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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
ダンジョンに適応する日本
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第二百四十一話 秋彦の現在 骨加工職人

累計PV数424万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「ふぅ……こんなものか」


 ため息一つついて伸びをする。

 現在深夜一時。研修から帰って食事と風呂を終えた後、秋彦は現在ダンジョンがある林にあった小屋を改造して作った自身の工房で武器を作成していた。

 明日納品期限である骨の武器の最終的な仕上げを行っていたのである。


「本当にすっかりこっちでも有名になったよなぁ俺……」


 秋彦は思わずそうつぶやく。最近はそれぞれの都合がつかないこともあってあまりチームでの探索者としての活動もしていなかった。

 そのため最近本当に秋彦は暇になってしまったのだ。

 あまりにも暇が過ぎて龍之介の素材を有効活用するために取得した骨加工を使っていろいろな物を作成していた。

 そうやってひたすらに道具や武器、防具などを作っている内に、いつの間にか骨加工職人としても一角の物を持つようになってしまったのである。

 しかも骨加工を極める過程で必要になった事で様々な加工スキルにも手を出しており、骨加工が本業であるにしても鍛冶、裁縫、彫金もレベル5程度は持っている。

 完全にプロの領域である。


「……まあ、そろそろ暇つぶしってだけにはいかなくなるんだろうけど」


 そうやって骨加工を極めていくためにレベルを上げていた秋彦の、現在の骨加工スキルのレベルは20である。完全にそんじょそこらの職人とは一線を画すレベルだ。

 修行……と言うつもりでもなかったが、その修行の最中に作成したような物も含めていつの間にか工房が物であふれてしまっていた。ただでさえ過程の為とは言え鍛冶の環境、裁縫の環境、彫金の環境もあるのだ。ただでさえそんなに広くない工房が圧迫されるのはよろしくない。

 そのことを母親に話したらこのような返事が返ってきたのだ。


「いらないならインターネットショップとかインターネットオークションとかフリマアプリとか使って売ればいいのよ!」


 母は目を輝かせながら話していた。

 とりあえず本当に要らない、最初期からの修行として作成した代物から、暇になってから作成したものまで様々な物を渡してみた。

 ……一応ジュディも欲しかったらしくそちらにもある程度は譲り渡したが。

 そうしたら母はどこで勉強したのか、ダンジョンから出て来るアイテム専用のインターネットオークションサイトにしてダンジョンオンラインショップであるオリーブの葉でショップの開設を開始し、秋彦が売っていいとして譲ったものをあっという間に売りつくしてしまったのである。

 しかも相当な高値でである。

 どうやら南雲秋彦の母が運営する南雲秋彦が作成した骨加工スキルで作成できる代物全般を扱う店と言う事を前面に押し出して宣伝したらしい。

 元々秋彦は自分の作成した物には大体自分のイニシャルを小さく独特な形にして彫り込んでいたので、それをもって本人が作成した証明のようになっており、物はあっという間に売りつくされてしまったらしい。

 元々そんなに値が張る物を渡していたわけではないが、それでも結構な値になったらしい。

 その後も他にも品はないのかと、次の入荷はいつになるのかと随分母の元に問い合わせがひっきりなしに来ており、そちらの対応もしているのである。

 マネジメントと最初に言い始めた時は何をするつもりなのだろうと思っていたが、SNSを使用した広報から企業に対する交渉の窓口、果てはインターネットショップ等の運営など様々なことを手広くやっている。

 証券会社に勤めていた時から敏腕と呼ばれていたのは伊達ではないらしい。

 尤も、ジュディは、それは自分がやりたかったことだったらしく不満げではあったが。


「住み分けは出来ていると思うんだけどなぁ」


 尚、母に渡したのは一般人からしたら大金になる物ではある物の、探索者からしたらすべて大した値にならない代物だった。

 ならば探索者の基準から見ても性能が高く、それ故にそれなりにいい値が付く代物はどうしたのかと言うと、それは基本的にジュディに回しているのだ。

 元々ジュディはイギリスで様々な事業に手を出している会社の令嬢である。金持ちとのコネクションは普通の人間とは比べ物にならない。

 そんな人が高い価値を持ち、いい値段になる物を選別し、渡しても問題のない人物かを見極めたうえで商談をするのだ。はっきり言って大金が絡む商談においてこの上ない適任である。

 秋彦や秋彦の母が行ったとしても、金持ちの感覚や考えが読めずに商談が成立しないか足元を見られるようなことになって終わるだけの物が、ジュディがやるだけで結果が大きく変わってくるのだ。何せ彼女は探索者になる前から金持ちであり、そういう手合いの人物たちとは同じ穴の狢、同類なのだから。

 餅は餅屋に、蛇の道は蛇に任せるべきである。

 事実、秋彦が作成した物が売れた際に持ってくる取り分は当初は目を回しそうになる様な、あるいは倒れてしまいそうになる様な値段だった。やはり商才があるのだろう。

 とはいえ最近はもう数億円の取り分では驚かなくなってしまっている。人間の順応性とはかくも恐ろしい物である。

 そんなわけでもう秋彦もダンジョンに潜らなくても大金を稼ぐことが可能になった所までは来ているのだ。

 でもやはり定期的にダンジョンに入って力を振るいたいと思うのは、ただ持て余した力の使い道を探っているだけなのかもしれない。


「ま、素材の調達ってだけさ」


 言い訳の様なことを誰が聞いている訳でもない工房でつぶやいてしまう。

 そうして今度は武器ではなく装飾品の作成に着手していく。一度集中してしまえば探索者の集中力と言うのは驚くべきもので一気に作業が進んでいく。

 そうして周りを見て、明日が納期の武器や装飾品の数がちゃんとあっていることを確認する。数がちゃんとあることを確認し、とりあえず最低限のノルマは達成したのだから今日はもう寝よう。と思う秋彦。

 最近は武器だけでなく、呪骨を使ったボーンチャームと言う骨の装飾品も人気である。闇属性に強い耐性を持てたり、闇属性魔法の威力を高めるものが特に人気である。

 今回の品はすべて母向けの物なので梱包は母の仕事である。

 大きく欠伸を一つして、簡単に片づけをした後、家に戻る。これが最近の秋彦の日常である。大した刺激もなく、激動とも言えないが、穏やかでのんびりとした光景だ。

皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次回の投稿は2021年1月13日午前0時予定です。

応援宜しくお願い致します!

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