第二百二十四話 終わりの始まり 猛攻と復元
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「……豊芦原、戦闘カモメを用意して。私はここでカモメの指揮と砲撃で攻撃する」
「了解―、的も大きいし味方も大勢いるから爆撃できないもんねー」
真っ先に行動を宣言する茜。機動力の高い従魔のトークンモンスターを使って戦いを挑む構えの様だ。
軽巡洋カメから【軽空母カメ】へと進化を遂げた豊芦原が使えるスキル、艦載カモメ発艦で出すことが出来るトークンモンスターは現在三種類いる。
偵察機の様に画像を採取し、豊芦原の元でトークンモンスターを操作する茜の目となる【偵察カモメ】と戦闘機の様に空対空の戦力として戦いを行う【戦闘カモメ】、そして従魔隊でもかなり活躍した、空から爆弾を投下して広範囲の範囲攻撃を行う【爆撃カモメ】だ。
今回は敵がとても大きい事と、下手に爆撃を行うと味方が巻き添えになることから戦闘カモメをチョイスした。
「まあ茜ちゃんはそれが妥当だね。一匹乗せてもらえる? やっぱり走るより空を飛んだ方が早く移動できるし、一歩歩くごとに起こる地震に巻き込まれないしね」
「……当然そのつもり、龍之介がいる秋彦以外は皆カモメに乗って」
「了解!」
「助かるー!」
優太と桃子もそれに便乗する。あの巨大な二匹がいる中で地面を走るのは機動力が下がるので乗っても飛べる従魔がいるならそれに越したことはない。
「エリザベス、貴方は下からけがをした人たちに回復をお願い」
「お任せくださいお母様!」
ジュディもそれを理解しているので、今回はエリザベスには地上での救助活動に専念させることにした様だ。
「よし、ほんじゃ改めて戦闘開始だな! 行くぞ!」
「……自分が乗っているのは自分で操作して。どう動きたいかを思い浮かべればカモメはそう動くから。行ってらっしゃい」
秋彦の指示で茜以外の全員一斉に空へ飛び出す。ある程度上空に来て、改めてダイダラボッチとアンデッドドラゴンの方を見る。
もはや何と言っていいかわからないレベルの戦いである。
ダイダラボッチが右ストレートでアンデッドドラゴンの顔を叩き潰し、アンデッドドラゴンがダイダラボッチの肩に噛みつき、噛みついた頭をつかんで投げ飛ばし、そのまま頭をもぎ取る勢いで首を絞め上げ、もがくアンデッドドラゴンがダイダラボッチを渾身の力で蹴飛ばし、互いに少し距離を取る。
「はああぁ……なんて迫力なのかしら!」
「ただのステゴロのタイマンなのに、なんでこう迫力があるんだろうなこれ……」
正直に言えば、やっている事としてはただの挌闘戦だ。別に何か特別なことを行っている訳では無い。
だが、片や土、片や腐肉と骨の圧倒的な質量を誇るこの二体がそれをやるだけで、たちまち天変地異もかくやと言う程に荒れ狂いようである。
二体が相手を打ち倒さんと派手に動くごとに空と大地が混ざって破壊されかねないと思えるほどの力強さだ。
秋彦は幼い頃に見た日曜朝のゴールデンタイムにあった戦隊物の後半で怪人が巨大化し、それに対抗するために正義のヒーローが超巨大メカを合体させ、怪人に立ち向かう戦隊物の後半に大体いつもあるバトルを思い出していた。
まさか子供の頃にフィクションで見た光景を本物で、しかも目の前で見ることになるとは思わなかった。人生どうなるかわからない物である。
しかし、双方ともにあそこまで派手に暴れられると近づくのはかなり危険だろう。今はとりあえず枝野からの指示を待ち、紫水晶のありかが分かったら空から素早く近づいて紫水晶を破壊するのが最善だろう。
出来ればダイダラボッチに破壊してほしい物だが、正面から戦っているとそれも難しいだろう。そこら辺はうまくフォローしなければいけない。
『聞こえるか? 紫水晶の出現先が特定できた、次の出現先は右足の付け根付近だ!』
考えていたら早速枝野から指示が来た。正直可動部はかなり危ないが、もう慣れた物である。近くまで行ったら魔力感知で場所を割り出して、すれ違い様に破壊をする!
「倒れるぞー!!!」
ダイダラボッチとアンデッドドラゴンが派手に戦いだしたことで攻めあぐねている探索者達に警告を叫ぶ。
何度もあの巨体を倒しているから、倒れた時に巻き添えにならないように、そしてすぐにアンデッドドラゴンコアの元に行けるように自然と警告イコール合図と取り決められていったのだ。
「て、手際良いわね……」
「もう何回もやってるからね、いい加減慣れた」
「じゃあ行こう! 早く壊さないと!」
「そうだな……うお!?」
コアの破壊に向かおうとしたらダイダラボッチがコアに向かって両手を組んだ状態で思い切りコアを殴りつけた。見事なダブルスレッジハンマーである。
そしてその後も両手でコアを押しつぶすように力を籠め、破壊を試みていた。
「おー! すげーすげー! いいぞーやっちまえー!」
「な、なんかめっちゃ攻撃してる……い、行かなくていいのかな……」
「無理よ優。あれはもう手出しできないわ」
「あ、あたしの出番……」
空からコアの破壊を試みるダイダラボッチをしばらく見守る。そうして遠くから眺めていると、コアに変化が起こっていることに気付いた。
「見ろよ親友! あのコア! 攻撃はいるたびにどんどん黒ずんでいってねーか!?」
「あ! 本当だ!」
初めは赤い光を放っていたコアが攻撃を受けるたびに黒ずんでいき、また黒ずんでいくごとにひびが増えていっている。
「こりゃ終わりも近いかも知らんな!」
『皆、こちらでもモニタリングを行っている。あいつはもう魔法力が最初の頃と比べて半分以下になっている! コアの変化もまさにそれだろう!』
歓声が上がり、この戦い、いよいよ勝利が見えてきた実感がわいてきた。
が、アンデッドドラゴンはそうは簡単にはいかせないらしい。コアのヒビがかなり大きくなった辺りでアンデッドドラゴンへコアが戻っていき、再び立ち上がった。
そしてアンデッドドラゴンはさっきまで行っていなかったゾンビブレスをあたりにまき散らしてきたのだ。
「え、今更雑魚を蘇らせるの?」
「いよいよおしりに火が付いたのかな……?」
行動の意図が読めずに暢気なことをいう桃子と優太だが、その予想は外れた。
蘇ったアンデッドドラゴンの腐肉から生まれた雑魚魔物は蘇ったと同時に一斉にアンデッドドラゴンの元へ集まった。そしてアンデッドドラゴンの身体に張り付き、溶けてしまった。
「え?! な、なんだ、どうしたっていうんだ?」
『な! そんな……!』
行動の意図が読めずに困惑していると、通信機越しに枝野の驚愕した声が聞こえてきた。思わず枝野に呼び掛ける。
「え、ちょ、いったいどうしたんですか? 奴に何が起こったんですか!?」
『信じられん……奴の魔法力が回復した!』
「……はぁ!?」
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次の投稿は10月1日午前0時予定です。
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