第二百一話 レインボーウィザーズの従魔、第二進化!
累計PV数332万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
今回は投稿が遅れてしまい誠に申し訳ございませんでした。最近仕事が忙しくてですね……
とにかく、これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
午後はもう何も考えずに頭を空っぽにして従魔とふれあう事にした真崎と石崎。
しかしこうしてみると従魔も千差万別。似たような従魔も多いが、種類としては結構多い。
猫や兎、狼はそれなりに見るが、変わり種だとネズミ、ゴーレムっぽい岩の魔物、トカゲなんて物もいる。
そうやってあちこち見まわりふれあいながら広場をうろついている。と、何やら人だかりを発見した。遠目で見てもだれがいるのかがわかる。あの他の人と比べても頭一つ飛び出る図体は見間違えようがない。
二人は駆け寄って挨拶する。人だかりができていたが、今の二人ならば普通にすり抜けていける。
「やっほ、秋彦!」
「あ、秋彦だけじゃないね。レインボーウィザーズ勢ぞろいだー」
そこにいたのは秋彦、だけかと思いきやレインボーウィザーズ全員だった。
「あれ? マーちゃんにいっしー?」
「珍しい組み合わせだね、どうしたの?」
「いやなーに、ちょっと気晴らしにね」
詳しく話すようなことでもないのでちょっとだけはぐらかす。一応全くでたらめという訳でもない。
「そーいや皆さんどうしてここにー?」
「それが聞いてよ! 今日魔物の進化素材を集められたの!」
「だから今日ここで進化させちゃおうと思って! レインボーウィザーズ全員第二進化の瞬間をばっちりカメラに収めちゃおうって思ってさ!」
「……私の従魔の進化素材も、家に素材が届いていたから秋彦に取って来させた」
「まさかまさかの使い走りさせられた」
「お、おおう……お疲れさん」
若干最後がひどかったもののどうやら今回ここで次の戦いに備えてレベルが20になったレインボーウィザーズ全員の従魔を進化させ、レベル30まで成長限界を上げてしまおうと言う事らしい。
「それでこんなに周りにも人だかりが……」
「まあ、それだけ注目されてんのさ今回の一件で従魔ってやつはね」
「素材も補助貰ったりしたしね。次の戦いでは環境結界破壊は、従魔持ちが強行突破して環境結界の破壊をするかもって話も持ち上がっているわ。ここでさらに強くなった従魔達を見せておかなきゃね!」
「……出番はある。活躍させる。次は必ず……!」
なんというか女子全員はうきうき気分の様だ。
「なんか女子陣テンション高いねー」
「俺らだってわっくわくのドッキドキよ。従魔の進化。どんな風になるのか、俺の相棒の更なる力に期待しちゃうのは当然だぜ」
「ねー、本当に楽しみー!」
「あ、そうだったんだね。落ち着き払っていると思ったらそんなことなかったんだ」
男子陣も女子陣程露骨ではないにせよかなり楽しみだったらしい。
「結構いろんな人が見に来ているんだぜ、例えばほら」
目でちらっと秋彦が見た方にはジュディの両親がいた。何というか当たり前のようにいたので気付くのが遅れた。とりあえず頭を下げておくと手を振ってくれた。
そしてまた別の方向にはギルドマスターの一人、小野崎天音もいる。魔物研究家の肩書も持つ彼女にとっても今回の進化は興味を惹かれるものの様だ。
そして物陰でコソコソしているのは国内外を問わず記者がいる。この決定的瞬間を撮影しようとしているらしい。ご苦労な事である。もろばれである所も含めて。
「ジュディのご両親に小野崎さんはともかくとして、なんか変なのもいるねぇ……」
「あんなのは相手にしててもしょうがないからとっとと始めますよっと!」
そういうとギャラリーが拍手してきた。別に拍手してほしいわけではなかったのだが。
「さて、用意しました道具の数々、並べて並べてっと……」
そういうと秋彦は魔物の肉をどさどさと龍之介の前に出していく。魔物の肉1000㎏、要するに1tである。いくら重さを感じないと言っても実際出すとなかなか骨である。単純に物量が多い。
他のメンバーも自分の従魔の前にどさどさと、あるいは静かにゆっくりと素材を置いていく。
一番大変なのは茜だろう。鉱物資源は正直かなりかさばる上に硬く、普通にマジックバッグをひっくり返したらガラガラ落っこちてきてかなり危ない。慎重に、しかし素早く並べていく。
そうしてすべての素材を並べ切り、少し離れる。
全員一斉に光に包まれていく。その光に共鳴するように素材も光を放ちだした。これこそが進化の始まった予兆である。
この光景は前回の陽動戦の最中あちこちで見かけたものだが、今こうして落ち着いて進化の瞬間を見ると神々しいとさえいえる光景である。
そして主たちはと言うと完全に目が釘付けである。よほどにうれしいらしい。
