第百九十話 潜入工作班、潜入班到着!
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現在、場所はビルの屋上。事も無げにビルからビルへとピョンピョン跳んで先に進む。今のところは魔物に察知されることも無く無事に目的地へ近づいていた。
「さて、もう目的地はすぐそこでござる。目的地についたらしばらくは待機しつつ状況を確認するでござるよ」
「すぐに掃除はしないんですよね?」
「うむ、どこかで先に掃除を始めてしまうと、掃除されたのを発見した魔物が、結界を崩させまいと他にある結界の起点を守らないとも限らんでござるからな」
それもそうだが、それ以上に何をどう片付ければいいのかや、敵がすでにその場にいるのか、あるいはその場所を守っているのか等、その場を見て状況判断をしなければいけないこともある。
もしも敵が大勢で守っているとしたら、改めて作戦を考え直さなくてはいけない可能性も出て来る。状況の見極めは極めて重要な事である。
「一体何を片付けるんだろうな……」
「……白骨死体の山や魔物共の汚物など。正直覚悟すべき」
正直話しているだけで気が滅入る。
わかってはいる。わかってはいるのだ。
奴ら魔物にとって、弱い人間なんてただの食糧。それ以上の価値を持たないと言うだけの話だ。恐らくその場所は人間の死体で埋め尽くされているのだろう。まるで人間が骨付き肉を食べた後に骨だけ捨てるかのように。無造作に、意味もなく、ただ捨てられているのだろう。
そこに罪悪感も何もないはずだ。なぜなら奴らにとってはただの食事に過ぎないのだから。
そう、弱肉強食と言うのなら仕方ないのかもしれない。人間を食う生き物が、食べやすい弱い生き物を食った。それだけ、なのだから。
故に、その弱肉強食の理論に従って、今度は人間が魔物を喰らう。魔物が奪い、殺し、喰らい、我が物顔で占拠した都市を奪い返し、人間が反撃を仕掛ける。
この作戦はそのための、人間たちにとって反撃の狼煙となる。そのために、この作戦は絶対に成功させる。させなければいけない。
そう思うと、真崎の顔には魔物に対する憎悪の念が浮かんできていた。そして、闇の魔法力が真崎の身体から染み出してきている。
「覚悟しろよクソ魔物共……!」
「その意気や良し、されど今は隠密中でござる。静まられよ」
「そう……ですね、すみません」
今のチームリーダーに諌めれれたところで、真崎はとりあえず考えるのをやめにした。これ以上考えていると本当に頭がどうにかなってしまいそうだ。
………………………………
そうしてようやく到着した指定のあった地点。
それがようやく目の前になった。幸い魔物の気配はないようだ。だが、何か様子がおかしい。探索者達はそれを危険感知や直感などではない、もっとはっきりとした確信をもってそれを感じていた。
嫌な予感が汗となって背筋を伝っても、今の潜入班はもはや迷う事は許されない。
いよいよ彼らの仕事場がビルから見下ろせばすぐの所までやってきた。
敵の気配もないのに、自分達の出番となる場所が、見たいような見たくないような気さえするのはなんでだ? この言い知れぬ不安感は何だ? 今すぐに逃げ出したいこの虫の知らせはなんだ?
今、少なくともこの場にいる潜入班の心臓は、今、圧倒的に強い魔物と相対した時よりも早鐘を打っていた。
先頭を切っていた影丸は、半ば恐る恐るながら自分達の工作の現場であるその開けた場所を見下ろした。
「……へ?」
そして、素っ頓狂な声を上げた。
「ど、どうしましたか影丸さん……?」
「……あ、あれは……こ、これはまさか……」
マスクで覆われた顔は目しか見えないが、その眼が見開かれ、そして顰められる。ころころと変わる目の色にただ事ではない雰囲気を感じ取る。
そして影丸のその様子に、残りのメンバーもつられるかのようにビルの上から現場を覗き込む。
「……え?」
「綺麗だ……」
「不思議……」
そこは変に幻想的な様子が浮かび上がっていた。
七色に変わる不思議な色合いをした無数の何かが、この都市を覆った結界のせいで見通しの悪い中、綺麗にあたりを照らし出し、それらが広場を明々と照らしだすことで、予想通りの人の白骨死体と魔物の出した汚物で汚れ切った場所がただ吐き気のする場所ではなく、どことなく幻想的な雰囲気を醸し出しているのだ。
「い、いったいここは……?」
「あ、そ、そうだ撮影」
鋼の騎士団の東雲が思い出したのでカメラを取り出して写真撮影をする。今回は潜入工作なのであまり大人数にすることが出来なかったので、メンバーが要所要所で写真や動画を取ることで結界の内部の様子を記録することになっていた。
実は任務第一で考えていたせいで、このチームはあまり写真撮影していなかったのだ、せめてここだけでも撮影しないと、ギルドマスター達に後で何か言われるかもしれない。
それにここら辺はあの不思議な色合いの光源のおかげか写真写りもいい。それぞれ写真を撮る手も進むと言う物である。
しかし、だからこそ不気味な雰囲気ともいえる。この闇に閉ざされた世界でこんなに妙に明るい場所がある訳がない。
「な、なんなんだろうね、あれ……」
「写真撮りまくってて今更だけど、なんか不安になるな……」
「……まさか、この結界は自然的ではなくて誰かに作られたもの?」
憶測が憶測を呼ぶ。正直こんな闇に閉ざされた場所には似つかわしくない雰囲気さえ感じてしまう。
「ではしばらく待機でござる。他の者が全員場につき、合図があったら一斉に初めでござるよ」
全員が一斉に頷く。
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