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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
地方都市奪還作戦 本戦開始!
223/385

第二百二十話 終わりの始まり ダイダラボッチ出撃!

累計PV数367万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「うううう……」

「ぬぬぬぬぬぅ……」

「うああああ……」


 土属性魔法専用の魔法陣にそれぞれ決められた場所、位置にそれぞれが着き魔法力を増強、増大させて一つの巨大ゴーレムを作る作戦。


「うーん……これは……想像以上にきつい……」


 一人一人が額に玉のような汗を掻きながらの作業、同調である。しかしそれを一手に束ねる雨宮は、ダイダラボッチを作成する為の、制御の想像以上の難易度の高さに、体が引きちぎられそうな程に苦痛を味わうことになっていた。

 現在、雨宮を中心とした巨大ゴーレム、ダイダラボッチ制作班はかなりの苦戦を強いられていた。

 当たり前だが、まず総勢500余名の人間が一斉に力を合わせると言うのが難しいものがある。十人二十人のチームが一斉に力を合わせているのは訳が違うのだ。増して一人一人の心が強く反映される魔法の同調である。

 焦りの感情が、怒りの感情が、恐怖の感情が、一つ一つは些細な感情であってもそれが数百人規模で集まると、かなり面倒な同調の障害になるのだ。

 更に今はゴーレムを製作した後、ゴーレムを操作する事にもなる。その時に余計な感情が入ると操作の時に余計なブレとなってしまう。

 はっきり言って操縦者以外のゴーレム作成のための部品となる人々は可能な限り心を無にし、何も考えずに操縦者にゆだねる必要がある。

 だが、人に感情がある限りなかなかそうもいかない。今は人間側が追い詰められているとあればなおさらである。

 だがそれでも前衛組が必死になって稼いだ時間を使ってゆっくり、確実に魔法力を同調させることによって同調やゴーレム作成、そして操作の邪魔になる余計な感情を丹念に排していく。

 焦りの感情を落ち着かせ、怒りの感情を落ち着かせ、恐怖の感情を奮い立たせ、丹念に丹念に魔法力を練っていた。

 その練り上げの中心にいるのは勿論雨宮だ。この作業は雨宮こそまさに適任だったと言える。多くの人に対して顔色を窺ったり人にものを頼んだりと、いろいろな人に対して様々な形で寄り添い、知らず知らずのうちに相手にいい感情を持ってもらえる、雨宮の天性の才能ともいえるものだ。その才能をもって、この大人数の魔法力を、感情をまとめ上げ、練り上げていた。

 たっぷり時間をかけて魔法力は膨れ上がっていく。

 もうすぐ、もうすぐでゴーレムの作成にかかれる。

 もう何度目かのアンデッドドラゴンのダウンが、前線の様子はわからなくとも上手くやっていることを想像させ、それが安心へとつながって魔法力を同調させることに成功している。

 その膨れ上がった魔法力は今やアンデッドドラゴンにも見劣りしない程に膨れ上がっている。

 今ならいける。そう確信した雨宮は魔法力の同調をし続けていた仲間に対して声を掛ける。


「さあ……皆そろそろ始めていこうか……」

「やっとですか……待ちくたびれましたよ……!」


 雨宮は再びマジックバッグを取り出す。中に入っているのはクリエイト・ソイルで作り上げた魔力の籠った土だ。どさどさと大量に出て来る魔力の籠った土に、魔法陣の上で同調を行った事で高まった魔法力を込めて丹念に練る。

 ここにクリエイト・ウォーターで作成した水を加え、物理的にも練り上げていく。柔らかすぎず、硬過ぎずの塩梅が重要だ。

 ほどよく混ぜたら粘土状になった土にゴーレムコアを埋め込んで形を形成していく。骨を作り、筋肉を作り、皮を作り、足から順番に作成していく。

 一つの骨に一つのコア、一つの場所の筋肉に一つのコア。これから作るゴーレムは全員で一つ。全員で体一つを形成する大掛かりなゴーレムだ。一つ一つの場所に人一人分の力がこもる。本来は一人ですべての部位を作成し、動かす物だ。

 常識では今まで考えられもしなかった代物。

 なぜなら、理論上は作れるがこんな大掛かりかつ強力強大な物いったい何をするために作ると言うのだと言うレベルの代物だからだ。

 本来必要にならない上にあまりにも大きく場所を取る代物だ。アンデッドドラゴンクラスの巨大さと強さを持ったものでなければ必要に思われなかったもの。

 500人もの探索者の魔法力を同調させ、魔力を練りに練って作り上げる超巨大ゴーレム。それは徐々に足から順に確実に形成されていく。

 骨組みに胴体から上の超重量に耐えるべく筋肉をこれでもかと言わんばかりに付けた足。

足と胴体を繋ぎ合わせる腰。

 攻撃の要である腕を存分に振るう為に、バランスを保ち、足の負担を減らす為にたっぷりと筋肉をつけた胴体。

 このゴーレムの最大の武器であり、防具である腕。

 そしてこのゴーレムを操作するために無くてはならない操縦桿である頭。

 造形自体は細部の作りこみはされていない。もとよりそんなものは必要ない。

 膝を抱えた体育座りの状態で作成されたそれは目の前で足止めを喰らうアンデッドドラゴンと比べてもそん色ないほどの大きさ、魔法力をもって静かに命令を待っていた。


「で、出来たぞ……ダイダラボッチ!」


 雨宮が完成を宣言しても、誰も喜びの声を上げなかった。全員それぞれの部位を形成、維持するので精一杯になっているからだ。あるいは全員が一つの身体として形成された故に個の意思を一旦手放しているからともいえるだろう。

 雨宮は通信機に声を掛ける。


「前線の皆! 待たせたね! 後衛組、準備が整った! これより対アンデッドドラゴン用超巨大ゴーレム、ダイダラボッチを出撃させる!」


 雨宮が立ち上がるようにゴーレムを想像する。

 その想像通りにダイダラボッチは立ち上がった。立ち上がる挙動の一つで派手に地面は揺れる。


「さあ、これが我々土魔法使いの意地だ。何が何でも、勝たせてもらう!」


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は9月22日午前0時予定です

よろしくお願いします!

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