第百五十一話 高速道路解放戦線、順調な立ち上がり
累計PV数236万突破、評価者数390人しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「じゃあ、さっさと行きましょうか」
とりあえずオーガの死体の処理は自衛隊員に任せ、秋彦達はさっさとこのサービスエリアのボスの元へ向かう。
今回のボスは縦穴を掘ってそこを自分の居住スペースにしているらしい。駐車場の一角にコンクリートをわざわざ壊し、その上で地面を掘っている。電気やガス、水道管とかは大丈夫なのだろうか?
ともあれ、縦穴を降りていく、少し広い穴だが探索者にとっては大したことのないサイズだ。どうやら随分ここのボスは大きいらしい。
穴を降りていくと、篝火が穴の壁に等間隔で置いてあり、穴の中は普通に見通しがきく程度には明るかった。
そして篝火の中心、部屋の中心には一匹の巨大な鬼がいびきを掻きながら寝ていた。近くにいくつもの酒の瓶や缶が置いてある。どうやらサービスエリアの売り物である酒を飲んで寝ていたらしい。
今のうちにとアナライズしてみるとこの様に出た。
名前:パワード・ブラックオーガバーサーカー
レベル35
肉体力:15,000
魔法力:0
戦闘力:17,500
有利属性:無し
不利属性:全属性
スキル
棒術Lv5
体術Lv5
ぶちかましLv5
暴れるLv5:(【モンスタースキル】【アクティブ】武器を滅茶苦茶に振るい、広範囲に連続攻撃する)
渾身の一撃Lv5:(【モンスタースキル】【アクティブ】武器を両手で持ち、力をためて集中して繰り出す一撃。出すのに時間がかかるが威力は抜群の一撃)
人喰いLv5
雄叫びLv5
鬼の身体Lv8
近距離戦の心得Lv7
オーガが同種を食らい合う事により強化され、変化した姿。
肌は墨で塗ったかのように黒く、筋肉で肥大化している。金棒ではなく大斧を持つ大鬼。戦闘になれば理性を失ったかのごとく暴れ、手が付けられなくなる。大喰らいで大酒飲み。他のオーガと同じく近距離攻撃で無ければダメージは与えづらく、状態異常も効きにくい。
自らの攻撃を一人で受け止めきる者にその魂を捧げる時がある。
特記事項
パワード個体:同種の魔物を喰らう事で強化され、変化した個体。
「……だってよ」
「と言う事は外にいた連中とあまり変わらない?」
「みたいね……自らの攻撃を一人で受け止めきる者……思った通り、これはちょっと私への試練ね」
「……ひょっとしてさっきからガードを徹底してたのって予想してた?」
と、話しているとブラックオーガが起き上がってきた。欠伸代わりに雄叫びが飛んでくる!
「うおっと! 起き抜けだってのにやる気満々だなおい!」
「まあいいわ、防御は任せて! 絶対魂頂いてやるんだから!」
「気合入れるのはいいけど死ぬなよ?!」
ジュディ、早くも自分向けの魔物の魂ゲットのチャンスに気が逸っているらしい。一応諌めてはおくが、声が届いているかはわからない。
兎にも角にも戦闘開始である。秋彦達が攻撃の為に一気に近づくと、オーガは持っている大斧で鋭い攻撃を仕掛けてくる!
が、ジュディの盾に阻まれた! 大きく吹き飛ばされそうになりながらも、しっかり攻撃を受け切り、そこまで大きく吹き飛ばされはしなかった。
「大丈夫か?!」
「平気よ! 小さい魔防壁でうまい事守ればいけるわ!」
「そうか。んー……じゃあ今回攻撃はしねーで、味方が攻撃受けそうなところに割り込んでガードしてやっててくれ。そうすりゃそのうち向かってくるはず!」
「そのつもり! 何度も何度も守ればいけると思うわ!」
ジュディはそういうがやはり少し不安だ。あのブラックオーガ、さすがボスモンスターだけあって外にいたオーガ共と比べて武器を振る速度や体のキレが違う。他のオーガの要領で行けば間違いなく攻撃はあてて来るし、威力によっては死ぬかもしれない。
そうこうしていると、味方の前衛たちもやってきてブラックオーガを攻撃し始める。叫びながらそれぞれにダメージを与えていく。
しかし敵にとっては大したダメージにはなっていないらしい。ブラックオーガは、再び雄たけびを上げたかと思ったら、武器を滅茶苦茶に振り回し始めた。
すごい勢いと速さだ。あの勢いのままにでたらめに振り続けたら誰かに攻撃が当たる可能性がある。再びジュディが前に出る!
