第百六十五話 企業との交流パーティー 合流
累計PV数261万突破、ブックマーク数3,600件突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
ドアが開くとそこはとてもきらびやかな装飾と豪華なご馳走が並んだ空間が広がっていた。立食形式なので椅子はない物の、着飾った紳士淑女の方々がさっきまで、立っての歓談をしていたようだが、その人たちの目が一斉に秋彦達に向けられる。
「さて、ここからは僕もまたちょっと舞台であいさつとかをしてくるから、また後でね」
「あ、ああはい。わかりました」
そういうと雨宮と秋彦は分かれることになった。
少し周りを見てみると、流石に社交の場だけあってがっついてくることはないにせよ、あちこちから視線を感じる。
少し見まわしてみると、表情は一様に笑顔だったり驚いたような表情だったりと好意的だったりするが、中には笑顔を浮かべているくせに、威圧的というか嫌な感じをしている人たちもいる。あくまで直感的な感覚なので何故そんな雰囲気を出しているかなどは不明なのだが。
なんとなく居心地が悪く、見知った顔がいないかどうか探してみると、探すまでもなくやってくる人たちがいた。ジュディとジュディの父であるクリストファー、クリスさんだ。
「遅いわよ! どうしたの貴方らしくない!」
「わ、悪かったよ、ちょっとアクセサリー作りしてて……」
「アクセサリーって、貴方ねぇ……」
『やあ秋彦君。なかなか来なかったから少し心配したよ。開始時間には厳しい日本人らしくもない。どうしたのかね?』
『ああ、クリスさん、こんにちは。いやなに、ちょっと自己アピールの為に用意したものを夜遅くまでやってしまっていまして……遅刻ギリギリになってしまって申し訳ありませんでした』
遅刻の原因がアクセサリーと聞いて頭を抱えるジュディと、事情を尋ねるクリス。
当たり前のように英語でクリスさんと会話をしたら周りがざわついた。秋彦の英語力に周りは驚いたのだろうが、もういちいち反応しても仕方ない。
『ほほう、用意したものか。ぜひ私に見せてくれないかな、遅刻寸前になってまで何を用意したのかね?』
『ええっと、俺、実は趣味でアクセサリーを作っていまして。最近になってそれが結構評価に値するものであることを知りまして。自分の作れる今の最高の物を作ってみたんですよ。見てください。これです』
秋彦はそういってドラゴンスケイルネックレスを取り出し、クリスに手渡す。
今回はチャイルドドラゴンの素材で挑戦しレベルも8にあげてからの作品なので、肉体力と魔法力の上がりが違う。大体このような感じである。
【ドラゴンスケイルネックレス】
≪龍の鱗を加工して作られたネックレス。幼くても込められた力は龍の力に相違なく、身につける物に相応の力を与える神秘のネックレス。肉体力+2000魔法力+1000≫
上がり幅としては進化したての頃の龍之介と同じくらいである。装飾品でこれほど戦闘力に繋がる数値が上がるなら上出来だろうと思っている。肉体力1,500の上昇だけでも以前驚かれたが、今回は肉体力だけでなく魔法力も上がるのだ。素晴らしい成果だと秋彦は思っている。
『す、すごいなこれは……』
「すごいわね……単純なスペック強化だけなら装飾品と言う分類なら最強じゃないの?」
「ま、こんなことが出来ますよっていう自己アピールにはなるだろ?」
「全然なるわ、胸を張って自慢できる、いえ、自慢すべきレベルよ!」
「そうか、よかった。これならちょっとは安心できるかな」
そう話していると、辺りが少し暗くなり雨宮が舞台に上がってきた。開始が近いらしい。
「あ、ごめん。ちょっとジュースとってくるわ、乾杯始まりそうだし。すぐ戻ってくるから」
「わかったわ。いってらっしゃい」
そういうと秋彦はすぐにジュースを取りにその場から離れる。さっきからネックレスに見とれていた、クリスだったが日本語を聞き取れなかったので秋彦がどこに向かったのかがわからず、ジュディに尋ねる。
『秋彦君、なんだって? どこに行ったんだね?』
『乾杯の為のジュースを取ってくると言っていましたわ』
『成程……しかし、これ本当にすごいな……これ、私の方で買い取りたいくらいだよ』
『ええ、それは本当に』
受け取っておいてそのままだったネックレスはクリスの手にあるが、どうやらクリスはいたく気に入ったようだ。
しかしそれはそれとして、クリスは一つ疑問を感じたので、ジュディに意見を求める。
『しかし、自己アピールの為に用意した……か。あのレインボーウィザーズの南雲秋彦が、今更さらに何かをアピールなんて、必要なのかね?』
『正直私にはわかりませんわ。今でさえどこからも無碍にされることなどないでしょうに』
そう、秋彦に今更アピールポイントが必要かと言う話である。
秋彦はただでさえ武名を馳せ、無属性と言う希少な属性を操り、多様な状況に対応できる様々な補助強化魔法を使いこなすことで有名であり、見た目こそ日本では少々受けが悪い物の性格は悪人ではなく、むしろ大分温厚な方である。
力を手に入れたものが調子に乗り、横暴になり、人望も金も失うなどと言う話はありふれた話ではあるが、秋彦にはそんな兆候も一切なく、一貫して好漢であり続けているのはもはや周知の事実だ。そんな彼ならば今更自らの価値を高めずとも周りの方から寄ってくるだろうに。
『まあ向上心があるのはいい事だとは思うがね』
『ええ、私もです。ですからこの場は私が守って見せますわ。秋彦だけでなく、レインボーウィザーズ全員を』
『ふふふ、頼もしいな。特に秋彦君に関しては将来私の息子になるかもしれんしな。こういう場になれていない彼を守ってあげなさい』
その言葉を聞いて一気に顔が真っ赤になる。
『お、お父様!?』
『はっはっは、隠さずともよい。あれはいい男だ。名も力も申し分ないしね、ああいうのは早く捕まえておくに限るぞ』
『お父様!!』
「ただいまー、ジュースとってきたぜー……ってどうしたジュディ?」
「な、なんでもない!!」
『はっはっは、では私はまた妻と日本の企業と探索者達に挨拶をしてくるよ』
『はい? ああ、はい、私がいなくてもテレーゼは日本語出来ますものね。わかりましたわ。いってらっしゃいませ』
クリス、ジュディをからかうだけからかって行ってしまった。
「どうしたんだよジュディ、お父さんに何言われたんだよ?」
「なんでもないの!」
「お、おお?」
「えー、皆様大変長らくお待たせいたしました。これより、探索者と企業の懇親パーティーの方を始めさせていただきます!」
ちょっと釈然としない秋彦だったが、周りがさらに暗くなり、舞台が明るくなって、雨宮が話し始めたので、そこで終わりになってしまった。が、パーティーはここからが始まりである。長い長いパーティーが幕を開ける。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は5月2日午前0時予定です。
世間はGWなのでその間は毎日投稿します。お休みの間限定です!
よろしくお願いします!