第百八十七話 地方都市奪還作戦、潜入工作チーム設立!
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「という訳で、今回都市部侵攻へ当たって最初にやらなければいけないこと。それは、この環境結界を破壊し、都市部侵攻を容易にする事となった」
翌日、ギルドマスター達は昨日判明した事象を探索者達に詳細に報告、今後の対策として次なる策を伝える。
今日は最初から枝野が通信機でしゃべっている。
「ついては、我がドローン型の計測器にて魔法力が凄まじく昂る原因があるであろう場所の特定も済んだ。個所は六か所ある。しかしここに大勢で挑むのは危険だ。今の都市は闇属性魔法能力を持っていない者にはまさに地獄と言えるだろう」
それはそうだ。入るだけで能力値が徐々に下がる上に、敵の魔物の能力は結界の中では高くなっている。結界があるうちはまともに交戦しないのが得策だろう。
「だがあの結界、闇属性魔法を使える者には効果がかなり薄いことが判明した。とりあえず長時間まともに移動できる程度には、ではあるが」
これは聞き取り調査で判明したことだ。
なにせ異変を報告してきたのは全員闇属性魔法使い達で、他の探索者は聞き取り調査も丸一日休んでやっと実現したものだったからだ。闇属性魔法が使えない者にとってかなりの負担になるのは間違いない。
「そこで、今あるチームをいったん解体し、闇属性魔法を使える者を選出、その上で環境結界を解除するチームを一時的に結成したいと思っている」
闇属性魔法使い以外が入れないのであれば闇属性魔法使いで固めたチームを構成するほかないと言う事か。そして環境結界を解除したのちに再び侵攻を再開する、といった流れになるようだ。
「詳細のチーム編成は人事担当の鬼塚女史から電脳ギルドを通じて指名が入るから闇属性魔法使いは各自準備をしておくように。こちらとしては大体20チーム前後での潜入が望ましいと考えている。ではチームの編成を行うので、再び待機しておいていただきたい」
それを最後に通信が終わった。
………………………………
しばらくドキドキしながら待っている真崎。
まあそうは言っても闇属性魔法使いであり、御霊具持ちである真崎は、まさか外されるとも思っていない。
いないが……やはり早く連絡が来て、この難所に挑む勇者の一人として確定するのを今か今かと待っている。
あまりに落ち着かなくて、しなくてもいい刀の手入れをもう二時間も延々とやり続けている。正直落ち着きのなさが目に見えてわかるほどである。
「まーちゃん、気持ちはわかるけどもうちょい落ち着きなよ……」
「え? だ、大丈夫大丈夫、僕は全然落ち着いてるから! うん!」
恐る恐る声を掛けたらこれである。
正直明らかに落ち着いていない様子で、落ち着いていると言われても全く説得力がない。声を掛けた奏は、ため息交じりに他のモンスターキラーズの面々の元へ戻っていく。
「どうだった?」
「だめだね、まーちゃんってば結構舞い上がってるっぽい」
「まあ、闇属性魔法使いで御霊具持ちじゃあまず外される訳無いですもんね……」
「心配だけど、大役って意味では羨ましくもあるよねー……」
「まあ確定すればいつも通りしゃんとしてくれるとは思うけど……」
仲間の不安げな視線をよそにもう何度目かの手入れをまた一からやり出そうとした。そのとたんに真崎のスマホが鳴り出した!
真崎も思わずガバッとスマホを手に取り、電脳ギルドから来たメールをみる。そして連絡を見て、思わずガッツポーズをしてしまう。
「おっしゃあーーー!!!」
どうやら、この難所を少数精鋭で潜入する勇者の一人として無事に選ばれたらしい。
「おめでとう、まーちゃん!」
「やったな! 作戦頑張って来いよ!」
「おう! ありがとう皆! 漢真崎剣吾! ここが命の張り所ってな!」
「あの、生きて帰って下さいね? 指名の果てに命を落とすなんて嫌ですからね?!」
「ご安全に! だよまーちゃん?」
「わかってるって! ジジイ! 俺はやるぞー!!!」
仲間たちの祝福の輪に囲まれて喜びをあらわにする真崎。まず彼がやるべきことは、今回組むことになるチームの合流である。
散々手入れをした刀をしっかり腰に挿し、真崎は連絡を取り始める。
………………………………
「どうもどうも、今回はよろしくお願いいたします、モンスターキラーズの真崎剣吾と申します、今回はよろしくお願いいたします!」
ニコニコ笑顔でとりあえず挨拶をする。
だが実際はこの中のメンバーの半数は知り合いである。とりあえず挨拶だけはきちっとしたものの、実際はそこまで硬くなる場面ではなかった。
「……やっほ」
「こんにちは真崎さん、今回はよろしくお願いいたしますね」
一番の知り合いは舞薗茜。友人のチームであり、言わずと知れた探索者チームのレインボーウィザーズのメンバーである。彼女は後方からの弓による攻撃を担当する。
そしてもう一人、丁寧に挨拶をしたのはビューティフルドリーマーのメンバーの一人である。平塚 まりんである。この二人とは割とよく顔を合わせるので、人となりも割と把握できている。彼女は歌手であり、闇魔法の使い手だ。恐らく気を利かせてくれたのだろうが。
なんにせよありがたい事ではある。
「やあ、宜しく。私は鋼の騎士団の闇属性を担当している、東雲 正和だ。よろしく頼むよ真崎君。君は攻撃力の高さに定評があると茜君と平塚殿から話を伺っている。心強いよ」
「はい、鋼の騎士団って言ったら防御の堅さではほかのどのチームと比べても負けないと聞きます。僕としては心強い限りです!」
東雲と真崎ががっちり握手をした。手を握る力はかなり強いが、負けじと力を籠める。
「えっと、最後の一人はどなたなんでしょうかね?」
「……今回の潜入チームのリーダーがまだ来ていない」
このチームは五人メンバーであるはずなので、真崎が来れば後はリーダーを残すだけとなるはずだ。
何でも斥候による情報収集を担当する中国ギルドマスターの千田お墨付きの潜入のプロらしいのだが……まだ来ていないのだろうか?
「もういますよ」
心を読んだかのように、そこにはいつの間にか小男がいた。黒い装束に鉢がね、黒いマスク。仲間にもちょっと前まで似たような格好に身を包んでいたのでよくわかる。それはまさに……
「に、忍者……?」
「フフフ、初めまして皆の衆。我が名は影丸。【伊賀忍軍】の構成員にござる!」
伊賀忍軍の名前を聞いてその場の空気が変わる。
伊賀忍軍は、甲賀忍軍と双璧を成す忍者スキルを対象に習得し、過去の忍者とはまた違う、魔法の様な術や技を体得した、ダンジョンが生んだ新たな忍者として名を馳せ、潜入、工作のプロとして活躍の場を増やす探索者チームである。
元々それぞれの里でかつての忍者が行っていた技や術を人々に教える、要するに観光業としての、忍者として生計を立てていたものの、アクティブスキルが解禁され、それによって忍者スキルが解禁されたとたん台頭した探索者チームでもある。
そんな潜入工作のプロが、潜入工作の指揮を執ってくれるのなら、これ以上のリーダーはいないだろう。
「今回の作戦においては我らの指示に従っていただく。その代わり、きちんと順守するなら、この作戦、必ずや成功させて見せよう。伊賀忍軍の名に懸けて!」
全員から拍手が上がる。
潜入工作チーム、その最初の仕事は、まさにこれからである。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は6月26日午前0時予定です。
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