第百五十話 高速道路解放戦線、滑り出し
累計PV数229万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「皆様、お待たせしました。準備完了いたしました。これより作戦開始となります!」
「はい、了解です。じゃあ……よっと!」
作戦準備が整ったことを確認し、秋彦はすぐに補助魔法をかける。勿論他の属性魔法の強化魔法も他のチームが同時進行で掛けてもいく。この補助効果は重要だ。怠る事は出来ない。
そしてすべての補助魔法をかけ終わったことを見計らい、突撃の号令をかけるよう秋彦が声を掛ける。
「準備完了だ。じゃあ優太かジュディ、突撃の声掛けしてくれ」
「え、ええっと……ジュディさんお願いしていい?」
「わかったわ。じゃあ……全員、突撃―!」
「「「「「「「「うおおおおおおーーーーー!!!」」」」」」」」
突撃の合図を受けて、全員一斉にサービスエリアに突撃していく。
とりあえず秋彦は魔力撃を込みでオーガの首を吹き飛ばす。魔力撃込みの攻撃力ならこの程度なら一撃で行けるようだ。
他のオーガが持っている金棒を振り回すが、秋彦には当たらない。軽く飛んで躱す。ただし距離は少し広めにとる。何せ秋彦の槍よりでかい物を振り回しているのだ。紙一重でよけたら当たるかもしれない。このオーガ共ならあり得る。
そう思うくらいにはオーガの攻撃もぬるい物ではない。
だがそうは言っても、図体がでかいと言う事は質量が増えると言う事だ。質量が増えると言う事は動かすごとに余計に力がいると言う事であり、それは同時に動かす時に動きが鈍くなると言う事だ。
つまり、どうしても攻撃力は大幅に高くはなる物の、素早さが落ちてしまいがちなのだ。補助魔法でブーストがかかっている秋彦達の敵ではない。
攻撃を仕掛けてきたオーガの腕を落とし、首を落とす。的確に急所を狙い、次から次へとオーガを潰していく。
冷静に見ても割かし大したことが無いように思えてしまう。
と言うより、正直これなら前回のゴブリン軍団の方がよほどに手ごわかったとさえ思う。
そう考えると、この辺りのレベルに来て攻撃力と体力にステータスを極振りして素早さが低いというのは致命的だとも思う。データ上の戦闘力は高いが、これでは完全に見掛け倒しだ。これはよほどのへまをしない限りは大丈夫だろう。
そこまで思って、秋彦は味方の様子を見てみる。
まずはジュディ。ジュディは魔防壁を自分の盾と同じ大きさくらいに抑えて強度を重視し、オーガの攻撃を真正面から受け止め切っていた。そしてうかつな攻撃を仕掛けたオーガはたちまち攻撃をはじき逸らされ、体勢を崩されてしまう。
そこにジュディが悠々と魔力撃で倒していく。それはもう華麗とさえいえる手際だ。相手の得意分野での勝負をあえて受けて立ち、完膚なきまでに叩き潰す。見事としか言いようがない。
一方この中にあって苦戦し気味なのは茜だ。
弓を普段よりもかなり乱暴に引き絞り放つ、そしてオーガの攻撃をかわし、あまり遠くに行かず、遠距離判定を受けるか受けないかという所で再び弓を乱暴に引き絞り放つ。
茜はメンバーの中でも後衛での狙撃を担当していたので、遠距離攻撃をスキルでつぶしているオーガ達にだいぶ手間取っている。
そもそも茜の持つ弓は長弓だ。射程が長く、威力が高い代わりに弓から矢を放つのにもそれなりに時間がかかる。
こういう近距離で戦うための弓は短弓、いわゆるコンポジットボウと呼ばれるものだ。射程が短く、威力もあまり高くない代わりに長弓よりも速射性に優れている弓だ。
今回は長弓を短弓の様に扱う必要があるせいで、かなり立ち回りや狙いの付けづらさに苦労しているようだ。
それゆえなのか、途中からは諦めたらしく、自分がダメージを与えるような立ち回りをせず、いつも通り遠くからの狙撃で他の仲間たちのバックアップに専念しだした。今回の戦いでは新たな境地の開花とはいかなかったらしい。
そして最後に見るのは優太だ。
優太も本来魔法使いという後衛にいるべき存在だ。
魔法使いは基本、魔法力の伸びを重視し、装備も防御力を始めとした肉体力が上がる鉱物系の装備ではなく、魔法力の上がりがいい布製の防具を愛用している。
だがそれ故に肉体力があまり高くないので、普段は後衛で魔法を放っている。
だが今は相手の攻撃の射程内で堂々と魔法を放っている。相手の攻撃を避けながら近距離でファイアアロー、フレイムなどを使い立ち回っている。一応取得していた体術や杖術のスキルもそこそこ活用できているようだ。
だが、優太がオーガの集団に囲まれてしまう。オーガは勝ち誇ったようににたりと笑う。
そしてオーガが四方から一斉に優太に金棒を振り、襲い掛かる。
「はい、お疲れ様」
無論優太はわざと囲まれたのだが。その言葉を最後に、優太を起点に大爆発が起こった。オーガ達はその爆発によって後方に大きく吹き飛ばされる。
これは優太が新しく覚えた魔法、バーストである。自分を起点として炎の爆発を起こす魔法だ。
爆発を起こす魔法はファイアボンバーがあるが、バーストの利点は溜めがほとんどないことにある。
魔法には詠唱や溜めが必要だ。高速詠唱によって詠唱がほぼ要らない場合も最近多いが、それでも少しの溜めは必要になってくる。
だが、バーストは自分を起点にするということを条件に魔法の発動をほぼノータイムで行うことが出来る発生がとても速い魔法なのだ。
勿論、ちゃんと魔法制御を使いこなせていないと味方どころか自分さえダメージの行く魔法ではあるが、魔法制御さえしっかりできていれば、カウンターの反撃技としてこんなにうまく機能する魔法はない。今の優太にとって万が一の備えにもなる素晴らしい魔法だ。
やはりレインボーウィザーズのメンバーは問題ない。では他のチームはどうなっているかと思い他のチームに目を向けてみる。
今回は数がそれなりにいる上に、秋彦の追加強化がある事も相まって巨大なオーガ相手に意気揚々と突っ込んでいっている上にかなり余裕を持った戦いになっている。
やはり数は力といったところか。ならばあまりもたもたしていられない。さっさと終わらせてしまおう。
そう思い、秋彦はさらに早く戦場を駆け抜ける。
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数十分後、前回の時よりもはるかにあっさりと決着がつく。
報告通り、施設内に罠を仕掛けられた形跡もない。さっさとボスを探して終わらせよう。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は3月19日午前0時予定です。
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