第二百八話 終わりの始まり 合流妨害
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
とにかく、これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「はぁ……はぁ……ぼ、妨害班はもういないな……貰った紙に全部チェック入ったし……」
「ふむふむ……ええ、問題ないわ。確かにチェックに入った人員全て送り出せたみたいね」
「……今確認した。迎撃班も残りは今ここにいる人たちで全員」
「え、確認したんだ! 茜ちゃん早いね」
「……書類のチェックはお手の物」
魔法力を捻り出しての転送も無事終わり、後は関ケ原へ向かうのみとなった。
大阪より西方面へは秋彦は実は行った事が無いのでこれ以上迎えに行けないので、残念ながら西側の人々は自力でやってきてもらう必要がある。
とはいえそれは妨害が終わった妨害班の人々も同じである。なので遠くであってもなるべく早く戻れるように政府と連携しての作業である【非常事態封鎖】が行われていた。
彼らはこの日の為に高速道路に敷かれた高速道路の非常事態による封鎖の恩恵を受けており、警察、自衛隊による特例措置によって速度制限を一切無視していいことになっている上に、高速道路を走る一般車両はいなくなっているのだ。
つまり探索者しかいない高速道路をさながらレースゲームに出て来る車の様な速度で走ることが出来るのである。しかもそれが原因で咎められることはない。
勿論飛ばし過ぎて事故になったらどうするんだと思う人もいるかもしれない。しかしそこも心配ない。
なぜなら運転手も探索者だからだ。探索者が鍛え上げた脅威の動体視力によって、アクセルベタ踏みによるとんでもない速度でもしっかり捉えられるし、運転の疲労も何のそのである。
当然地方都市奪還作戦参加者ほどのレベルではないにせよ、運転手は探索者というこの状態、今は非常に心強いと言えるだろう。
「よし……じゃあ行くか!」
秋彦の号令にその場にいた残りの迎撃班が雄たけびを上げ、そして秋彦のテレポテーションに従って全員その場から消えた。
………………………………
廃墟と化した地方都市に土埃が舞う。
舞わせているのは魔物の大群だ。一匹一匹がたった一匹いるだけで下手な探索者では防衛しきれないほどの怪物共。それが一斉にこの国の一か所に集まろうと言う大行列となって土地を横切って向かおうとしている。
それらはすべてそれぞれがそれぞれを食らい合い、最終的に一つの最強となって人々を喰らいつくさんとする恐るべき弱肉強食の理に従う者どもである。
そんな悪鬼羅刹共を少しでも弱体化させるため、今奮闘するのが地方都市奪還作戦、妨害班である。
彼らが腕をかざし、魔法力を魔法陣に込めて魔法を使う要領で発動させればたちまち市街地に超巨大な火柱が上がる。通常の魔法とは比較にならないほどに強大な物だ。
これが罠魔法の特徴である。その場から動かせず、一つ張ることにさえ時間がかかる物のその分威力はかなり高い。現状優太の放つ炎魔法よりも攻撃力が高いのだからその威力は一個人に出せる領域ではない。
「よっしゃあ! 結構いい感じにぶっ放せた!」
「よしよし、次は俺だ! よっと!」
大声を上げた妨害班に乗せられるように、待機地点に用意された小さな魔法陣に手をかざし、魔法力を込める。
すると再び超巨大な火柱が上がる。そしてまた歓声が上がる。
彼ら妨害班の罠担当者は、あらかじめ様々な路地裏や小道などをふさぎ、大きな道に障害物はあえて置かない事で進行方向を限定し、その上で罠魔法を仕掛けることで罠魔法の成果を最大限にまで引き出している。
現在彼らはビルの上にて罠の上を通り過ぎようとしている魔物達を罠にて爆殺している。
威力は炎魔法に限定されてしまう事もあって炎属性が苦手な者には効果覿面だが、炎魔法が得意な者にとっては普通に突破されてしまう。
尚、何故炎魔法の罠魔法しかないのかと言うと、単純に罠魔法の開発期限の短さゆえである。本当はもっといろいろ構想はあったのだが、泣く泣くお蔵入りになったとは本当に泣きそうな位に悔しげな顔をした枝野の弁である。
「しっかし全然減らねーな……」
「まあ各地から一斉に集結してるんだ、それはしゃーねーって。でも頑張ってあっちこっちの道塞いで大きな川みたいに一つの流れに出来てるのはでけーよ、ほれあれ」
罠担当の一人が指をさすと、魔法でビルの上から運河の水のように押し寄せる魔物に向かって攻撃を行う魔法班。
さらに自衛隊の人々が主導で行っている狙撃班も、ビルの上から凄まじい量の矢を降らせている。
自衛隊の人々が使っている矢は勿論ただの矢ではない。白鋼を鏃に使った最近の弓使いの定番の矢である。が、どうやら今回の決戦に備えて特別大きい矢を用意したようだ。
そして発射している弓も勿論一般的な探索者が使う物ではない。
この時に備えて考案され、製造された巨大な据え置き式巨大弩砲、いわゆるバリスタである。
このバリスタは、自衛隊の人々が初めから探索者として日が浅く、単体では地方都市奪還作戦に参加する人々には遠く及ばない今の自衛隊の人達でも何とかこの戦いの役に立てないかと考え、試験的に製造された代物だ。
持ち運びは当然一人では無理で、運ぶにも使うにもレベル15の探索者3人分の手がいる巨大で手がかかる代物だ。
しかし、これを使っての攻撃の威力はすさまじいものがある。なにせ単純な戦闘力は3万を超える驚きの代物である。武器一つの装備で3万越えの戦闘力、勿論今の誰もある意味実験兵器的な意味合いもあったのかもしれない。
誰もがこの時の為に考え。悩み、備えてきていたのだ。今その集大成を以ってこの戦いを行っている。
しかし、誰かがぽつりと言った。
「……なんか、これゲームみたいだな」
そう、その様子はまるでタワーディフェンス型のゲームに似ていた。各地に罠や固定砲台を置いて、迫り来る敵を撃破しながら本拠地を守る。まさしくゲームの様だ。
「おいおい……それ割と今更だよな、ステータスとか魔法とかさ」
「ま、まあ確かに」
一瞬間をおいてどっとちょっと笑ってしまった。確かにステータスだのスキルだのがある時点でゲームの様な状態だなんて今更だ。
「でもこの世界はゲームの世界じゃねーし、俺らはゲームのプレイヤーキャラじゃねー。ゲームでいうゲームオーバーがそれ則ち死に直結するんだぜ?」
「お、おう、そうだな」
「ま、だからさ。ゲームクリアは大前提! リザルトもSSSランク行って最高のエンディング目指そうぜ!」
「……そう、だな、おう その通りだ!」
「よーし! いっちょやるぞ!」
改めて気合を入れ直し、ポーズしていたゲームを再開する。ハッピーエンドを夢見、そして叶えるために。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は8月24日午前0時予定です
よろしくお願いします!