第二百十九話 終わりの始まり 更なる窮地!
累計PV数367万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「んんんんんん~……そこだ! うおりゃああ!」
枝野に指示された位置へ向かった秋彦は、魔力感知で紫水晶を探し当て、打ち砕く。
再びアンデッドドラゴンからダウンを取ることが出来た探索者は一斉にコアの元へ向かい、破壊を試みる。
「よし、龍ちゃん。俺らも向かうぜ」
「はい!」
………………………………
野太い声を上げながらの武器による攻撃、魔法による攻撃を加えるが、魔法力自体は弱まりを見せるもののコア自体には傷一つ付かない。
『どうだ?! 魔法力は少しづつだが減ってきているんだが!』
「だめです! ヒビどころか傷一つ付いてねぇ!」
「ただの宝石じゃねーのか! 探索者のパワーで傷一つ付かねーってどういうことだよ!」
あまりの硬さに思わず悪態をついてしまう。
だが、それぞれレベル30をすでに超え、尚且つ持っている武器も現状人類が用意できる中ではほぼ最高峰クラスの代物ばかりのこの部隊をもって傷一つ付かないと言うのはやはり驚くべきものである。
コアと言うのは明白な弱点であり、そこを突けば相手は死ぬしコア部分は比較的壊れやすいと言うのが通説だが、どうやらこのコアはそれには当たらないらしい。
『諦めるな! 一点集中だ! とにかくヒビ一つ、いや傷一つでもいいからとにかく付けるんだ!』
「うおおおおお! 探索者魂、見せてやらああああ!!」
『そしてもう一つ注意だ! アンデッドドラゴンの魔法力が増大している! 恐らく後数分でアンデッドドラゴンが起き上がるとみられるので、いつでもその場から撤退できるようにしてくれ!』
「イエッサー!!」
そして再開される集中攻撃。探索者の猛攻を受けてなお目立ったダメージが見受けられないが、枝野が言うには魔法力は削れているらしい。
ならば本命の攻撃、雨宮達の策がなるまでの間、前線は時間稼ぎであり、雨宮達が楽になるよう少しでも削っておかなければならない。
そう思って尚攻撃を仕掛けるが、残念ながら時間切れの様だ。
アンデッドドラゴンのコアが再び喉元へと戻っていき、アンデッドドラゴンが起き上がってしまった。
「ああ! くそ、起き上がっちまった!」
「……まて、何だあいつ何かする気だ!」
「なんかやばいぞ! 撤退! 撤退―!」
アンデッドドラゴンが起き上がった後、口から緑黒い煙の様な物が漏れ出していた。それに気づいた探索者達は、巻き込まれまいと一目散にその場から離れる。
アンデッドドラゴンが口を大きく開け、口から緑黒いブレスの様な吐き出してきた!
ブレスは先ほどから撃っていたレーザービームとは違って、広範囲を覆っていき探索者達の足をもってもなかなか逃げ切れるものではない。逃げきれない探索者達も出てしまった。
「うわあああああ!」
「み、皆―!!」
緑黒いブレスに巻き込まれる探索者達。数としては半分以上の探索者が巻き込まれている。もしもこれで巻き込まれた人々が全滅したならもう勝ち目はほぼないと言っていいだろう。周辺に対し広範囲かつ高速の攻撃を受けてしまった。はっきり言って状況的には絶望的である。
ブレスが晴れ、凄惨な様子を思い浮かべていた探索者達。だが、ブレスが晴れた後の光景はある意味予想外だった。
「あ、あれ……?」
「い、生きてる……」
「よ、よかった……」
何とブレスに巻き込まてた探索者達は全員生きていた。しかも無傷である。最悪全滅を考え、今ブレスに巻き込まれていない人々は撤退をしようと考えてさえいたのに、拍子抜けと言ってもいい状態だ。
「は、はは……なんだよ脅かしやがって……」
巻き込まれた人々全員の死さえ覚悟しなければならない状態からの被害なしと言う状態に拍子抜けの声を上げた探索者。
しかし、そんなに甘いわけがない事をその後すぐに思い知らされることとなる。
拍子抜けの声を上げた探索者に突如衝撃が走った。
視線を下に下げると胸から魔物の腕が生えていた。他の人たちはそれがすぐに後ろにいた魔物から奇襲を受けた物だとすぐにわかった。
「な……に……?」
「クソ! うりゃあ!」
「おい大丈夫か! はぁ!」
「うぐ……すまねぇ……しかし、これは……」
他の探索者が攻撃してきた物の腕を切り落とし、攻撃されたものがすぐさま腕を引っこ抜き、近くの更に別の探索者が素早く回復魔法をかけた。常人であれば発狂してもおかしくない自分の胸を貫かれたという出来事に対しても即座に対処し、全く怯まない精神力は流石の地方都市奪還作戦参加者と言ったところだ。
そして今探索者を攻撃してきたのは、先ほど探索者達が全滅させたはずの魔物であった。
ただし、魔物の肉はアンデッドドラゴンの腐肉から作られていて元々腐りかけでぐずぐずになっていたものがさらに腐敗が進み、もはや泥の水たまりのようになっており、それが襲い掛かっているかのようになっていた。
『……解析完了、今のアンデッドドラゴンのブレスの正体がわかったぞ。それは生きている物に対しては効果がないが、死んだものをゾンビの様によみがえらせ、己の手ごまに変えてしまう物の様だ。ゾンビブレスとでもいうべきか』
枝野から告げられたアンデッドドラゴンのブレスの正体。今の一連のやり取りで薄々感づいてはいたが、いざ本当にその正体が割れると何と悍ましい物か。
そしてこの戦い、負けられないと言うよりも自分達が死ねない理由がまた一つ増えた。
もしこの戦いで殺されれば、ゾンビブレスによって無理やりよみがえらせられ、アンデッドドラゴンの手駒として仲間たちと戦うことになる。
最悪である。ただ死んで役に立てなくなるばかりか自分達の死が仲間の迷惑になる。何が何でもここで死ぬわけにはいかない。
このブレスがあると言う事は、向こうは何度殺してもゾンビブレスで復活するだけでなく、仲間の死で戦力を増強しにかかっていると言う事でもある。
数での不利をも徐々に巻き返しにかかっているという訳か。
『とにかく自分達の命を、仲間を死なせないことを最優先にするんだ。光魔法がいればその人を中心に確実に敵を倒していき、倒した死体は浄化した上で燃やすんだ!』
「了解! くっそー、雨宮さん達はまだなのかよー!」
苦しくなる状況に泣き言が響く。弱音を吐きたくなくても出てきてしまうと言う物である。
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次の投稿は9月21日午前0時予定です
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