第百九十三話 地方都市奪還作戦、都市侵攻再開!
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「おおお! いやな感じが消えたぞ!」
「よっしゃ! こうなりゃもうこっちのもんだ!」
陽動班は自分達の力が戻ったことを確信する。
その様子は作戦本部でもしっかり把握されていた。
「枝野!?」
「うむ、都市を覆っていた魔法力は霧散し、結界は解除されたと言っていいだろう。これならばもう探索者もいつも通りの動きが出来るはずだ」
作戦本部に歓声が沸く。あの厄介な結界が解除されたと言う事は、今までの戦いぶりを見る限り最後の最後、ボスチェンジによる都市部レベルのボスとの戦闘以外死者が出ることはないだろう。最後の最後の大詰めが近く、現在はいよいよ王手まであと数手という所と言えるだろう。
作戦本部も動きがあわただしくなる。
「よし分かった!」
「皆聞いてくれ! 枝野からお墨付きが出た! もう大丈夫だ! 都市部侵攻を再開するぞ!」
「まずはここに呼び集めた魔物を一掃するぞ! 今のお前たちならば敵ではないぞ! 行け!」
各ギルドマスターからの指令に再び雄たけびが湧く。
幸い陽動の戦闘時から指令もバード部隊の強化も入っている。後は潜入部隊が帰還し、元のチームと合流が済めばすぐに侵攻再開できる状態だ。
そのためにまず陽動の為に釣り上げた魔物を一掃し、安全を確保する必要がある。
先ほどまで目の前にいた魔物達は恐るべき脅威であった。しかし今となっては思うように戦えず、いら立ちが隠せなかった探索者達にとって、いい憂さ晴らしの相手でしかない。
先ほどまでの苦戦はどこへやら。掃討はあっという間に終わってしまう事となる。
「ハハハ! ざまぁみろ! 結界さえなけりゃお前らなんぞこんなもんなんだよ!」
「うおお……用意した道具をこんなに使うことになるなんて……赤字じゃねーか!」
「いってて……あんな雑魚相手にこんなに苦戦することになるなんて……結界恐るべし、だな」
悲喜こもごもである。
憂さ晴らし交じりの戦果に喜ぶ者。このために用意したわけではない道具を使うことになり憤慨する者。または、思わぬ苦戦に今後の戦いに思いを馳せる者。様々である。
周辺の掃討を終え、被害や現状の確認が済んだところでギルドマスター達から指令が入る。
「よしよし、お疲れ様だ! 潜入工作班が帰還し次第、一時間休憩を取る。傷の回復、道具の補充を済ませてくれ!」
………………………………
「そうだったんだ……大変だったね、お疲れ様」
「あー、うん。まあ、な」
奏のねぎらいの言葉にも、どことなく歯切れ悪く返事を返す真崎。
「……でも正直大変だった」
「ギルドマスター達にマジックバッグ受け渡す時も辛かったですね」
帰ってきた潜入工作班。とりあえず、いつもの全員そろってのお話会である。
潜入工作班として参加していた三人はまず仲間に自分達の行ったことについて話をしていた。
尤も、あらかじめ潜入工作班だけで話して決めていたので、魂の記憶についての部分はあまり深く触れないようにした。正直刺激が強すぎると判断したのだ。
「で、最後に現場にはそれがあったってこと」
「ああ、なんなんだろうな、これ」
「こんな表記は初めてだ……ダンジョン産のアイテムじゃなくても大抵のものは説明が出るのに……」
改めて真崎が拾った玉をみんなに見せる。当然秋彦はアナライズを試みたのだが、表記がすべて【???】となっているばかりで、なんのアイテムなのかがさっぱりわからなかった。
「もしかしてお宝なのかもねー」
「さもなきゃガラクタ?」
「どっちにしろ調べても何も出てこないんじゃ判断付かないですね……」
「ま、しばらく保留だわな」
そういって自分のマジックバッグにしまう真崎。
玉の所有権については、その玉がどんな代物かもわからない上に、そもそも見つけて持ってきたのは真崎だったので、あの場にたった一個しかない物ではあったが所有者は真崎でいいと潜入工作班では決着がついている。こういう事ははっきりさせておかないと後になって揉め事のタネになりかねない。
話題を変えるべく、今度は真崎がモンスターキラーズに話を振る。
「で、陽動班はどうだった?」
「陽動班? やっぱり人間はそこまで役に立てなかったかな。うん」
「従魔無双でしたね……特殊な環境でのみとはいえ、ああまで活躍されるとあたしも従魔が欲しくなってしまいますね……」
こちらは結界が解除されるまでは人々の戦果は芳しくなく、従魔の新たな有用性が垣間見える結果となった。
そのことについて従魔組はほくほく顔だった。
『えへへー、龍ちゃん達強くなっちゃったよ!』
『素材があれば進化できるようになったのです!』
『私達、これでさらにお母様たちのお手伝いが出来る様になりますわ!』
『僕としては正直複雑だよ……お友達が成長するのはうれしいけど、こんなにあっさり並ばれるなんて……』
『まあまあ豊ちゃん。それでも豊ちゃんの努力は無駄ではないのよ? もっと自信を持つのよ!』
嬉しそうに語りある従魔達。彼らはもうすっかりレベル20となり、進化直前まで急成長した。
他の従魔持ちの人たちの従魔もレベルが大幅に上がり、護衛から一転、前線まで張れる一端の戦闘員として胸を張れるようになった。そこに関しては嬉しい誤算と言うか、意外な結果となった。
「この都市での戦いが終わったら、今後も必要になるだろうってことで進化の素材の調達を協力してくれるんだって」
「……進化素材のためにローンを組んだと話していたからか、ローン額が半分還元されたのは素直にうれしかった」
「肉組はこの奪還作戦で出てきた魔物の肉を優先して回してくれるんだと」
「本当によくやるよなぁ、ギルドマスター達……」
「全くですね、頭が下がると言う物です」
今回の戦いで有用性を提示することが出来た従魔戦闘班は、今後この地方都市奪還作戦のために予算を組んで進化素材の調達も行われるそうだ。正直、従魔持ちにとっては願ってもない事ではある。
また、従魔の為にギルドローンを組んだ人たちにはローン額をある程度還元する形を取ったようだ。茜の負担が減った事も喜ばしい所ではある。
そして、そうこうしていると一時間なんて早い物である。休憩時間が終わりを告げた。
「では、都市部への侵攻を再開するよ、指令は相変わらず、全員生存の都市部の魔物を掃討する事だ! 皆、掛かれ!」
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次の投稿は7月14日午前0時予定です。
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