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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
地方都市奪還作戦 高速道路解放戦線編
166/385

第百六十三話 子供たちと従魔持ちの探索者との交流

累計PV数257万突破しました! 

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

 武器と防具を覗きに行った次の日の朝、秋彦は再び従魔のふれあいスペースがある公園に来ていた。今度は龍之介だけである。


「ふー、まさか昨日はあんなに俺の作ったものが受けるなんて思わなかったなぁ……さて、始めるか」

『パパ、じゃあ遊んでくるね!』

「おう、行ってらっしゃい」


 そういうと嬉しそうに空へ飛び出していく龍之介。

 それを微笑ましく見つめながらも秋彦はいそいそと準備を始める。今日は木製の机と椅子がある所へ行き、携帯用の骨加工ツールを並べ、レシピ本を広げてお茶と菓子をセットする。


「さて、やろうかね……」


 秋彦はそういって、材料である龍之介の成長で剥がれ落ちた鱗や爪、牙といった素材を取り出し、加工を開始する。昨日、日本中から集めた武器と防具の臨時商店を覗きに行った時に、秋彦の加工した龍素材の装飾品が随分高く評価されたことですっかり気を良くした秋彦は、龍之介のストレス発散も兼ねて公園で加工をし、間近に迫った企業との懇親会の為に、自分の職人としての自己紹介も兼ねて、自分の加工物を見せようと考えていたのだ。

 人に見せる以上は今の自分にできる最高の物を見せておきたい。職人と呼ぶにはまだまだおこがましいレベルかもしれないが、こういうことが出来るというのを見せるには悪くないだろう。


「まあ、その前にもう少し自分を研鑽しないとな」


 しかしその前にもう少し自分のレベルを上げておきたい。こういう物は本番にかかる前に練習をし、自分のレベルを上げてから取り掛かりたい。

 となったら使うのは龍之介がまだベビードラゴンだった時の素材だ。成長の過程として取っておいている分はともかくとして、今ここにあるのは素材として使うと決めている分だ。

 レベルを上げより良いものを作る為にも使ってしまおう。何より成長期の物だけあってちょっと大量にありすぎる物でもある。


………………………………


 開始から6時間が経過した。机の上はすっかり龍素材のアクセサリーでいっぱいになっている。

 最近はアクセサリーなどを作る手も早くなったし、クオリティもだいぶ上がっている。例えばドラゴンスケイルネックレスだと、初期に作ったものは、肉体力+400、魔法力+200上昇するものが多かったが、今なら材料が同じでも肉体力+700、魔法力+350くらいまで上昇する。

 これが職人としての成長と言う事かと、自らの成長に喜びを感じると言う物だ。食事などの為に席を立った時間を考えても相当作れたはずだ。

 レベルだって、元々自分のレベルが高い事もあってすぐにレベル8まで上がったので、この辺りでしっかりと見せる用である、今の自分が出来る最上の物もきっちり作り上げた。

 ここいらで大きく伸びをし、ペットボトルのお茶と広げていたお菓子を食べていると、龍之介が歩いて戻ってきた。しかも元の状態、つまり大きくなっている。

 そしてよく見ると小さい子供と魔物、秋彦ではない恐らく誰かの従魔があちこちにつかまってたり乗ってたりしている。どこから連れてきたのやら。


『パパ、ただいまー!』

「お、おおう、おかえり。その子供たちはどうした?」

『ここで知り合ったの! お友達になったんだ!』

「そ、そうか……」

「「「「こんにちはー!」」」」


 子供たちから元気な返事が返ってきた。よじ登ったり尻尾を滑り台にされているが、龍之介も楽しそうだ。


「こんにちは。君たちお父さんたちは?」

「あそこ!」


 一人の子供が指をさすと、全力でこちらに走ってきている何組かの夫婦がいる。

 そしてこちらに到着すると、息も絶え絶えに話しかけてきた。


「す、すみません! はぁはぁ……南雲さんの龍之介についていってしまったみたいで……!」

「ああ、構いませんよ、龍ちゃんも嫌がってませんしね」


 親の苦労が知れると言う物だ。かつては秋彦も散々に迷惑をかけた身なのでこんなこと思えたことではないかもしれないが、苦労が忍ばれると言う物だ。


「本当に申し訳ありません、しかしレインボーウィザーズの南雲秋彦さんとお会いできるなんて光栄です」

「いえいえ、あんまり気を遣わんでください。あんまり畏まられるとこっちもどうしていいかわかりませんし」

「そうですか、わかりました」

「にしても、この公園にいると言う事は従魔をお持ちで?」

「あ、はい。一応私たちは地方都市奪還作戦に参加してもいますので……」

「あ……そうだったんですね、失礼しました。顔が出てきませんで……」

「秋彦さんは有名人ですからね。そちらの顔はよく知られていてもこちらの顔を知っていると言う物でもないでしょうしね」


 そこからは保護者同士での歓談が始まった。従魔は狼、兎等、動物系の魔物が多いが、変わり種としてはゴブリンを連れている人もいて、それぞれの従魔に対する愛やこだわりなどの自慢合戦に発展していった。

