第百五十八話 身内だけでの祝勝会
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「いやー、すごかったな……町の盛り上がりがすごいことになってる」
「食材がすっごくお安くなってたよー! 僕感動! こんなに気を楽に鍋振るえる日が戻ってくるなんて!」
疲れた様子の秋彦に、チャーハンの入った鍋を振りながら感動している優太。
現在秋彦達は秋彦のホテルの一室にいる。レインボーウィザーズ、モンスターキラーズ、ビューティフルドリーマーの面々は自分達だけでのささやかな祝勝会を行うべく優太が料理を行っているのだ。
祝勝会のための食事を用意すべく買い物を行った際に、食材の値段が以前の値段にかなり戻っていたことには全員本当に驚いた。
それでもまだ完全に以前の値段とはいかないが、はっきり言って今までの金額を知っているとすごく安くなっているので、驚きとともに感動もひとしおである。
特に優太はそれを本当に感じている。
今まで優太は魔物の氾濫以来、鍋を振るに当たって食材が高くなってしまったことで、こぼれるご飯粒一つ、使われる油や溶き卵の一滴にも神経をとがらせることが多く、結構ストレスになっていたらしい。
それらの重荷から解放されたことで晴れやかな笑顔を浮かべている。
ジュースとお菓子を用意しながらその感動っぷりにひたすら同意し続けておく。
「にしても近畿ギルドに人がごった返してたわね……本当にギルドローンはよく考えたと思うわ」
「……やはり弱小、中堅探索者としての活動でネックになるのはお金だと言う事がよくわかる」
「だなぁ……皆我先にってローンのための審査受けに行ってたもんなぁ……」
4回目の会議が終わった後、会議場の臨時で開かれたローンの相談所はあっという間に人で埋め尽くされ、それを見た探索者が近畿ギルドに急遽駆け込んだものの、そちらには地方都市奪還作戦に参加していない探索者まで駆け込んでいたというのだからもう笑うしかない。
秋彦達は秋彦がいないと使えないオーク達を狩りまくれる効率のいい稼ぎの場があるから、ローンを組まなくても問題ないが、普通の探索者はやはりそうはいかないのだ。
故にビューティフルドリーマーや、モンスターキラーズの面々は、長蛇の列に並びながらローンの審査を受けようとしているのだ。桃子も必要ないのだが、チームリーダーとして付き添った形だ。
別に今日受けても明日装備に対するローンを組めるわけではないのだが、審査を受けるのが早ければ早いほど、それだけ早く装備の準備を終えられるので皆我先にと審査を受けに行っているのだ。
と言う訳で、ローンが必要ないレインボーウィザーズは、身内のみの祝勝会を行うために優太が料理をしているのだ。
ボードゲームやテレビゲームの準備も万全である。と、用意をしていると笑屋からメールが入る。どうやら全員審査を終えたので、秋彦の部屋に来るらしい。
迎えが必要か聞いたら、スーパーで買うものがあるから要らないとの事だ。
「おう親友、皆審査終わったってよ。スーパー寄ってからくるって」
「りょうかーい! チャーハンあがったから持って行って!」
「はーい、私が持っていくわね」
言われて持っていくチャーハンは、いつもより明らかに出来がいい。
はっきり言って匂いがすごくおいしそうだ。熱されたチャーコマから出る肉と油が発する匂いが食べてくれと言わんばかりに鼻を刺激するし、見た目も全体的に油で米が艶めいているし、卵の部分が黄金の塊の様に輝いていてとても美味しそうだ。
そのほかにも優太が作ったものは、バンバンジー、酢豚、鶏のから揚げに春巻き、胡麻団子等々、当然ながら中華なのだが、そのどれもが信じられない程美味しそうだ。
この光景を見続けているだけと言うのは正直ちょっと酷と言う物である。
「しかしこれはちょっとした拷問だぜ……」
「本当……今すぐにでも食べてしまいたいわ……」
「……じゅるり……」
「でしょー!? 大阪の街で魔物食材を使った中華料理のレシピとかも手に入れたかんね! うちの店のレシピがますます多くなるってもんだよ!」
そういって誇らしげにレシピ本を掲げる。
どうやら個人行動をしているときに探索手芸店などに足を運び、料理スキルのためのレシピ本を探し回っていたらしいのだ。
レシピ本にない物を作っても、魔物素材を使えばそれなりに効果は出る物の、やはりレシピ本にある様なものは作れないのでここ最近暇があったら探していたらしい。
そして手に入れたコレクションを今日はフル活用しての料理だったようだ。美味しくない訳がない。
「僕自身の料理スキルもさらに上がったからね! 今Lv7だよ、もう中華料理人としては腕利きって言ってもいいんじゃないのかな」
「何をいまさら。最初っから十分腕利きだよ親友は」
「そうそう、こんなにおいしい中華、世界のどこ行ったって味わえないわよ!」
「……じゅるり……」
「あはは! 皆ありがとう!」
笑顔でこたえつつも料理の手が全く止まっていない、目にも止まらない速度で料理を作っていく様は本当にすさまじい。
そうこうしていると、部屋のインターフォンがなった。
「はーい、レインボーウィザーズでーす」
『モンスターキラーズでーす!』
『ビューティフルドリーマーでーす!』
『『入れてくださーい!』』
ジュディがインターフォンを取ると、笑屋と桃子がまるで漫才でも始めそうなノリで名乗ってくる。到着したらしい。
「来たわよ! 入れちゃうわね」
「おう。親友来たぞ!」
「はいはーい! これで最後……!」
優太が慌てて最後の料理を完成に持っていく。
「おっじゃまっしまー……ってうおあ! 何これ超いい匂い!」
「おー! すっごいおいしそうな中華が並んでんじゃん!」
真っ先に入ってきた笑屋と奏が匂いに気付いて思わず騒ぐ。
「わぁー! 最高です石動君! お、美味しそう……!」
食事に目がない言葉が今にもかじりつきそうな勢いで料理に向かっていく。
そのほかの面々もぞろぞろ入ってきて、並べられた料理に驚き、腹を空かせていく。
これは早く音頭を取ってしまわないと誰かが勝手に食べてしまいそうだ。そう思って、秋彦は素早くコップとジュースを配る。
全員にジュースが行き届いたのと同時に、優太が最後の料理、麻婆豆腐を持ってきた。そして優太もコップを取る。
「よし……全員行き届いたな?」
はーい! と全員声をそろえて返す。
「よっし、かたっ苦しい前口上も無しだ。俺も我慢できねーしな! よっし、じゃあ高速道路解放戦線お疲れ様でした、乾杯!」
本当に簡単な乾杯の音頭を取った後、全員すぐに料理を食べ始めた。もう待ってましたと言わんばかりの勢いで、食べ始めた。
優太の料理はやはり美味く、全員感動のあまりに漏らす声以外、祝勝会だというのに誰もしゃべらなかった。
その圧倒的な勢いは、全員が腹を膨らますまで続いたという。
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次の投稿は4月12日午前0時予定です。
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