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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
地方都市奪還作戦 本戦開始!
212/385

第二百九話 終わりの始まり 見守る人々1

累計PV数349万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「アナタ! 大変! 大変よ!」

「どうしたんだこんな夜更けにそんなに慌てて」

「テレビ! テレビ!」


 深夜0時過ぎ、ニューヨーク。

 南雲夫妻は今まさに寝るという所だった。が、テレビを見ていた秋彦の母である彩芽がわざわざ書斎にこもっていた早雲を大声で呼び出す。早雲も妻のあまりの騒ぎ様に何事かと思いテレビを見る。


『ご、ご覧ください! 魔物が、魔物達が集結してどこかへ向かっております! 今までの傾向を見る限りこれはボスチェンジ現象が始まる前兆に見えます!』

『そのようですね! 地方都市奪還作戦に参加している偵察班からの情報によりますと、現在テロップで表示されています地域が魔物の通り道になる可能性が非常に高いです! 皆様どうか早めの避難をお願い致します! また該当の都市には決して近づかないようにしてください! 以上中継からでした!』

『はい、ありがとうございます!』


 それを見た瞬間早雲の顔からは血の気が引き、体は固まった。何が起きているのかがすぐにわかったからだ。

 とうとう始まったのだ。日本にとって最後になるであろう戦いが、日本の命運をかけた戦いが。


「なんと言う事だ……とうとう始まったのか……」

「ど、どうしましょう……?」

「……今は秋彦達を信じるしかないよ……僕らじゃもうどうこうできるレベルの出来事じゃない……」

「ああ……秋彦、お願いだから無事に」


………………………………


 場所は戻って日本。そして東京。東京の一等地に建つ武家屋敷の如き一軒家。

 家の持ち主である書生を思わせる和服を着た口ひげを生やした初老の男性、茜の父である巌はいつになく厳しいしかめ面だ。

一見すると機嫌が悪いようにも見えるが、付き合いの長い人は知っている。これは緊張から来ている物だと。

 それが証拠に先ほどから胡坐をかく膝が貧乏ゆすりで揺れているし、ちょくちょくと茶を飲んでいて落ち着きがない。

 そんな様子を見かねた着物を着た綺麗な女性、巌の妻であり茜の母である陽子が一喝する。


「貴方、落ち着いてください。あの子たちは勝ちます」

「う、うむ……わかってはいる。わかってはいるのだが……な」


 巌はこう見えて意外と緊張等の感情が態度に出てしまうタイプの人だ。普段は政治家をやっていることもありもっとどっしりと落ち着いているのだが、娘が死地に飛び込んでいるとあっては落ち着かないのはやはり親だからか。


「貴方はこの戦いの後を考えないといけないでしょう。見ていられないってテレビまで消したんですからそっちの方面の事でも考えたらいかがです?」

「馬鹿を言うな、今何をやっても何も手がつかないに決まっているだろう……」

「それならせめてあの子たちの無事を祈りなさい、あの子たちが事に当たると言うのに何で貴方がそんなにガチガチになるの、私はもう腹を決めたわ、そして信じる事にしたの。あの子たちは絶対に勝つってね。ほら、縮こまってないで少し体を動かしてきなさい!」

「う、うむ……」


 この胆力はある意味巌が持つべきなのかもしれないが、陽子は存外肝が据わっている。そして存外尻に敷かれている巌であった。


………………………………


「とうとう始まったか……」

「すごいわ! こんな大舞台に上がっちゃって、さっすが私の子! あの子はもう、私を超えたわね!」


 フランスの早朝。起き抜けにニュースを見て頭を抱える男性と、高らかに笑い興奮する女性が一人。

 男性は眼鏡をかけ、顎髭を生やした中年男性。一見パッとしない風貌だが、実はこの人は知る人ぞ知る有名ブランドでデザイナーとして活躍している。

 そして興奮している女性は、桃子がもう少し大人になったらこうなるのだろうと言うほどに桃子にそっくりである。

 もうお分かりだろう。この夫婦は桃子の両親である。父であるくすのき しげるの仕事に母であるくすのき 百合根ゆりねがついて言った形でフランスはパリにいる。パリの時間は早朝だ。起き抜けにいきなりこんな衝撃のニュースを目の当たりにして両親は全く反対の感想を出したのだ。


「なんで君はそんなにウキウキしているんだ……娘が死地にいると言うのに」

「大丈夫よ、あの子は負けないわ!」

「……その根拠は?」

「決まっているじゃない! 私とあなたの子よ? 絶対無敵のすっごい子なんだもの! 負けるはずないわ!」


 その答えを聞いて茂は頭を抱える。

 百合根はいつもこうなのだ。楽天的と言うか自信家と言うか。根拠もないのにどこか自信満々なのである。

 しかしそんな姿を見ていると、何故か自分もそう思えてくるから不思議なものだ。これが元アイドル上がりの女優であり、今も尚、仕事で俳優業を営む彼女の魅力なのかもしれない。


「……そうだね、今は信じようか。僕たちの娘の事を、君が言うと本当に大丈夫な気がしてくるから不思議だよ」




皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は8月27日午前0時予定です

よろしくお願いします!

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