第二百二十六話 終わりの始まり 崩壊
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尚も激しく続くダイダラボッチとアンデッドドラゴンの戦闘。
一時は持ち直したアンデッドドラゴンではあるが、ダイダラボッチも長い時間の操作によってだいぶ操作に慣れてきた。その事も相まってかなり効率よくダメージを与えられている様に見える。
ぱっと見としては先ほどと同じくらいにまでダメージを与えられているようにも見える。せっかく回復したと言うのに、憐れアンデッドドラゴン、全く無駄で終わったらしい。
しかしここまでくるともう安心してみていられると言う物である。
「もう少し、もう少しで終わる……!」
「ああ、本当に長かったね!」
優太と桃子が手を取り合ってはしゃぎ合う。
途中からはもう戦いに巻き込まれない位置で大人しく状況を注視し続けるレインボーウィザーズ。
なぜ紫水晶を砕いてサポートをするのをやめてしまったかと言うと、ダイダラボッチが途中からあの巨大な剛腕から繰り出される圧倒的な攻撃範囲で自分から砕き始めてしまったからだ。
最初こそ動きがぎこちなく、殴り合いも子供が闇雲に腕を振り回すかのようないい加減で乱暴な攻撃ばかりだったが、途中からはプロレスの様な派手で激しい動きで相手を攻撃始めたりもしていた。
動きがこなれてきたからこその激しい動きは、敵を痛めつける強さも加速度的に上がるが、その分巻き込まれる可能性も増えてきていた。
また、動きが格段によくなったうえに元々の攻撃範囲の広さから自分で紫水晶を破壊してしまう事も多くなってきていたのだ。
結果、こうなったらもう、派手で強力だが、巻き込まれたらひとたまりもない攻撃の応酬の中、無理にサポートせずに大人しく戦いの様子を見ることに徹しようとなったのである。
「いやー、長かったなぁ……でもこれで終わると思うと感慨深い物があるってもんだぜ」
「ええ、本当に……感慨深いものがあるわね……」
「……長かった」
レインボーウィザーズは現在全員一緒の場所に落ち着いており、一応すぐに動く事は出来るようにはしているが灰となった焼け野原で従魔を連れて全員いる。
五人は早くも戦いの終わりを思い始めていた。まだ戦いは終わっていないのだが、それも仕方ない事だろう。
ダイダラボッチが出来る前からどころかアンデッドドラゴンの呼び水になった雑魚魔物とからすでに戦っていたのだ。正直に言って足止め班からすれば長い戦いだった。
息を整えている間、上手く優勢に戦えている戦闘を見れば、思わず楽観的になってしまうのは仕方ない事と言えるのかもしれない。
だが、その状況が鈍い音とともに一変する。
突如響いたその音は、今までに聞いたこともないような重い音だった。まるでビルか何かの様な巨大な建造物が、細い焼き菓子でも折ったかのようにへし折れたような音。
そして次の瞬間、探索者の目に飛び込んできた映像は、今までの楽勝ムードをぶち壊しにするには充分だった。
ダイダラボッチの左足が、膝関節からぼっきりとへし折れていたのだ。
「……は?」
「……え?」
一瞬探索者達は目の前で何が起こっているのか理解できなかった。
光景に頭が追い付いてきたのは、足の取れたダイダラボッチが跪いたかのように、膝をついて体勢を崩したところだ。膝をついた衝撃で大量の土煙と衝撃が地を走って、ようやく理解が追い付いてきた。
「な、な、な……なんだとーーー!!」
「あ、足が折れたわ!」
探索者達がハチの巣をつついたかのような大騒ぎになる。
当然だろう。楽勝とはいかなかったものの、必死の思いで対抗できる兵器の作成まで持たせ、やっとの思いで出来た兵器がとうとうゴールが目の前という所まで持って来たという所で急転直下の展開である。
勝利ムードに水を差されたどころかの話ではない。
「枝野さん!?」
『……間に、合わなかった……!』
「ど、どういうことですか?!」
通信機に思わず大声を上げてしまう。
『……今のは足の構成を担当している魔法使い達の魔法力が切れたんだ。ダイダラボッチは、強力な反面燃費が悪いんだ。魔法力を総勢500人で練っても、魔法陣を使って魔法力の消費を抑えても長引けば……やはり……』
「そ、そんな……!」
そんなことをいっている間もダイダラボッチは攻撃をまだ続けるが、体の表面が風化するかのようにボロボロと崩れ落ち、腕や足、体にまでひびが入ってきている。
どう考えてもさっきまではダイダラボッチが優勢で事を運んできていたはずだったのに、ここに来て一気に逆転されてしまった。
そして、アンデッドドラゴンが容赦なく追い打ちを仕掛けてくる。
アンデッドドラゴンは口を大きく開け、崩れ行くダイダラボッチに追い打ちのレーザービームを仕掛けようとする。
「あ! させるか! 龍ちゃん!」
「お父さん乗って!」
秋彦の意を汲んですぐに飛び立とうとする龍之介だった。その判断は正しかった。しかし、アンデッドドラゴンはその予想の斜め上を行った。
なんと溜めをろくに行わないままにレーザービームを放ったのだ。そしてその一撃をもって、ダイダラボッチは完全に砕け散ってしまった。
「え?!」
その光景を見て探索者達は再び止まってしまった。ダイダラボッチのいない今、その一瞬の停止はあまりにも致命的だったと言える。
アンデッドドラゴンは、今度はその溜めの少ないレーザービームを今度は探索者に向かって撃ってきたからだ!
「う、うわ、うわあああああああああああ!!?」
「きゃあああああああああああ!!!」
レインボーウィザーズの絶叫は、レーザービームによる薙ぎ払いにかき消された。
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