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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
ダンジョンに適応する日本
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第二百三十八話 秋彦の現在 研修の終わり 測定

累計PV数415万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「それでは、今日の研修は以上となります、皆さんお疲れ様でした!」


 教官に続いてその場の全員がお疲れ様でしたと声を張り上げた。

 今回の研修も探索者のみであってもかなりつらいと感じるレベルで体を酷使した。通常の運動では息も上がらないレベルの探索者ばかりのはずなのだが、上手く楽をさせない位にきつく、探索者を壊さない程度に手を緩めた塩梅のカリキュラムだ。

 と言うのも、どうも自衛隊内で作成される探索者向けのカリキュラムでは、レベルに応じてどれほどキツイ訓練を科しても問題ないかがだいぶ把握出来てきているのだ。

 要するに自衛隊が探索者の肉体の扱いが分かってきていると言う事だ。それはつまり、軍隊の探索者化も進んでいると言う事でもある。

 自衛隊の中にもダンジョンを制圧し、着々とレベルを上げている人々の存在は前々からあったが、日本にダンジョン以外で魔物がいなくなった後でずいぶん修行を行ったらしく、自衛隊の平均レベルが最初の壁たる25にまで到達したのだ。勿論軍隊においては全世界においてぶっちぎりの平均レベルである。

 ちなみに二位の中国が平均レベル18である。分母が多いから仕方のない話なのかもしれないが、中国を代表するレベルの探索者はすでにレベル30以上いったりもしているので、やはりばらつきが激しいのだろう。

 ともあれ探索者についてそれなりに造詣が深くなったことでいい塩梅で苦しめられるくらいの訓練を科せられるようになっていた。

 訓練自体も体力づくりの運動から、市街地、迷宮内、樹海に水中と言ったあらゆる場での対魔物の戦闘を想定しての最低20人で行う集団戦のための動きであったり、魔法の射撃訓練であったりとそれなりにいろいろな訓練を科された。

 尤も、これらは今のところ、今までの軍隊の常識に基づいての訓練なので実戦で使用できるのかと言われれば不安しかないが、知らないよりかは知っていた方がましのはずだ。基礎無くして応用はないのだから。

 いくら地力で優っていたとしても敵の集団での動きで思うように動けなかった経験は第一次人魔大戦ですでに何度も経験した。もう集団の力を甘く見る探索者は今の日本にはいない。

 増して今の探索者達は免許証にそれぞれ番号を割り当てられ、万一再び集団の軍事的な行動を起こそうと言う時には番号に従ってそれぞれ部隊を割り振られるようになっている。

 半ば徴兵に近いものがあるが、探索者達はあくまでも民間からの協力として、本職ほど徹底的に厳しくされていないこともあってそれぞれ力を持つ者の責任としてそれに協力している状態だ。

 勿論野党からの糾弾も激しかったが、前回における探索者側の失態を受けての事であり、またいつ氾濫によって日本に魔物の大群が生まれても対処できるように、あるいは諸外国からの要請を受けての魔物の掃討作戦に協力することになった時に醜態をさらすことが無いようにするための事としている。


「ようやく終わった……」

「とりあえず、ここでの研修は終わりね」

「ああ……そうなんだよねぇ……行かなきゃなんだよなぁ……」


 思わずため息を吐き出す秋彦と優太。

 実はこの二人だけはこの後さらに別の測定を受けなければいけないのだ。それもかなり大掛かりな所で。

 実は秋彦と優太が憂鬱そうにしているのは他ならないこの測定が原因である。


「はぁ……しゃーねー行くか」

「あ、あたしらもいつも通り連れてってよ」

「……チームメイトの雄姿を見届ける」

「当然ね、これは私たちにとっても大事なことだもの」


 秋彦がテレポテーションで施設に向かおうとしたら、当然のように女子陣がついて来ようとした。


「い、いやお前ら仕事いいのかよ?」

「いつも言ってるじゃない、これも仕事の内よ。ここについていったと言う事実が重要なの」

「レインボーウィザーズとしての活動ってやっぱりなんだかんだアピールしておきたいからさ」

「……話のネタとしてこれ以上の物はない」

「あ、あのねぇ皆……」


 三人の呆れた言い分に優太も頭を抱えてしまう。とはいえこの測定は自分達の成長を見せる場でもあるので把握しておくに越したことはないだろう。結局はいつも通り連れていくことになるのだ。


