもそこまで悪くはない。
「でもここまで来て文句言っていても始まらないのよ、こうなったらさっさと終わらせて次に行くのよ!」
「同感、今日は諦めるけど次は新しい所行くからね~」
「……全くみんな揃ってしょうがないんだから! 龍ちゃん、変身解除はダンジョンに入ってからよ!」
うじうじするのもそこそこに気持ちを切り替えて、探索者活動に切り替える。彼らは特に自分達にチーム名は決めていないが、最近話題の知力の高い従魔のみで構成された話題の探索者チーム【レインボーウィザーズ at M(Monster)】と呼ばれている。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次回の投稿は2021年1月19日午前0時予定です。
応援宜しくお願い致します!