第二百二十七話 終わりの始まり 絶望
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
だと言うのに投稿時間を遅刻してしまいました、申し訳ございませんでした。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「うっぐぐぐ……いてぇ……」
一瞬意識が飛んだと思ったら、焼けて灰と化していた湿原で目を覚ます。吹き飛ばされた衝撃からだろうか、体中が悲鳴を上げている。
アンデッドドラゴンの強烈なレーザービームを喰らい、見事なまでに吹き飛ばされた探索者達。レインボーウィザーズも例外ではなく、吹き飛ばされたことで五人も従魔もそれぞれバラバラになってしまったらしい。
「ちきしょう、やりやがったなあのくそったれめ……いってー……」
思わず悪態をついてしまう。せっかくいい調子だったのに、ダイダラボッチがトドメまで持たなかった事で一転窮地に追いやられてしまった。
だが、それにしたって自分達も油断し過ぎではあった。もっとしっかり構えていればまだこんなにダメージを受けることもなかっただろうに。
足止めの間は終始動きっぱなしであった事で疲労から判断力が鈍ったのだろうか?
あるいは自分達が必死になって足止めを行い、その結果生まれたダイダラボッチに戦いを引き継いで、自分達はもうお役御免だと思ってしまったことが原因だろうか?
いずれにせよ、今そんなことを考えている場合ではない。何せアンデッドドラゴンは倒されていないままにダイダラボッチが破壊されてしまったからだ。
「まずいな……ポーション……あれ?」
まずは何はともあれ回復しなければと、そう思ってマジックバッグからポーションを取り出そうとして気付いた。
マジックバッグが無い。そして秋彦の武器である槍もなくなっていた。吹き飛ばされた衝撃でどこかに行ってしまったのだろうか?
パッとその場を見渡してみてもバッグも槍もどこにもない。
「……ドチクショウめ……」
ポーションどころか武器さえ失うと言う致命的な状況だ。とりあえずダメージを回復しなくてはどうしようもないのだが。
幸いなことにアンデッドドラゴンは先ほど放った攻撃で探索者を倒し切ったと思ったのか、探索者の方を見ていない。ゆっくり進む先は恐らく都市部だろう。人間たちを喰らい、皆殺しにするために。
このままでは一般人に犠牲が出る。その前に何とかしなければ。
ダイダラボッチの攻撃は全くの無駄という訳ではない。何せダイダラボッチに散々痛めつけられたこともあってアンデッドドラゴンはかなり消耗している。初めに足止めを行った時と比べればあと一押しのところまで来ているはずなのだ。
「くっそ……ここまで、ここまで来て諦めてたまるかぁ!!!」
怒鳴り声の様な雄たけびを上げながらクリエイト・ウェポンですぐに槍を作り上げて突っ込んでいった。
壊滅的なダメージを受けた危機感からか、あるいは攻撃を受けた怒りからか、今の秋彦は何も考えずに敵の元に向かっていた。半ば蛮勇ではあるが、ダイダラボッチもなく、他の探索者も散り散りになってしまった以上他に手が無いともいえるが。
いずれにせよ、無謀な突貫と言わざるを得ないだろう。だがそうしなければいけない事態である。
だが、アンデッドドラゴンはこの状況に対しさらに追い打ちをかけて来る。
ついさっきまで見向きもしないで歩いていたアンデッドドラゴンがいきなりこちらを振り向き、再びレーザービームを撃つ構えをして来たのだ。しかも今度はたっぷり時間を取る構えのようで、チャージを行っている。
「ぐ! 野郎……そこまでするかよ……!」
歯ぎしりしながら悠々とチャージを行うアンデッドドラゴンをにらみつける。
何とかこの状況に対応すべく、試しに龍之介を呼ぶ角笛を吹いても反応が無い。恐らく気絶していると思われる。
空を飛べねばレーザービームのチャージが完了し、放つタイミングになってもアンデッドドラゴンの元へたどり着けないだろう。例えたどり着けても発射を妨害できるかは疑問ではあるのだが。
「ちくしょう……ちくちょう……!」
こんな思いは初めてだった。今まで喧嘩だろうと魔物との戦いだろうと負けることはあっても相応に痛み分けくらいにまでは持ち込めていたのに、今自分は完膚なきまでに負けようとしている。
「こんなことがあっていいのかよ……!」
このままでは地方都市奪還作戦は人間側の敗北で終わる。雨宮の意思も自分達の思いもそれに同調して地方都市奪還作戦に参加したほかの探索者達の決意、覚悟も、勝利を信じ、帰りを待っている一般の人々の切なる願いもすべてが水泡に帰そうとしていた。
目の前に立ちふさがった圧倒的なバッドエンド、あるいはデッドエンド。
それは今まで自分達なら乗り越えられない物はないと信じて戦ってきたすべてを否定されるような思いだった。
詰めが甘かったが、尽くせる手をすべて尽くしたつもりだった。出来ることはすべてやったはずだった。
しかしそれでも覆せないものがそこにあった。
たった一度の油断であっという間に覆させられ、そしてもう覆せない。そのあまりにも理不尽で強大な存在に今まで経験したことが無いほどの感情があふれ出す。
「ちくしょう、ちくしょうちくしょうちくしょう!!」
悔しさに声を荒げても敵は容赦なくチャージを進めていき、そしてとうとう終わった。
「なんでだあああああーーーー!!」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は10月13日午前0時予定です。
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