第百四十一話 サービスエリア、罠と奇襲
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「はぁ……はぁ……あーもう……もうどれくらい罠解除しましたっけ……?」
「とりあえず物販コーナーはあらかた探索しきりましたね……他の班の連絡がないので順調だと思います」
秋彦は盛大にため息をつくと気を引き締めなおす。
現在秋彦達は、秋彦達レインボーウィザーズと鋼の騎士団、そしてアンリアルコード三チームにアリアンタイムズそれぞれのメンバー一人づつを付けて、罠の張り巡らされた物販コーナーの罠の解除と敵に奇襲を撃退すべく全力で警戒中である。
なぜアリアンタイムズのメンバーを分散させてそれぞれのチームに付けているのか。
答えは単純、レインボーウィザーズを含めたS、A、B、Cクラスそれぞれのチームの中で罠感知や罠の知識などを一番持っているチームが、Cクラスのアリアンタイムズの面々だったからだ。
あまり深く話はしなかったが、どうやら近畿辺りでは魔物が罠を配置する事で罠が大量に配置されている、通称【罠ダンジョン】と呼ばれるダンジョンが多いらしい。
関東ではあまり見ないし、東北でもあまり見ないそうだが、九州ではそれなりに見るし、近畿に至っては通常のダンジョンの中にも一階層は罠の階層があったりするらしく、必然と全員【罠感知】という感知系の中でも罠に特化した感知スキルを取得するし、罠に対する造詣も深くなるようだ。
ダンジョン自体も地方によって特徴と言うのがあるのだろうか、後で話を聞いてみるのもいいだろう。
とにかくそのおかげでアリアンタイムズのメンバーは罠の発見、罠の解除に大いに役に立っている。とてもありがたい。
ちなみに最初に魔物召喚の罠を見破った人は斥候役の人なのかと思いきや、普通にチームの前衛役だったらしい。罠ダンジョンではどこに罠があり、誰が罠を踏むかわからないので、必然的に全員が罠に対して鼻が利くようになるそうだ。
「全く、こうも敵や罠だらけだと嫌に……なりますな!」
話をしつつも警戒をしている秋彦が、冷凍庫の影から飛び出してきたゴブリンの暗殺者を拳で頭を潰す。
槍は店の中では使いづらいので現在拳で対応中である。拳で魔物の頭蓋を潰すって正直人間の所業ではないと思うのだが、もう気にしたら負けと言う物だろう。
ジュディもやはり店内での剣の使用は要らぬ店内破壊に繋がるのでしぶしぶ剣をしまって盾で殴る方針に変えている。
茜も弓を店内で使えないので、魔法を使っての対応に変えることで対応中だ。
普段から魔法を使っている優太は戦い方が変わらないので気楽な物だ。店の物を燃やしたり壊したりしないようにだけ注意していればいいのだから。
そしてどうやら暗殺者も今ので最後だったらしく、ようやく物販コーナーに漠然とした魔物の気配が消えた。
生命力感知を持っていても、そこは暗殺者の様な見た目に偽りなく、一帯にいることは分かっても具体的にどこにいるかを隠す能力があるらしく、発見にかなり時間を使ったがそれもようやく終わりの様だ。
「おー、やっと駆除終わったな!」
「本当ですか!? それならよかった……罠はもう少しあるみたいですが、魔物がいなくなったのなら、罠解除に専念できます!」
「すみません、アリアンタイムズの皆さんがいてくれて本当によかったです。こういう時に我々の無力さを思い知りますね」
「いえいえ、こういう所でお役に立っておかねばいけませんので。では罠の方も探ってしまいますので」
「すみません、宜しくお願いします」
………………………………
こうして各チーム、物販コーナー担当のレインボーウィザーズ、トイレ、自販機コーナー担当のアンリアルコード、レストラン担当の鋼の騎士団がそれぞれ役目を終え、罠の解除も無事済んだところで、改めて全員集まる。
「さて、これで粗方建物の中も捜索も終わりましたね」
「ええ、倉庫以外はすべて回り切ったと思います」
レインボーウィザーズは戻ってきた他のチームと笑顔で会話をするが、まだ気を緩められない。
倉庫以外は回り切った。そう、倉庫はまだ捜索をしていないのだ。勿論意図的に。
生命力感知を持っているとわかるのだが、倉庫にはやたらと大きな生命力を持ったものがいるのだ。恐らくこのサービスエリアのボスと思っていいだろう。
ボスと戦う前に残存勢力を先に倒しておかないと、後で出てこられて連携でもされたら、下手を撃てば敗北の目もありうる。せっかく潜伏しているのが分かっているなら、後顧の憂いは断っておくのがいい。
なので先に倉庫以外のすべてを回って置き、万全の状態でボスに挑む。
という訳で現在二度目の回復タイムである。特に今は小賢しくもいやらしい罠と奇襲の連続で精神が摩耗し、苛立ち、無駄に昂っている。
落ち着いていかねば力も発揮しきれないだろう。
せっかく解放できたことだし、レストランの椅子に座って軽い食事やポーションを飲むことにする。
魔物に占拠されて以来掃除がされていないせいで、すっかり溜まっている机といすの埃を軽く払い、各々のチームは椅子に座って、机に持ち込んだポーションやお菓子などを広げていく。
「サービスエリアの解放まであと一息ですね」
「そうですね、ここまで来たんですから、成し遂げたいですよ」
「最後の敵も、力量感知からして油断はできませんが、勝てない相手ではないと思いますよ」
「ええ、後はボスを倒すだけですから。ゆっくり休憩して、今回最後の決戦へ挑みましょう!」
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