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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
地方都市奪還作戦 本戦開始!
203/385

第二百話 従魔と真崎

累計PV数330万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「すみませんー、ちょっとあなたとあなたの従魔にお話を伺いたいのですけど、よろしいでしょうかー?」

「え? ええ、構いませんよ。何を聞きたいのでしょうか?」

『オレ、コトバ、オボエル、バカリ。ムズカシイ、ナイ、ハナシ、ナラ』


 従魔とのふれあいを存分に行った真崎と石崎は、次は従魔の主と従魔相手にインタビューを行う事にした。

 冷静に思い返してみると、従魔の主にも従魔自身にも聞きたいことが出来たからだ。ここにいるのは卵から従魔を生まれさせた人達ではなく魔物を倒して仲間にしたタイプの人々だ。卵から魔物を生まれさせた人々とはちょっと事情の違う人々だ。

 彼らに話を聞けば、真崎の胸に溜まる澱みが解消できるヒントが見つかるかもしれない。

 まず話を聞いたのはグレイウルフの第一進化、要するに一回目の進化の事だがそれを行った事で変化した【ロックウルフ】だ。

 仲間になった時はグレイウルフであったが、今回の戦いによって勝手に進化までしてさらにレベルを上げた猛者である。そろそろ次のレベルアップも目に見えているくらいには強い。


「……あの、さっそくで恐縮なのですが、言葉覚えたばっかりってのは?」

「あのですね、ロロ、このロックウルフの事なんですが、この子は仲間にしたばかりの時は念話を使えなかったんです」

『……サイショ、コトバ、ワカラナイ。デモ、ドウシテホシイ、ワカル』


 どうやら言葉を念話として発信できるようになったのは最近の事の様だ。進化して知力が上がったからなのか、進化後になってから話しかけてくれるようになったらしい。


「卵から孵した従魔は大体一週間前後でお話が出来るようになったって話は聞きますね。あ、でもゴブリンとかを従魔にしている人は最初から念話でやり取りができたようですよ」

「お、おおう、やっぱりあいつらそれなりに賢くはあるのか……」

「頭悪い様に見えるんですねどね、あいつらって」


 何というか意外である。でもここからが本番だ。こんなのは聞きたいことのジャブ程度にしかなっていない。


「えっとですね、ここからが本題なんですが、ロロさんとご主人って初めは殺し合ったんですよね? その後に仲間になってってしていると思うんですけど、その時にわだかまりとかはなかったんですか? 仮にも殺し合ったんでしょう?」


 直球である。

 だが、元より聞きにくい事を話題に出そうとしていたのだ。下手に言葉を飾るよりもはっきり言ってしまう方が互いのためな様な気もする。幸いなことに主もロロも気を悪くした様子はない。


「ツヨイモノ、カッタ。アイテ、ムレ、ハイル、タイ、オモウ」

「そういわれましても、モンスターテイマースキルを持っていて、従魔が欲しかったので渡りに船としか思いませんでしたね……当時のロロもご飯食べるためにやった事で、悪意を持って戦ったわけではないですし、それは恨みっこなしにしておくところでしょう。私達だって殺しにかかっていた訳ですし」


 ロロはかなり片言だが、要は自分を倒した相手を尊敬して群れと言う名の仲間に入りたくなったと言う事なのだろうか。

 飼い主も別にそこまで当時の事に対して恨み辛みはないらしい。


「そ、そうなんですね……えっと、じゃあ次なんですけど……」


………………………………


 その後真崎と石崎はあちこちの従魔持ちの探索者と従魔に対して聞き込みを行った。とりあえず気が済むまで話をして、ようやく昼過ぎと言う少し落ち着いたところで、買ってきた弁当を食べながら真崎たちは話し合う。


「んで、どうだったよ。少しは納得のいく答えが出たか?」

「うーん、そうだな……」


 真崎たちが今回インタビューを行って分かった事は、従魔側もモンスターテイマースキル持ちの主たちも意外とそんなに複雑に考えてはいなさそうであると言う事実だ。

 魔物側は倒された後に起き上がったらなぜか目の前の人が主にふさわしいと思えたからついていって、主もモンスターテイマースキルを持っていたからこうなったと言う感覚しかない。

 そこにかつて殺し合った陰鬱な感情はなく、今は今として主従関係と信頼関係を構築していっているのである。

 過去のことを思わない訳では無いが、それだけでは怨嗟の渦にとらわれる一方だ。

 少し前に起きた悲惨な現実は知られ、悲しまれて然るべきだが、かといって今目の前で仲間として、主従として共にいる彼らに対してこの感情をぶつけるのは何か違う。それはただの八つ当たりだ。


「とりあえずまだなんかもやもやしているところはあるけど、従魔を持っている人たちが楽しそうにしているし、とりあえず従魔も寝首を掻こうとかは思ってもいなさそうだし、とりあえず今はこれでいいかなって思ったかな。そこら辺の分別はつけなきゃ。まあ、そういう風には、思えた。かな、うん」

「……そうか」


 石崎はペットボトルのお茶をごくごくと飲んで、一息つく。


「お前がそう思えたんなら俺が言えることはないよ。俺はお前が思ったことを尊重するさ」

「……おう、ありがとな」

「忘れんな、俺たちは同志でダチだ。あんま変なこと考えるなら殴り合ってでも意見ぶつけ合うし、いいことしようってんなら全力でサポートしてやるさ。だからあんま一人でため込むなよ?」

「ハハハ、殴り合うってまた懐かしい事を……」

「まあ、今殴り合ってもたぶん俺が負けるだろうけどね。あの時とは互い比べもんにならない位強くなったし、強さのベクトル変わっちゃったし」


 そういって再び笑い合う二人。今日はまだまだここで従魔とふれあうつもりである。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は8月4日午前0時予定です。

よろしくお願いします!

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