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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
ダンジョンに適応する日本
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第二百四十五話 立松古書店

累計PV数424万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

 食事を終えて次に秋彦がやってきたのは立松古書店だ。

 ここは主に古本を取り扱っており、本の買取も行っている店である。最近ではレシピ本の売買を行うようになってから業績がかなり良くなっており、中谷商店街の中で二番目に速く探索者を迎合した店である。勿論一番目は赤龍だ。

 ここへ来た目的は新しいレシピ本があるかどうかのチェックである。


「ちーっす、立松のじっちゃんいるかー?」


 個人経営の古書店だけあって手狭な店内に所狭しと本が置かれている。古書店独特のにおいと少々埃っぽい空気が秋彦を出迎えた。

 だが出迎えはそれだけで人の出迎えはなかった。どうやら留守らしい。


「店番もおかずにトイレか? 相変わらずだな……ったく、じっちゃん? じっちゃんってば!! おーい! いるのかー!?」

「はいはい、聞こえとるよ秋ちゃん」


 大声を出してようやく自宅部分から出てきた老人。この人が立松古書店店長の立松(たてまつ) (こう)()だ。

 髪のない頭と皺だらけの顔。それはこの中谷商店街の中でもトップクラスに古い店の店長にふさわしい老いっぷりだ。痴呆はないがのんびり屋で所々抜けている人である。


「まーた店番も置かねーでトイレ? レシピ本は中古であっても良い値するんだから、もうちょい高額商品を置く店って自覚持ちなよ、盗まれたらどーすんの?」

「ごめんよ秋ちゃん心配かけちまって、カミさんにもよく言われちまうんだがどうもついこの間までの感覚が抜けなくてねぇ……」


 申し訳なさそうにする立松さん。くどくど言っておいて難だが、こういう感覚でいてしまうのも仕方ない事だとは思う。

 この店はもともと古書店として探索者達から注目される前から本の価値の分かる常連に支えられてきた店だ。だが逆に言えば価値の分からない人たちからすればただの紙束、最悪燃えるゴミにしかならない物ばかり扱い続けてきた店だ。

 ただでさえ昨今電子書籍が台頭し、紙の本を手に取る人は少なくなってきている事も相まってこの店は一部の紙の古本に価値を見いだせる人々しか来なかった。

 と言う事は大半の人間からすれば無価値な物ばかりが置かれており、それはつまり盗難の被害にあうこと自体があまりないと言う事でもある。なにせそんなものを盗んだ所できちんと価値を見出せる好事家に売らないと二束三文で買いたたかれてしまうのがオチだ。

 盗みを働くリスクと売り払う手間や、足がつく可能性を考えると盗んでまで手に入れるメリットが無い物。そんなものばかりを今まで商品として扱い続けていたのだ。

 ちょっと目を離したすきに誰かが持っていくわけもないのだから、今まではちょっと一人の店番中にトイレ行ったりしていても何の問題もなかったのだ。

 だが、レシピ本を取り扱うようになったらもうそんな感覚ではだめだ。

 今現在レシピ本は自分では戦えないが探索者達の手助けをしたい人々、探索者達と取引を行って大儲けしたい人々。あるいはただの趣味の手習い目的もいるが、いずれも大人気である。

 昨今の紙の本にしてはどれもバカ高い。中古であっても最低一冊1万円からだ。しかも入門ダンジョンでも拾えるレシピ本で一番流通されているレシピ本でこの位するのである。

 三千円の本でも普通の本ならかなり高い部類であることを考えれば驚きのお値段と言えるだろう。

 上位レベルの生産スキルを持っていないと使えない、まだ流通量の少ないレシピ本だと余裕で7桁を超えるのだ。もはやいろいろとおかしいレベルである。

 そしてこの古書店、秋彦の要請もあって骨加工スキルを使うレシピ本に限ってはそのレベルの本も探しておいてくれている時がある。探索者に迎合したことで懐事情がよくなり、骨加工スキルを使う物なら秋彦が確実に買い取る事もあって探してくれているのだ。

 しかしそんな店がこの防犯意識なのである。普通に危ない。


「しっかりしてくれよな~、俺の探しているレシピ本盗まれたとかシャレになんないし」

「まあ、そういうのは金庫においてあるから一応大丈夫だとは思うんだけどねぇ」

「甘いよじっちゃん、探索者の膂力なら重機が無くても普通に金庫ごと持っていく位できる。探索者の強盗が着たら大人しく渡して警察とギルド。そして地域専属探索者に通報だぜ。店番はあくまでコソ泥に対する抑止力だからな。半グレ程度の落伍者ならそれですごすご引き下がる」

「うんうん、分かった、分かっているよ」


 最近は探索者が窃盗や強盗を働くケースが増えてきているが、大半は免許証を取得することさえできないほどに素行不良の落伍者達なのだ。警察とギルドが連携して対処すればどうとでもなる。

 落伍者と言うのは元はと言えば、地方都市奪還作戦、現第一次人魔大戦魔物の前に現れだした魔物を攻撃する勇気を出せたというだけで大して特別でもないのに、それで得たレベルアップの恩恵による強さをもって、更なる弱者を食い物にしようとする連中である。

 折角魔物に対して戦える意思があるのに大してレベルを上げる気もなく、一般人より強ければそれでいい、後は一般人を食い物にして金を得ようと言う実力も無ければ志も低い、まさしく探索者の恥、落伍者とでもいうべき存在。

 と言う事で落伍者と呼ばれている連中である。

 今でこそそんな奴らも目立つことはなくなったものの、暗がりに潜んではコソコソと一般人を獲物にしようとしているのは一定数いるのだろう。

 この商店街の人々にはそんな馬鹿共の犠牲になってほしくない。

 かつてヤンキーだの半グレだの呼ばれたような不良の延長上にいる様な連中から反社会的勢力のような連中。こういった存在がコソコソダンジョンに入って少しだけレベルを上げた事で、一般人相手に調子づかないようにある程度武力を振りかざすことも重要だと最近は思うようになった。

 完全に同じではないにせよやっと戻ってきた秋彦の平和な日常である。壊されてたまるかと言う思いも強くなる。


「ほんじゃあ秋ちゃん。今日は何を見に来たんだい?」


 改めて店長がカウンターに座ったところで改めて本来の話開始である。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次回の投稿は2021年1月17日午前0時予定です。

応援宜しくお願い致します!

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