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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
ダンジョンに適応する日本
243/385

第二百三十五話 秋彦の現在 住居

累計PV数419万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

大変お待たせ致しました、これより本編の再開となります!

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

 あの地方都市奪還作戦、現在でいう第一次魔大戦、あるいは第一次人魔大戦というあのアンデッドドラゴンとの激戦を最後に終息した戦いから約三か月後。

 人々は落ち着きを取り戻し、あるいは違う意味であわただしくなっている頃合い。

 秋彦は落ち着きからいろいろなことから解放され、ようやく自分の事に目を向けられるようになってきた時期である。


「はぁ……ただいまー……」

「おかえりなさい! 学校はどうだった?」


 学校終わりの秋彦は実家の扉を開けて声を出す。するとすぐに母、彩芽が玄関までやってきた。

 母は日本に帰ってくるまでは父、早雲と同じく証券会社で働いていた物の、日本に帰って来てからは仕事を辞めたのだ。


「いやー、参った。今度は学校で探索部なんて部活を作ろうとして申請した連中がいてさ、そいつらが部長として俺を引っ張り出そうとして来やがった」

「あらあら……それどうしたの?」

「止めさせたに決まってんじゃん……責任問題になったら大変なこったよ、学校も俺もさ」

「それは当然ね。お疲れ様」


 今日学校で起こった事件を愚痴交じりに報告する。その様子はどこにでもいる母と息子の会話だ。尤も、話している内容は明らかにただの高校生が話す内容ではないが。

 そして秋彦は思い出したかのように母に聞く。


「そうだ、今日雨宮さんとかから何か来てた?」

「ああ、それなんだけど、ギルドからレインボーウィザーズのエムブレムを作成してほしい、それかギルドの方で作るから今後そのエムブレムを使って欲しいって話が来たわよ」


 当たり前のように雨宮からあった話を秋彦に報告する。

 これが主婦の傍ら行っている今の彩芽の仕事と言える。彩芽はまだ子供の秋彦を支えるため秋彦のマネージャーまがいの事を始めたのである。

 なんだかんだ力を持っているとはいえ16歳でまだまだ子供の秋彦を心配しての事であり、親心から来ている行動だ。

 そして実際役立っている。元エリートキャリアウーマンだけあって怪しげな仕事は秋彦に直接話が行く前にシャットアウトするし、優先して受けるべき依頼等の精査も早かった。


「あー、ホント。それ俺の一存で決めらんねーし、ちょっと久々に会って話さんといかんね」

「サンプルもいくつか貰っているわよ、まずはそれでみんなと相談したらいいと思うわ」

「だなぁ。とりあえず俺の家でちょっと話し合ってみる。龍ちゃーん! 帰るぞー!」


 秋彦は彩芽からエムブレムのサンプルを受け取り龍之介に声を掛ける。その声を聞いて龍之介がパタパタと飛んできた。


「お父さん、おかえりなさい! おばあちゃんと遊んでもらったんだ!」

「おお! よかったな! ごめんよ母ちゃん、預けちまって」

「気にしないの、あんたの子供みたいなもんなんだから、私にとっては孫みたいなものなんだし、この子おんなじ年頃のあんたよりよっぽど可愛げがあって可愛がり様があるわ!」

