第百八十八話 地方都市奪還作戦、潜入工作チーム潜入開始!
累計PV数309万突破、評価者数が550人を突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「ではこうして揃った事でもあるし、参ろうか」
「了解です、いよいよ潜入ですね」
今回の潜入チーム三班を構成するメンバーが全員そろったところで、影丸が潜入開始を告げる。普段と勝手が違うチームにメンバー、正直緊張や不安も首をもたげてくると言う物である。
そんな不安を払しょくしたいために、真崎が影丸に質問をする。
「あの、影丸さん。潜入工作を成功させるのに必要な物って何でしょうか?」
「うむ、潜入に求められるものはズバリ速度と正確性でござるな。もたもたせず、されど雑にならず、きっちりと使命をこなすことが重要でござる。潜入工作と言うのは基本仕掛けた物や自分自身が見つかったらおしまいでござる。そこのところをきっちり意識しておけばいいでござるよ」
「成程……まあ今回は相手の環境結界崩すための物だからいやでも相手にはばまれそうですけどね」
「そう、故に全班が所定の位置についたら一斉に清掃を始めねばならぬ。ここは本当に全速力での作業が肝要でござる」
会話をしながら影丸をはじめとした全員が、電脳ギルドから届いた作戦の概要を読んでいく。
今回の作戦は二手に分かれる作戦だ。
一つは魔物達の陽動を行う陽動班。こちらは闇属性魔法使い以外にもその他の魔法しか使えない人々も一緒だ。
なぜならこちらはあくまで陽動。注意を引き付けるだけでいい。しかも結界の範囲内にいる魔物は結界から出てこようとしない。ついでに言えば結界自体は攻撃を阻害しないので、結界の外からの遠距離攻撃は素通しなのである。
故に都市部に対し、大掛かりに敵を引き付け、結界から出るか出ないかという所まで逃げてから、結界の外に待機している遠距離攻撃を得意とする人々の援護を受けて敵を引き付けるのが主な作戦である。
この陽動班の注意としては過度に敵を倒し過ぎないことである。もしも過度に敵を倒し過ぎれば、いつ都市部レベルでボスチェンジを起こし、強大なボスが生まれるかがわからないのだ。
しかも、それまでに結界を解除できなければ、敵は結界と言う強力な補助を維持したままになる。その上で都市部レベルの魔物をすべて平らげて生まれた魔物と戦うなんて考えられられないし、考えたくもない。
こちらはあくまでも陽動であり、潜入工作班を動きやすくするための行動なのである。やりすぎず、適度に敵を引き付ける。それが使命である。
そしてその陽動によって生まれた隙をついて魔物達の本拠地の中へ押し入り、環境結界を解除する。それが影丸達潜入工作班である。
潜入工作班は陽動班と違って少数精鋭。何しろ敵の陣地のど真ん中に入り込むのだ。潜入工作班に選抜されたと言う事は、それ則ち闇属性魔法使いの中でもトップクラスの実力者と認められたに等しい。
やることは、都市部の中で特に魔法力の反応が大きい個所へ赴き、その場にあるはずの魔法力の元を撤去。周辺一帯を聖水等、周りを清める道具を使い清掃を行う。
魔法力の元となっている物は恐らく人々の死体、そして魔物達の排便や吐瀉物によって生まれた汚物であることが予想される。
それらの撤去及び清掃というのは、正直想像するだけでいやな気分にはなるが、折角選抜されたのだ。きっちり仕事をしなければいけない。
「此度の作戦はとても重要な作戦でござる。各々方、油断召されぬよう!」
「じゃあ行きましょうか!」
「本格的な開始は敵が陽動に釣られてからにござる。所定の位置について機をうかがうでござるよ」
「了解!」
………………………………
結界の外から様子をうかがう陽動班。現在結界の中では敵の前に存在を現し、その上で結界の範囲ギリギリまで逃げ込み、時間を稼ぐ戦闘を行うべく行動している闇属性魔法使いが奮闘しているはずだ。
今はそれほど動きがないが、ひとたび始まってしまえば立ちどころの騒乱になるはずだ。
緊張しつつも、陽動班の闇属性魔法使いが敵を引き付けるその様は、餌を釣り針に垂らし、魚が餌にかかるのを待つ様に例えて、釣ってくるという言い方をされている。
そしてしばらく待つと、都市部から轟音のごとき雄叫びが響いてきた。
釣れたのだ。勿論都市部の魔物達がである。
明らかに慌てた様子の闇属性魔法使い達がこちらに戻ってきたのがその証だ。陽動班はこの魔物の群れを、時間をかけて捌かなければならない。
それはある意味潜入工作よりも大変かもしれない。でもこの戦いを勝ち抜く為にはどうしてもやらねばならないことでもある。この持久戦とも呼べる戦いの先にこそ、探索者の、人類の勝利があると信じて今は戦わなければならない。
ここにいて、戦う人々はだれもがそれを信じている。そして願っている。
この陽動によって、潜入工作班は確実に動きやすくなっており、それはすなわち自分たちの働きのおかげでこの作戦は成功すると言う一つの自負である。
ここは任せろ潜入工作班。ここは陽動班が、命を賭して、食い止めると。
「さあ、行くでござるよ皆の衆! 本格的に始まった陽動によって、都市の魔物共に動きがあった! この機に乗じて潜入でござる!」
「「「「おー!」」」」
かくして陽動とは別のもう一つの戦いも動き始めた。
静かに気付かれないよう。でも確実に、火ぶたは確かに切られたのだ。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は6月29日午前0時予定です。
よろしくお願いします!