第二百二十一話 終わりの始まり 戦いの鍵
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「うわあああああ!! なんだありゃああああ!!?」
「すっげー!! あれ味方かよおい!!」
「やった! 時間稼ぎが功を奏したぜ!!」
前線から雨宮の通信を受け、振り向いた時に見えた物を見て前線組は思わず勝利を確信した。
あまりの巨大生物に蟻の一刺しながらも懸命に戦い続けていた探索者達、それに対抗できそうな超巨大ゴーレムが現れたのだから当然と言えば当然かもしれない。
早い勝利宣言に釘をさすように枝野から通信が入る。
『こら! 敵がまだ目の前でぴんぴんしていると言うのによそ見しながら勝利宣言するな! 君らだってまだ仕事はあるだろう!』
「わかっています! 前線の陽動班である俺らは、これから全力で雑魚魔物の掃討と、紫水晶の捜索、破壊でダイダラボッチをサポートします!」
「負傷者は一旦後方に下がり、怪我の治療および魔法力の回復を図り、前線復帰を目指します!」
『分かっているならよし! この戦い、今までと変わらずカギとなるのは君達前衛組だぞ、行け!』
枝野からの指示を受け、全力で二手に分かれる探索者達、アンデッドドラゴンが生んだ雑魚魔物と戦う班と、後方へ撤退する班である。
そう、ダイダラボッチが完成したらもう前線組はお役御免という訳にはいかない。
何せ正面から戦いを挑む以外にも有効な破壊の手段を見つけているからだ。すなわちアンデッドドラゴンの身体にある紫水晶を破壊することでダウンを取り、ダウンを取っている間のみ露出するコアを攻撃し、破壊する。
もう何度目かのアンデッドドラゴンの末端との戦闘で負傷した者達は、一旦後方へ下がり本部から輸送されてくるポーションを飲んで、前線復帰を果たす。
ダイダラボッチが来るまでと違う事は、これまで以上にアンデッドドラゴンがたびたび復活させてくる雑魚魔物との戦闘に注力できることだ。ダイダラボッチが正面から戦い、戦闘の邪魔をさせないように雑魚魔物を掃討、隙を見つけて紫水晶を捜索し、破壊。そしてコアをダイダラボッチも含めて総攻撃と言う戦闘に切り替わったと言える。
それはつまり雑魚魔物との戦闘自体は、負担的には今までと同じであっても、今までよりも紫水晶の捜索と破壊に人員を避けると言う事であり、それはつまりアンデッドドラゴンからダウンを取れる回数が大幅に上昇すると言う事である。
ダイダラボッチも急造されたものであることを加味して、なるべく早く戦いを終えたい所だ。カギを握るのはやはり前衛で武器を振るっていた人々と言う事である。
「うおおおお!! 我らの興廃この一戦に在りぃ!!」
「勝ちの目が見えてきたあああああ!! やぁるぅぞぉおおおおおお!!」
「おぉれぇにぃ!! まぁかぁせぇとぉけぇええええええ!!」
前線組はもはやテンションがおかしなことになっている。あれだけ大きな秘密兵器があって尚、戦いのカギを握るのは自分達と言われたからか。正直気持ちは分からなくもないのだが、だからこそ落ち着いてほしい物である。
どこか冷めた目でテンションが上がり切っている前衛組を見送った後、再び龍の角笛で龍之介を呼び出し、空へ舞い上がる。
「お父さん、次は僕たちどうするの?」
「うーんそうだな、いくらあのデカさであってもレーザービームに耐えられるかどうかも未知数だし、そもそもあんなもん一発も当たらねー方がいいに決まってる。あいつがレーザービーム撃とうとしたら全力で妨害してやろう!」
「わかった!」
そういっていると早くもダイダラボッチに向かってアンデッドドラゴンがレーザービームを撃とうしていた。
ダイダラボッチはまだ距離があり、このままでは一方的に的になるだけの距離、どうやら早速の出番の様だ。
「龍ちゃん、あの野郎の顎の所へ! 撃とうとした所に一撃ぶちかまして無理やり顎閉じさせて不発にしてやるぞ!」
「わかった! 行きます!」
この作戦は顎を閉じさせるタイミングが重要だ。タイミングとしてはレーザービームを撃とうとする瞬間がベストだろう。魔法力が極限にまで高まり、今まさに攻撃を放とうとした時に、その攻撃を台無しにするかのような一撃を食らわせられれば、レーザービームの逆流によってアンデッドドラゴンへのダメージさえ見込めるだろう。
龍之介と秋彦は顎の下を飛び回りながらその瞬間を待つ。出来るだけすぐに体当たりが出来る様に速度を出しつつだ。
「すみません枝野さん、あいつがビーム放つタイミングちょっと教えてもらえませんか?」
『分かった、こちらでも観測している。そろそろ発射のタイミングだ、引き続き一定の距離を保ってくれ。突撃タイミングはこっちで指示しよう』
「了解です!」
指示に従い枝野の合図を待つ秋彦。
空において緊張が高まるが、地上ではすでにアンデッドと化したアンデッドドラゴンの一部足る魔物の撃破が終わっていた。いくら強力な魔物とはいえ、すでに何べんも戦った相手である。いい加減要領はつかめて当然だった。
地上の様子を見て安堵したのもつかの間、枝野から突撃の指示が入る。
『いまだ! 突撃!』
「了解! 行くぞ龍ちゃん!」
「行きます!」
アンデッドドラゴンは顎を最大限に広げ、今まさにレーザービームを放とうとしていたところだ。タイミングとして申し分ない状態だ。
秋彦と龍之介は最高速でアンデッドドラゴンの顎へ向かい、口を閉じさせるように攻撃を仕掛ける!
「ドラゴンタックル!!」
「ぶっとべおらぁ!!」
龍之介の体当たりに合わせる様に渾身の突きをお見舞いすると、目論見通りアンデッドドラゴンは大きく開いた顎を閉じた。
今まさに放つ直前であったレーザービームの力の塊は霧散し消えてなくなった。
「よっし! 作戦成功!」
『よくやってくれた秋彦君! 解析が終わった、次は右後ろ脚に紫水晶の反応を検知した!』
「了解! 行くぞ龍ちゃん!」
レーザービーム不発作戦は成功した。そして紫水晶の場所を指示された秋彦達は紫水晶の所へ急ぐ。勝負はまだまだこれからである。
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次の投稿は9月25日午前0時予定です
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