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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
地方都市奪還作戦 本戦開始!
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第百八十三話 地方都市奪還作戦、都市部到着!

累計PV数296万突破、評価者数が530人を突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「だいぶ民家、っていうよりビルとかマンションみたいなのが増えてきたね!」

「まあそろそろ都市部に到着ってことだろうな!」


 さらに進撃する事数時間、そろそろ日も傾き始めてきた頃に、前線部隊は都市部の先端に到着した。

 地方都市の中心部にやってくる。それは、この作戦にもそろそろ終わりが見えてきたと言う事に他ならない。

 ここからがモンスターキラーズをはじめ、それぞれがチーム単位、小隊レベルの数で動いている理由でもある市街地戦の本領発揮と言えるだろう。

 なにせ市街地と言うのは、とにかく遮蔽物が多く、遠距離での攻撃等は障害物に阻害され、攻撃が通りにくい物だ。

 だからこそギルドマスター達は部隊を少数に分け、その上で各々の裁量に任せた戦いを推奨した。

 なぜなら遮蔽物の多い都市部では小回りを利かせられるために少数の部隊で攻め込むと言うのが基本だからだ。

 遮蔽物の多い場に大群を持って押し寄せたならば、建物の影の奇襲、罠によって翻弄され、あっという間に立ち往生。そしてその隙をついて戦力を投入されれば、こちらはなすすべもなく敗北するだろう。

 そういった事象を防ぐために、わざわざ数を集めたにもかかわらずチームごとの編成にしたのだろう。市街地においてはゲリラ戦こそ正義なのである。


 「さあ、こっからはとうとう敵の本拠地だ! 敵の強さも段違いだけど、俺らは負けねーぞ!」

「「「「応!」」」」


 仲間に気合を入れ、自らに気合を入れる。

 とうとうこの作戦の威力偵察にも終わりが見えてきたとあっては、奮起せざるを得ないだろう。それは名誉欲に目が眩んだ者も、真摯にこの日本から魔物を追い出さんとする者も。

 かくして戦場はとうとう都市部へ移ることになる。


………………………………


「ぐ……こ、これは……」

「ひどい……!」

「これは……なんという……」


 凄惨な光景にはそれなりに覚悟があったモンスターキラーズでさえ、その光景に絶句した。その理由は勿論、あまりにもひどい現在の地方都市の都市部を見たからだ。

 地方都市における都市部と言うのは、一般的には繁華街などの事を指す。現代では高層ビル群と言えばいいだろうか。

 そういった場所に人々が集い、店屋を開き、人をさらに集める物だろう。

 だが、そこは今や魔物達が蹂躙する悪鬼の巣窟と言っても差し支えないだろう。はっきり言って、その場がどれほど凄惨な場であるかを語るには、とてもではないが一言では言えない。

 例えば人々の死体はとうに腐り果て、もはや腐敗臭による悪臭さえ放てない程に白骨化していたり、魔物の糞尿で薄汚れたアスファルト。そして処理もされずにそのままにされた生ごみと言った、かつての生活を感じさせるものさえおぞましく探索者に牙を剥いてくる。

 その凄惨な光景を目にすれば、たとえ歴戦の兵であっても吐き気がこらえられるものではないだろう。

 だが、これらが自分達の日常を奪った物と思えば、何とか前を見ることが出来る。これらを一つ残らず屠ったとした時こそ、自分達に未来があると信じられるからこそ、この凄惨な現場を見届けられる。

 そう思わなければ自分たちの活躍が報われないとも思える様な悲惨な状態であったが、それでも目を背けず、見なければいけない。

 それこそが魔物に蹂躙され、都市と運命を共にした死者に対する弔いともいえるからだ。

 だが、それを頭で理解して尚体が動かない。そういうおぞましい何かに対する危機感にも似た何かが全身を支配する感覚。

 常人ならば顔を青くして逃げ出す場面であっても、探索者として鍛えられた精神は落ち着いて周りを見渡す。

 抜けそうになる腰を叱咤し、何とか体を支える。


「……やっぱりこれは……きっついね」

「でもこれは……最初の氾濫の際にだれしも体験したことのはず……!」


 レベルアップによって鍛えられた探索者であっても折れかねないこの惨状を、かつて最初に体験した人々を思う。

 彼らとて初めてこんな惨状を見た時は震えたはずだ、涙を流したはずだ、胃液がせり上がり、気分が悪くなったはずだ。

 だが、彼らはそれを乗り越えたはずだ。この地獄のような光景を目の当たりにし、それでも彼らは逃げなかったのだ。

 それがあるから今の日本は魔物に支配されず、魔物の手に堕ちずに今の日本があると言えるのだから。

 それはもう疑いようのない事実だ。

 ならば次にそれを乗り越えなければならないのは、次の世代であるモンスターキラーズをはじめとした、日本魔物大氾濫においては戦闘に参加しなかったものの、地方都市奪還作戦に参加した、まだまだにわかの様な人々である自分達に他ならない。


「ここでビビってちゃ……ジジイに笑われるってんだよ……! こんなもん、俺はビビったりしねーぞ!! うおらあああああ!」


 惨状を前に吼えて見せる真崎。

 それはモンスターキラーズの面々には効果覿面だったようだ。


「そうよね。あの時の誓いを果たすために……ここで折れるわけにはいかないわよね!」

「ああ、秋彦が折れるなって言ったのはこういう事だったのかって思えるよ」

「折れるわけには……行きません!」

「うん、行こう! この戦いに、勝利をもたらすためにー!」


 触発されて自らを奮い立たせる。


「行くぞ! こっから先はどんなものが来たって負けねー、俺たちが血路を開くんだ!」


 だが、その盛り上がりは突如待ったをかけられることになる。

 探索者が腰にぶら下げている通信機から、雨宮の大声が探索者達の突撃を止めさせたのだ。


『待った! 探索者全員に告ぐ! その場で待機!』


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は6月15日午前0時予定です。14日が特別な日なので、一日に二話更新しようかとも思ったのですが、今回は次の日に出す形にしました。

よろしくお願いします!

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