「悪るぅござんしたね、可愛げなくて」


 思わずため息をついてしまう。確かに龍之介の挙動は可愛らしいがそんなことを言って自分を下げなくたっていいじゃないかとは思う。

 現在秋彦は両親とは家を別にして生活している。両親の住む家からも仲町商店街からも遠いわけではない、探索者では無い人でも歩いて10分程度の場所である。

 実家に帰ってきたのは単純に龍之介を預けていたのを引き取りに来たのと、探索者関連で連絡があったかどうかの確認である。

 今日は龍之介が秋彦の母と遊びたかったらしく、行くと言ってきかなかったので預けたのだ。


「不貞腐れないの。ご飯食べに来なさいよ? ジュディさんも呼んでね」

「なんかごめんないつも」

「あんたはまだまだ子供なんだから気にしないでいいのよ」

「ありがとう母ちゃん。じゃ、また後で」


 そういって母と別れて帰路につく。

 そうして探索者の足で歩いて数分、秋彦は自分の自宅となってしまった平屋の一軒家を見上げる。

 いつ見ても信じられない。これが自分の家だなんて。

 そもそもなぜ秋彦が自分の家を持つことになったのか。事の発端は老夫婦に相談を持ち掛けられた事だった。

 その老夫婦は自分達の自宅敷地内にダンジョンが出来てしまったことで悩んでいたのだ。

 秋彦達が最初に潜った初級ダンジョン、中谷町林のダンジョンである。自分の敷地内に勝手に人が入るのはまあ仕方ないとしても、もしもこれが氾濫を起こしたらとおもうと夜も眠れない日が続いたらしい。

 何せ自分の敷地内で氾濫騒ぎが起こったらその責任は土地の所有者に覆いかぶさるのだ。これは迷宮探索法にもある項目である。

 そして老いた身で探索者になるのは厳しいし、魔物の駆除依頼の為に出す金銭もさほどない。

 老夫婦は秋彦達にどうしたらいいかと相談を持ち掛けられたのだ。

 いう程近所ではないが、小型犬を散歩させている様子がよく見かけられており、秋彦もよく知った人ではあった。

 それ故にそれなりに情があったし、何より意図せずにダンジョンの管理人になってしまった老夫婦を不憫に思い、秋彦が何とかしてやりたいと思って、最も角が立たないであろう策として、秋彦がその土地を買い上げるとして、万一の時の為にとっておいた金を土地代にと、相場の数倍渡したのだ。

 老夫婦は、貰いすぎなうえにこれだけあれば高級老人ホームで不自由なく暮らせる。お釣りおまけでいいからと言って老夫婦が暮らしていた林の隣にある家まで譲り受けることになってしまったのだ。

 最終的に両親に相談して話し合った結果、年齢上父である早雲が法的代理人となることで、秋彦名義で土地と一軒家を購入するに至ったのである。

 しかもこの土地と一軒家は、秋彦の金で購入したので法的代理人が間にいるとはいえ、名実ともに秋彦の物である。

 かなりの広さの林と結構広い庭付きの大きめの一軒家を16歳という子供の分際で手に入れてしまったのである。


「なんつーか、購入して一月経つけどいまだに信じらんねーな。東京からもアクセスの良い駅も割と近い場所に一軒家とか……しかも林っていうかダンジョン付き」

「龍ちゃんは嬉しいよ!」

「……ああ、うん、そうだな……ただいまー」


 そうしてしばらく見上げた後に家に入る。

 すると当たり前のように奥からジュディが駆け寄ってきた。


「おかえりなさーい。今日も学校お疲れ様!」

「おう、お疲れ様です」


 秋彦とジュディの関係ももはや両家公認の仲である。法的に秋彦が18歳にならないと正式な結婚が出来ないが、許嫁、婚約者の仲である。

 結婚後は、国籍はそのままで基本はこの家でジュディは日本の拠点として生活していく予定となっている。

 ここだけ見ると新妻と旦那である。


「母ちゃんがまた飯食いに来いってさ」

「また? なんか面倒ばかりかけて悪いわね……」

「本当だよな、申し訳ねぇ……」


 そうは言っても結局は食事にお呼ばれしてしまう二人ではあるのだが。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次回の投稿は2021年1月7日午前0時予定です。

応援宜しくお願い致します!

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― 新着の感想 ―
[一言] あっちこっちに土地を持っている人は 法律的問題も考えるとかなり危ないですね、余計な土地は手放してしまうのも一つの手ですね(新しくダンジョンができてしまった時用に別に用意するという考え方もある…
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