そして、背中にひびが入り、ひびからこぼれた光が進化した従魔になる。正直初見はシュールとしか思えない光景だったが、見慣れてしまえば何でもないように思えてしまう。慣れとは恐ろしい物である。
『うおおおお!! 力が溢れるううう!』
最初に声を上げたのは龍之介だ。鱗の一つ一つが白金のような輝きを持ち、体はより一層大きくなり、今なら大きさだけなら都市部で最後に戦ったボスと比べられる大きさになっている。爪も牙も吸い込まれそうな輝きを放っており、我此処に在りと言わんばかりの存在感を示している。
『パパ、じゃなかったお父さん、どうですか!? 僕は立派になりましたか?!』
「何をいまさら、龍ちゃんはずっと俺の自慢の息子だし、ずっと立派だよ」
『うう……ありがとうございます!』
口調も幼かった今までの口調からだいぶ大人びてきた。どちらかと言うと背伸びしている子供のような雰囲気の方が近いかもしれないが。
『体が、溶けそう、なのです……!』
そういうと大きく声を出し、体から火を噴出させて体を震わせるコロナ。
体は今までの炎の様なオレンジではなく、どちらかと言うと白っぽくなっている。まるで何千度にまで熱されてドロドロになった鉄を見ているかのような色だ。
大きさも今までの普通の虎レベルの大きさではなく、乗用車1台分くらいはあるほどに大きい。体からも白っぽい炎が出ており、見ているだけで熱気が肌を焼きそうな程である。
『お父さん、また一歩成長しました。これからもよろしくお願いします。なのです』
「勿論だよ、これからも頼りにしているからね」
『えへへ……』
でも頭を優太に撫でられて喜ぶ様子は紛れもなく見慣れたコロナだ。相変わらずあざと可愛らしい。
『はあ! はぁ……ふぅー、清々しい気分でしたわ』
次はエリザベスだ。
見た目としてはあまり変わっていないが、そのオーラは非常に神秘的である。角の色も白く輝いており、白い鬣からは光が迸っているような錯覚を覚える。その姿はまさにユニコーンと言えるだろう。
「ああ、エリー。貴女とってもきれいよ……」
『お母様……ありがとうございます』
エリザベスの顔を抱くジュディの姿はまるで聖女の様に見える。なんというか周りのギャラリーまで思わず見とれてしまう。この一枚はあまりに神々しすぎて、写真にされていたりするのだが、それはまた別の話である。
『キュー! ルビィの宝石に光が満ちるのよ!』
とても高い声で元気いっぱいに宣言するのはルビィだ。
額の宝石が大きくなり、今までよりもさらに赤く美しい光を放っている。体の方もそれに合わせて大きくなっている。が、所詮今までが小さいせいで大したことはない。せいぜいリスが子猫の大きさになっただけである。
『ママ! ルビィ、もっと立派になったのよ! 褒めて褒めてー!』
「キャー! かっわいいー! そして綺麗になったわねー、流石あたしの娘!」
嬉しそうに抱き合う桃子とルビィ、マスコットとアイドルがじゃれ合う姿である。凄く絵になる。もともとビューティフルドリーマーのマスコットとして6人目のメンバーとまで言われていて一定の人気を持っているルビィである。写真集すら望まれるマスコットのそのはしゃぎようはファンから見れば是非とも写真に欲しいと思う人は多いだろう。
そして……
『うおおおおおおお!!!』
普段ののんびりした状態からは想像がつかない程に大きな声を出して進化をしたのは、豊芦原こと豊ちゃんである。
はっきり言ってこの中で一番わかりやすく姿が変わった子だろう。
まず姿が一気に大きくなった。龍之介が縦に大きくなったと言うなら豊芦原は横に大きくなったと言うべきか。船として大きくなったともいえるだろう。
そして武装にも変化が生じている。今までは甲羅の上に大砲だのなんだのが乗ったような姿をしていたが、今度のは何かが違う。
確かにそれなりに大砲だのなんだのはあるのだが、それ以上に大きく変化しているのは、甲羅の一部がやたらと細長く広いスペースがとられていることだ。そしてそれにひかれている妙な切れ込みと線がある。
見る人が見れば、それがカタパルトだと気付いたかもしれないが、この場にいる人々にはわからないことだろう。
豊芦原は、この進化を以って、今までのどの従魔とも違う新たな力を手にしたのだ。
『母様、僕はさらに強くなれたようです!』
「……素敵……!」
『母様、ありがとうございます!』
豊芦原の誇らしげな姿に、感涙に瞳を濡らす茜。ウミガメ的な前足で敬礼をすれば、もはや茜は耐えきれずに泣いてしまっていた。傍から見れば着物少女に艦隊的な姿の亀という姿妙ちくりんな見た目だが、それは間違いなく母と子の姿である。
こうして、五人の従魔五体は無事出そろった。これはある意味後の日本に長い事守護者として名前が上がる従魔五人が、初めて衆目の目にその姿をさらした日とも言えるだろう。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は8月7日午前0時予定です。
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