 が、話はこどもの一言で終わることになる。龍之介を滑り台にして遊んでいた子供の一人が秋彦に話しかけてきたのだ。


「ねーねー、あんたなぐもあきひこさんだろ!? ほんもの!?」

「ん? ああ、俺は本物だよ。正真正銘だ」

「わー! すっごーい!」

「ねぇねぇ、ぼくにもやりをおしえてよ!」


 唐突に子どもたちに囲まれた秋彦だが、すぐに親が割り込んでくる。


「こら! 南雲さんに無茶いうんじゃありません!」

「そうそう、それにお前たちに探索者はまだ早いよ」

「うー! とうちゃんかあちゃんそればっかり! おれおおきくなったらぜったいたんさくしゃになるもんね!」

「あたしもぜったいつよくなるもん! じぶんのじゅーま持てるようにがんばるもん!」


 探索者を夢見る無垢な視線が秋彦を刺す。正直そんなにいいものではないのだが、戦いを持って富と名声を得る姿は、今の子供たちには漫画やアニメの世界から出てきたかのような存在に見えるのかもしれない。

 あるいは雨宮の行ったイメージアップ運動の成果と言うべきか。ならばそのイメージにはこたえなければなるまい。そう思い子供たちに話す。


「おし、じゃあみんながいつかもっと大きくなったら、兄ちゃんがちょっとだけ面倒見てやろうじゃねーの」

「ほんとー!?」

「おうさ。だからその時までは、お父ちゃんとお母ちゃんの言う事ちゃんと聞いて、いい子にしてるんだぜ?」

「わーい! わかったー!」


 キャッキャキャッキャと喜び合う子供たちを見てちょっとだけ頬が緩む。そして秋彦は一つ思いついた。

 秋彦はさっきまで作っていた、ベビードラゴンで作った素材の装飾品を持ってきた。本命の物は無論しまってある。


「よし、じゃあこれ。俺がさっきまで龍ちゃんの鱗やらで作ってたアクセサリーだ。一つやるよ」

「えー! いいのー!?」

「おういいぞ、もしも大きくなっても探索者やりたいっていうなら、それ付けて俺を訪ねてこい。そんときゃアキーズブートキャンプに参加させてやるよ。さあ選べぃ!」


 もう子供たちは目をキラキラさせながらどれにしようか楽しそうに選んでいる。が、親たちがおずおずと耳打ちしてくる。


「あ、あの秋彦さん。その、今の私たちにそんな余裕はちょっと……」

「ああ、お金は結構です。あれらは所詮練習で作ったものですしね……その代わりあの子たちが分別付くようになるまでは取り上げておいてください。それで、高校生になってまだ覚えていたら渡してあげてもらえませんか?」

「……ありがとうございます」

「いえいえ、龍ちゃんと遊んでもらったことですしね。何かの縁ですし、皆さんもどうです? 少しでも戦闘力上げて、生きてお子さんたちの元に帰りましょ。ね?」

「何から何まで……本当にすみません。ありがたくいただきます」


 4人の子供たちがそれぞれにアクセサリーを選んだ。一応ネックレスやイヤリングの様な、サイズで付けられなくなるなんてことが無い様なものだけを選んで持ってきたが、それぞれ気にいるデザインのものが見つかったらしい。


「よーし、それでいいな? これはちょっと付けただけでもめちゃんこ強くなっちゃうからな。みんなが大きくなるまではお父ちゃんとお母ちゃんに預けておくんだぞ、兄ちゃんとのお約束だぜ!」

「「「「はーい!」」」」

「よーし、いい返事だ!」


 こうしてちょっとした子供たちと親御さんとのコミュニケーションは楽しく終わった。これ以降龍之介は暇になるとこのふれあいスペースにやってきて子供たちと遊ぶようになったのだとか。



皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は4月27日午前0時予定です。

よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] そういうとこやぞ秋彦! 高価なものをほいほい上げることを女性陣に怒られたのに懲りてない。
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