第二百十五話 終わりの始まり 必死の足止め
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
とにかく、これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
巨大なアンデッドドラゴンは再び歩き始まる。一歩一歩が地震の様に大地を揺るがして歩く姿はやはり怪獣映画か戦隊シリーズの後半に出て来る巨大怪人かといったところか。
「行くぞー! 俺に続けー!!」
真っ先に先陣を切るのは秋彦だ。と言うか他の面々がまだ覚悟決め切れていなかったのが結構いたので先陣を切る事で残りの人たちを引き連れようとしたのだ。
「う、うわああああああ!!!」
予想通りについて来てくれた。いくら秋彦でもたった一人でこれの相手はまずできない。残りの覚悟決め切れていない人々がついてきた事でまずは一つ関門突破と言ったところだろう。
だが、やはり簡単にはいかなさそうである。何せ敵が一歩踏み出すごとに前衛の攪乱担当の戦士達の突撃は止まる。向こうの規格外の質量による移動が起こす地震が、震源地に近づけば近づくほどに強くなっていきそれがどうしても探索者達のバランスを崩して動けなくなる。
一歩一歩の感覚が巨体故に非常に長い事から何とか近づけてはいるが、この巨体が繰り出す攻撃は当たったら即死なのはほぼ間違いないだろう。
だがそれでもやらねばならない。こんなとんでもない物が出てきた以上野放しには出来ないのだから。
アンデッドドラゴンがまた一歩進もうとする。
『今だ! 跳べー!!』
ギルドマスターから通信機越しに指示が飛ぶ。そしてそのタイミングで攪乱組全員がジャンプをした。そうすることでアンデッドドラゴンが一歩進むごとに起こる地震をタイミングよく跳ぶことで回避をしたのだ。これでより早くアンデッドドラゴンの元へ行ける。
そうして秋彦を含め何人かはアンデッドドラゴンの前足へ到達し、攻撃を行う!
が、流石と言うかやはりと言うか、この山の様にでかい肉の塊と言う、圧倒的な質量でダメージらしいダメージにはなっていない。それどころかまともに足止めになっているかも怪しい所である。
「ひええ、全然効いてる気がしねー!」
「やっぱり質量がすごすぎる!」
このままではかく乱にさえならない、今の秋彦達探索者達とアンデッドドラゴンではハエや蚊と人間位の差があるだろう。
だが、それならそれでうっとうしいと思わせることくらいは出来るはずだ。蚊だって耳元で鳴いて血を吸えば人間は躍起になって潰しにかかるだろう。今の自分達は攪乱を担当しているのだ。兎にも角にも注意を引かねばならない。
だが、こんなチマチマと足を攻撃していても大したダメージにならないのは明白だ。このままでは与えられた役割をまともにこなせない。自分だったら小さい敵を相手にしたときダメージにならずともうっとうしいと思わせるためにはどうするべきか。
少し考えて、秋彦は閃いた。
「よーし……なら、これでどうだ!?」
秋彦は一旦槍をしまって両手につばを吐きかける。そして、たどり着いたアンデッドドラゴンの右腕から一気によじ登り出した。兎にも角にも相手の注意を引かなければならない。
それなら効かないのは明白でも相手の顔の所まで行って攻撃を仕掛けることで注意を引こうとしているのだ。
アンデッドなら、どこを攻撃しても同じかもしれないが、それでも試さないよりはマシだ。と言うより現状満足に足止めできない以上他にやれることが無い。一か八かである。
「うおおお!!!」
腐食した魔物の身体は正直かなり臭うしさわり心地も最悪だが文句を言っている場合ではない。
幸いアンデッドドラゴンが動くことによって発生する地震はこの体自身が吸収するが、今度は動く体自身にしがみついて昇っているので動くごとに耐える必要がある。
とはいえアンデッドドラゴンに向かう距離とアンデッドドラゴン自体の体長に比べたら全然ましだ。
あっという間にアンデッドドラゴンの背中に到達する。そしてそのまま背中を走り抜けて首に到達し、そして更に先の顔までやってくる。
「うおらああああ!!」
そして鼻に思いきり槍を突き立てる!
この大きさにも拘らず意外に手ごたえがある。やはり顔は他の部分よりも少々守りが薄いらしい。
だがあまり悠長にしている暇はないらしい。アンデッドドラゴンは顔にいる秋彦を振り落とすべく顔をブルブルと振るい始めた。秋彦としては、てっきりアンデッドだからされるがままに攻撃されると思っていたのだが。
だが、折角相手が嫌がっているのにむざむざ振り落とされてやる訳にはいかない。鼻に突き立てた槍にしがみつき踏ん張る。
「うおお! ぐ、ぐぐ……」
我慢比べの勝負だ。
アンデッドドラゴンは何とか振り落とそうと頭を震わせているが、どうやらそれに夢中で歩みが止まっている。と言う事はこの勝負、長引かせれば長引かせるほどに時間を稼げると言う事でもある。
こうなったら意地でもしがみついて勝たなければいけない。
「負ぁけぇるぅかぁ……!」
振り回されながら、ちらっと遠くを見る。
見た先には何やら魔法力が集中しており、どんどん膨れ上がるように高まっているのが感じ取れ、また見て取れた。
雨宮達も何らかの考えがあり、それが期待外れではなさそうなことに秋彦は少し安堵する。
こちらは任せておけ、でも今は何とかなっているだけだからなるべく早く何とかしてくれ。
そう思わずにはいられなかった。
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