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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
地方都市奪還作戦 高速道路解放戦線編
151/385

第百四十八話 一時の休息、デート 後編

累計PV数229万突破、評価者数370人を突破、ブックマーク数3400人しました! 

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

 その後、秋彦達は様々な場所へ遊びに行った。本屋、ゲームセンター、公園。様々な場所を歩き回っていき、気が付けば日が落ちている。

 夏真っ盛りで蒸し暑い季節とはいえ夜は幾分かマシになる。まあそうは言っても探索者には体温調節ができる服があるので、暑さもあまり感じないのだが。と言うかそういう機能がないと暑かろうが寒かろうが同じような装備をしなければいけない探索者にはつらいので必要に迫られてのことなのだが。


「いやー、結構がっつり遊んだな」

「ええ、今日はいいリフレッシュが出来たわね」


 二人が今いる公園は大阪城公園。近くのコンビニで買ったアイスを食べながら暗くなった公園を歩く。

 この大阪城公園、本当は夜になると大阪城がライトアップされるのだが、今は経費削減かあるいは氾濫騒ぎの時に壊されたか知らないが今はライトアップされていない。なので辺りは一層薄暗くなっている。

 アイスを食べ終わった秋彦達はベンチを見つけ、腰を下ろした。少しの間流れる沈黙。

 先ほどまで友人の様に楽しく遊んでいた時には流れなかった雰囲気、空気が流れてきている。どちらともなくなんとなく感づいているのだ。勝負の時が近いと。

 尚、言語はもう日本語に戻している。いつの間にか戻ってしまっていたし、もうデートも終盤なのでこれくらいはいいだろう。


「あのさ」

「ん? なぁに?」

「いや、ちょっとな。思えば色々あったなぁと思ってよ」


 秋彦がゆっくりと話しかける。どうやら勝負に出るつもりの様だ。緊張混じりで少し声が震えている。

 だがジュディは秋彦の声が震えていることに気づいていない。ジュディはジュディで、この流れに期待と不安を抱いているからだ。


「俺は初めてダンジョン入ったのってさ、入学式終わって一週間っていうタイミングでまた親友がいじめられてたところをいじめてる奴らぶっ飛ばして、その帰りだったんだ」

「そ、そうなの。今しか知らない人からしたら、優がいじめられっ子だったなんて信じられないでしょうけどね」

「そうだな。んでだ。その後ダンジョンを興味本位で制覇して、その後は魔物が氾濫するっつってレベル上げつつどうにかできないか模索して、そこで雨宮さんと出会ったんだよな」

「え、ええ、そうね」

「……思えばジュディとの最初の出会いってそこからだったよな」

「……ええ、飲み物を買いに説明会場を出ようとした時に、ぶつかっちゃったのよね」

「ああ。それが最初だった」


 再び訪れる沈黙時間。正直もどかしいが、騒ぐわけにもいかない。

 秋彦が口を開く。


「その後は氾濫騒ぎを収めて、しばらく別行動してたけど、こっちの人手が足りなくて、ジュディ達とチーム組んだんだよな」

「そう。でもまだたった3か月から4か月程度の出来事なのよね」

「ああ、その間もレベルも上がって初級ダンジョンのクリアもして、装備整えて、いろいろ目まぐるしくいろいろ変わったもんだよなぁ。社会も俺らも」

「そうね、社会と言うか世界中が変わらざるを得なくなったもの」

「……でも変わってない物もあるんだよ」

「そ、それは……何……?」

「そ、それはだな……んん……ふん!」


 秋彦が急に掛け声を出したのは自らにパワーとメンタルを掛けたからだ。そこまでしなければ言えないのだ。


「秋彦?! ど、どうしたの!?」

「い、いや、何でもない、何でもないんだ。え、ええっとそれでだな、変わってない物っていうのはだな……」


 互いに顔を真っ赤にさせながらの会話だったが、一息ついてから、意を決したようにはっきりと告げた。


「俺、初めてあったあの時からずっと、ジュディ、君のことが好きだったんだ!」

「……!」


 再び訪れる沈黙時間。だが、さっきまでの沈黙とは明らかに流れている空気が違う。なにせとうとうやったのだ。愛の告白である。秋彦は顔を真っ赤にし、ジュディは予想していたとはいえ頭はパンク寸前になっている。

 やはり恋焦がれていた男性からいざ言われてみると、その幸福感、高揚感、感動、感激。様々な感情が奔流となって押し寄せてくる感覚に、ジュディの思考は停止していた。


「だ、だからその……男女交際? あ、違う、恋人に……」

「は、はい……よろしくお願いします!」

「は、はい!」


 好きである気持ちを伝えるだけで、後がノープランだった秋彦が、あたふたとしていたところにジュディが抱きしめてきた。

 つい出す声も大きくなってしまった。


………………………………


「……よしよし、いけ秋彦、チューしろ」

「茜ちゃんさぁ……そろそろ帰ろうよ……これ以上はだめでしょ……」

「……何を言っているの? むしろこれから、これからが盛り上がるのに」


 公園の木の陰で鼻息を荒くしながら事の様子を見守っていた茜と、そろそろうんざりしている優太。茜としてはドラマのワンシーンの様な告白の現場を見れて大変満足げに、食い入るように見ている。ここに炊き立てのご飯があったら今の現場をおかずに飯を食いかねない勢いだ。

 半面何とか茜をその場から引きはがし、帰らせたいのは優太だ。

 親友の色恋沙汰を出歯亀なんてただでさえやりたくないようなことを無理やり付き合わされている上に、ここから先があるとしたらたとえ友人、親友であったとしてももう踏み込んでいい領域ではないはずだ。


「ほらもう帰るよ、結果は知れたし、これからも仲が良くなっていいじゃない。これ以上は無粋、っていうかもう悪趣味な領域だよ?」

「……まって、今の雰囲気ならチュー位は行きそうだし、ほら秋彦の胸の中でジュディ泣いてるし、泣き止んだら」

「ちょっとそろそろ本気でいい加減にしようね? それを見たら御終いでしょう?」

「……そんな、こんなワイドショーのような光景を見逃すなんて」


 珍しく、茜は涙目で懇願に近い形で嫌がる。どれだけ見たいんだという話である。しかし優太、今回は引かない。秋彦達の為でもあるのだ。ここは男の見せ所である。


「これ以上は力ずくでも駄目だからね」

「……仕方な、あ……」

「え?」

「……満足したから今回は優の顔を立てておく」


 そういうと茜はすっとその場を立ち去った。

 ……正直あれほど嫌がっていた茜があっさり身を引く何かが起こったのだろう。大方予想はつくが、考えないようにするのが親友と言う物だろう。


「まあ、これからも僕と秋彦が親友であることには変わりないんだし。お幸せに」


 優太がさみしそうにそうつぶやくと、茜の後を追うのであった。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は、投稿一周年と言う事で、3月14日午前0時予定です。

よろしくお願いします!

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