………………………………


 そして飛んできたるは、自衛隊の所有する施設の内の一つ。東富士演習場である。富士総合火力演習が行われる場所としても有名な場所だ。

 立ち入りに関しては一般人だと許可証が必要な政府所有の土地だが、探索者、それも秋彦達ともくれば、ここに何の用事できたかもすぐにわかるので、ほぼ顔パス同然で中に入ることが出来る。

 演習場はどこまでも広がりそうな平野が続いており、この広さなら自分達がこれから測定の為に力を高めても問題はないと言う物である。

 測定の準備は今日研修に来たことがすでに連絡が言っていたらしく準備は万端であったことがわかる。標的となるダイダラボッチ並みの巨大な人の形をした土くれが用意されていたからだ。


「はい、じゃあまずは僕から行きますね」


 優太はいつもの戦闘のための装備に姿を変える。

 最近のドレスアップリングは彫金スキルが高い彫金士たちが性能を向上させる処理を施すことで、一つの指輪で5セットまで自由に装備を変更できるようになっている。

 しかも合言葉無しで、自分が着たい服を想像するだけでよいと言うおまけつきである。少し前までは合言葉ありで一着だけであっても早着替えが出来るだけで大変便利な代物だったのに。

 そして体にいくつかの計器を装着させられる。正直窮屈そうだが仕方がない。


「じゃあ、行きますよ……」


 そういうと周りは一気に緊張する。

 優太は手で覆うように目に当てる。そして、一つ深呼吸。

 するとその場から優太を中心に恐ろしいほどに強力な魔法力があふれ出し始めた。同時に優太の足元にも巨大な魔法陣が展開され始める。

 その圧倒的な魔法力により大気が震え、空が荒れ狂い、風が優太を中心に吹きすさぶ。

 はっきり言ってこんなものを見知らぬ人間が見たら確実に恐怖で気絶するだろう。何事だと言う話である。

 だが、これこそが魔法を使ってまで遠くの場所に来て行う測定である。

 優太の謎の接続者として接続先から引っ張ってくる膨大な魔法力、そして秋彦の手元に戻ってきた謎の槍に対する習熟度。それを計測するために一か月に一度、この東富士演習場にまで足を運んで測定を行っているのである。

 ここには枝野作の、秋彦と優太専用の計測能力を限界にまで高めた新型の魔法解析装置だけでなく、現代科学で使用されるあらゆる計器、測定器がその場に持ち込まれている。こんな力を使う人間の体の中で何が起こっているのかを知りたがる人間なんて山ほどいると言う事である。

 そして今の優太の全力とは、もはや言うまでもなくグレイトアンデッドドラゴンを一撃でダウンさせたあの魔法である。


『炎神降臨、今こそその力を示せ。焼却は救い、焼滅は安らぎ。原初の炎をもって終焉をもたらさん。眠るべき時を見失ったものに静寂を。止まるべき瞬間(とき)を誤ったものに安らぎを。罪深きものよ、今ここにひとたびの慈悲を与えよう』


 詠唱一つに対しても学者連中は大盛り上がりである。


「よっし、皆さん! 撃つので衝撃に備えてください! 『原初の炎が齎す終焉(スルトレイヴ)』」


 そうして閃光の如き速度で空を掛ける膨大な熱量。その様子は想像し得ないレベルでの爆発の熱風と衝撃が、一方向に向かって放たれたかの様だった。

 炎魔法と言うのは風魔法と違って攻撃速度が遅く、命中精度が低いと言うのが通説だったが、ある意味この魔法は数少ない例外として数えられるだろう。

 そしてその強力な熱波熱風をまともに受けた、質量だけならダイダラボッチと同等級の土人形は、攻撃がまともに当たった膝から上は跡形もなく吹き飛ばされ、直撃していない膝部分も吹き飛ばされた断面は赤く溶けており、その熱がいかに高温だったかを物語っている。

 その結果をもって学者たちは騒ぐ。


「すごい! とうとうあの土人形を一体吹き飛ばしたぞ!」

「以前の測定では原型は残っていたんだが……もはや探索者の中でもえりすぐりのエリートである雨宮部隊の総力の結晶をもってしても一撃で終わる可能性が……?」

「いや、あの土人形には魔法力がこもっていない。魔法力の分、防御力も変わるだろう」

「検証のしようがないが、核爆弾級の威力はやはりあるのだろうな……末恐ろしい」


 言われたい放題である。

 本当に悪用されたりしないようにたぶらかされることのないように精いっぱい努力をしていかなくてはいけない、この様子を見て秋彦は改めて認識するのであった。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次回の投稿は2021年1月10日午前0時予定です。

応援宜しくお願い致します!

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