ブラックオーガのでたらめな攻撃を見極め、魔防壁を込めた盾で攻撃を受け止め、攻撃の勢いで体制を崩させるように受け流す。ブラックオーガは目論見通りによろめき、体勢を崩して隙だらけになった。
その隙をついて、駄目押しとばかりにさらに追撃を行い、体勢を完全に崩し切ってブラックオーガを転倒させた!
「よーし今だ! 全員突撃! いや総攻撃だー!」
合図を聞いて、全員が一斉に攻撃を仕掛ける!
魔法、矢、武器で可能な限りダメージを与えていく!
そしてブラックオーガが再び立ち上がったころには生命力感知からかなりのダメージを与えることに成功したようだ。
「よーし、あと一息だぞー!」
喜んでいた時に、ブラックオーガが血相を変えてジュディに襲い掛かってきた!
不意を突かれたが、ジュディはこれを防御、しかしそれで収まらず、もうジュディ以外に目が行っていないようにジュディに対し、ブラックオーガは執拗に攻撃を繰り返していた。
これは恐らく、ブラックオーガがジュディを認め、魂を捧げる下準備が整った状態になったのだろう。優太の時と状態が似ている。
「や、やった……! 皆……! 私が抑えているから……早くとどめを!」
「おっしゃあ! 任せとけ!」
ジュディに攻撃が集中している今なら他の味方に対しての安全が確保できているのと同じだ。後はそう、ジュディが攻撃に耐えきれなくなる前に秋彦達がブラックオーガを倒し切ればいい。時間との勝負である。
その後ブラックオーガは、転倒後に受けた総攻撃のダメージが深かったこともあり、ジュディを除く全員での総攻撃を喰らい続け、何とかジュディの盾が破壊される前に倒し切ることが出来た!
咆哮を上げながら倒れるパワード・ブラックオーガバーサーカー。それぞれに疲労は見えつつも、最終的に大したダメージは誰一人として負わなかった。完勝である。
「はぁ……はぁ……終わった……!」
「おう、お疲れさん」
「た、魂は……あ!」
倒したことに対する感想もなく、装備の状態を確認しようとしたジュディ。
だが確認するまでもなかった。何せ盾が光り輝いていたからだ。そして盾に土が、磁石に集まる砂鉄の如くに覆われ……爆ぜた。
爆ぜた中心にあったのは、馬の蹄で縁取られた盾だった。二本足で立つ角の生えた馬の紋章が大きく書かれており、絵のモチーフは、ジュディの従魔であるエリザベスであることは間違いないだろう。
銀色に光り輝くその盾は、神々しく、誇らしげに地面に横たわっていた。主人が手に取るのを待っているかの様にさえ思える。
「やった……! これが私の、新しい力……!」
「おう、おめでとう!」
その場にいる全員が、その光景に興奮し、拍手を送る。
………………………………
「さて、まずは一つ制圧しましたね」
「お疲れ様でした! じゃあ次に行きましょう!」
労いの言葉もそこそこに早くも次に行こうと急かしてくるチームがいる。
「え!? 大丈夫ですか?!」
「何を言っているんですか、今回まだ二時間ちょっとしか経っていませんよ? この勢いのまま、次に行ってしまいましょうよ!」
「そうですね! あんな光景見てしまったら、もう羨ましくって! 僕たちも魔物の魂がこもった装備が欲しいです!」
優太が驚いて聞くと、どうもジュディの装備に魂がこもった事で、自分達も欲しいという心に火がついたらしく、全員気が急いているようだ。
確かに時間的には、討伐が比較的早く済んだことでまだ昼前である。昼食や休憩を車の中で取ることを考えれば、もう一か所行けるだろう。
「わかりました。でも皆さん、あまり焦らないようにはしましょうね」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
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次の投稿は3月22日午前0時予定です。
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