第百八十話 地方都市奪還作戦、閃きとエリアボス!
累計PV数292万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
再び道路を爆走するモンスターキラーズ。
もうそろそろ自然の豊かさが薄くなり始めてきた。都市部はもうすぐと言ったところだろうか?
たびたび休憩しながらの走行及び戦闘ではあるが、魔物の量はちっとも減っている気がしない。
「だー! 魔物の数が全然減らない!」
「結構倒しているはずなのにね! 後から後から湧いているように感じちゃうわね!」
走りながらの戦闘に文句をこぼす余裕さえ見受けられる真崎と奏。
龍之介から受けた新たな補助が、さらに強力な攻撃力を手にするに至ったからと言うのもあるが、石崎達後衛も、走りながらの魔法の発動になれるまでに繰り返した戦闘である。真崎にとってもローラースケートで走りながらの戦闘は最早苦でもないどころか、戦闘中に新たに習得した侍スキルによって得意な戦闘になったとまで言える。
と、見ていたところで前方に敵を発見した。兎型の魔物だ、数は六匹と少ない。数までも確認して真崎が叫ぶように伝える。
「よし、これならやっと習得できたこれで十分! こいつらは貰うよ!」
「はい行ってらっしゃい!」
笑屋に見送られ、真崎はローラースケートを付けたまま加速する。そのまま鯉口を斬り、いつでも切れる様に刀を準備する。
勢いが十分についたところで敵がもう目の前という絶好の距離感になった。
刀を持つ手を一度弛緩させ、直後に抜刀し、すり抜け様に魔物の首を的確に飛ばす!
勢い余って止まるのに少し時間はかかったが、仕留めそこないがいないことを確認する。的確に、そして綺麗に魔物の首を落とせるのは、魔物学と解体術も高レベルに達していることの証ともいえるだろう。
「お見事お見事。もうお爺ちゃんの刀で【疾風切り】がそこまでキレイに撃てるってことはもう【風斬りの刃】はお役御免かな?」
「はっはっは、そんな訳ないさ。こいつとはまだまだお友達だよ。せっかく脇差を使う剣術にも慣れてきたんだしね」
奏の言い分に、ポンと脇差に手を置いてしみじみという真崎。
この脇差はもともと持っていたものではない。ギルドローンで調達してきた真崎の新武器である。
この脇差を装備することで上昇する戦闘力は2,000程度であり、今時分で手に入れられるものにしては少々上げられる戦闘力としては少々頼りない。
しかし、その分武器に付属されるスキルとしてはいいスキルを持っていた。それが疾風切りである。
この疾風切りの効果はズバリ「移動速度が出れば出る程威力と手数が上がる」である。
今回の戦いは走っては戦いの繰り返しになるのは明らかであり、このスキルは今回の作戦にとても相性がいい。
走って敵の元へ向かい、初撃はその速度の乗った勢いのままに疾風切りで辺りを荒し、後続の追撃で敵を壊滅に追いやることが出来るからだ。
尤も、それを提案したのは風斬りの刃を売る商人たちであり、真崎は商人達に言われるがままにこのスキル一個のためにしてはなかなかお高い金額を、ホイホイとローンを組んで支払ったのだが。
買った当初はチームメイトたちにも、そんな口上に乗せられて買うなとだいぶ怒られたものだが、今となってはチームメイトでさえ、安い買い物だったと思わせる代物である。
「それにこいつのおかげでひらめきを得られたしね、そこら辺の例も兼ねてもうちょっと……」
言葉をつづけようとしたが、その瞬間、ぞっとする物を感じた。危険感知と生命力感知が強力な魔物の存在を感じ取ったのだ。
この辺り一帯の魔物を倒しまくった後でのこの悪寒に近しい気配、間違いない。
「おいおい来たぞこれ!」
「ああ……【エリアボス】のお出ましだ!」
「急ぐわよ! 御霊具チャンス!」
「はいはーい、行くよー!」
「こ、今度こそ自分に合う物でありますように!」
エリアボスの存在を感知して、先を越されまいと猛スピードで駆け出す。
………………………………
エリアボス。エリアボスなどと言われているが、実際は高速道路解放戦線でもたびたび見たその場一帯を仕切っているそのエリアでのボスだ。
日本と言う場所も○○区や××町などと言った地区でそれぞれが区切られているので、その場所ごとに高速道路解放戦線で、そのサービスエリアを牛耳っていた魔物たちが現れているのだ。
こういった魔物達を便宜上エリアボスと呼ぶようになったのだ。
そしてかつてのサービスエリアに現れていたボス、現エリアボス達を指定されている条件を達成してから倒したことで御霊具が手に入っていた。
それはつまり、今の探索者にとっては御霊具を手に入れるチャンスだと言う事である。故に御霊具の欲しい探索者達が、我先にとエリアボスを倒そうとするのである。
エリアボスはその辺り一帯の魔物をある程度倒すことでどこにいるかがわかるようになる。勿論高速道路解放戦線ではそんなことはなかったのだが、これはエリアとエリアが隣接している都市だからこその物なのかどうかはわからない。
ともかくその場にいる探索者達はエリアボスの出現を感知し、急いで現場に急行する。
「急げ急げ!」
「あ! 見つけたあれだ!」
真っ先に見つけたのは奏だ。靴が御霊具となっているだけあって流石の移動速度と速度維持能力である。そして以前からの役回り的に敵の索敵が早い。
その場にいたのは大きな一本の角を生やした一つ目の巨人だ。巨大なとげ棍棒を持ち黒い筋骨隆々とした肌を持った、まさしく鬼といった風貌である。
これは恐らく見た目や武器等が多少違う物の、恐らくパワード・ブラックオーガバーサーカー、もしくはそれに準ずる魔物であろう。
戦闘力は確か17,500で、自らの攻撃を一人で受け止めきる者にその魂を捧げる時がある魔物であったはずだ。
と言う事は今回の主役は……
「よかったじゃんエミー、こいつはエミーの獲物みたいだ」
「よっしゃ! この巡ってきたチャンス無駄にはしないぜ!」
当然、変則的とはいえ盾役の笑屋だ。防御力的には不安がある物の、スキルによって相手の攻撃を受けることが出来るので、事実上笑屋以外にこの条件は満たせない。
同じ盾役であっても、奏は回避行動により敵の行動をかわすので受けられない。その上、すでに御霊具を持っているので今回は無しである。
「残念……まあ次に賭けようかなー」
「あーん悔しい! こうなったらエミー、しっかりチャンスをものにしてくださいね! 私達もサポートしますよ!」
悔しそうにしつつもサポートを誓う後衛陣。すると後ろから他の声が聞こえてきた。
「ああ! 間に合わなかった!」
「くっそ! ちょっと遠かった!」
後続の探索者チームの様だ。先に来ていたモンスターキラーズの面々を見てがっくり膝をついている。
「こいつらは俺らがもらい受ける! 皆さん先へ進んで下さい!」
「わかった! 仕留めろよ!」
「チャンスをふいにするなよ!」
そういうと他の探索者チームは皆次へ進んでいく。結構物分かりがいい、と言うより今は他にもチャンスがごろごろ転がっている以上今ここで変にごねるよりもさっさと次に行った方がまだ芽があると踏んだのだろう。
「よし……譲ってもらったところで、行きますかエリアボス!」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は6月8日午前0時予定です。
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