第百三十九話 サービスエリア、駐車場の攻防!
累計PV数214万突破、評価者数340人を突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
レインボーウィザーズ、鋼の騎士団、アンリアルコード、アリアンタイムズ。それぞれのクラスの探索者達が一斉に大声を上げてサービスエリアの入り口からサービスエリアの駐車場に突撃していく。
むろん敵もぼーっと待っている訳では無い。敵の中でも軽装備に身を包み、弓を持った個体が整列し、一斉に矢を放ち、矢で出来た雨を降らせてくる!
だが今の秋彦達では障害にはならない。
「全く鬱陶しいなぁ! えいや!」
優太の一言で、矢の雨は散り散りに吹き飛んだ。風魔法のブロウで風を起こして矢の雨を払いのけてしまったのだ。
「やるじゃねーか親友! 俺も負けちゃいらんねー……な!」
前進する秋彦の元に斧を持ったゴブリンが、斧を振り下ろしながら飛び掛かってきたが、秋彦は余裕で首を落として返り討ちにしてやる。ここはもう敵の最前線。秋彦は敵の前衛部隊と接触を果たしたのだ。
斧を持った個体と騎士の様な個体。ナイフを持った個体と種類は様々だ。
ナイフ持ちが切りかかってくるのを蹴り飛ばして敵の部隊にぶつけてやる。その隙に斧が攻撃を仕掛けるが斧を持った腕ごと切り落す。
が、それは騎士に割り込まれて阻まれる。そして斧の攻撃が繰り出されるが、やはり遅い。秋彦は余裕で一歩後ろへ下がって躱すと、今度は騎士の胴を両断してから、今度こそ斧の首を飛ばす!
しかしその程度では敵はひるまない。次々と敵は敵はやってくる!
襲い来る敵を次から次へといなし続ける。やはり人数的にはちょっと負担が大きい。正直各個撃破では割に合わないかもしれない。
そう思い、敵を倒しながらも他のメンバーの動きを見てみる。
まずジュディだが、盾を構え、ちょっとした大きさの魔防壁を張ると、そのまま突撃し、一気に相手の守りを突き崩していっている。さながらブルドーザーを突撃させているかのような光景だ。
そして茜は突撃もそこそこに弓矢での攻撃を行っている。戦場をまんべんなく見渡し、隙のある場所に強力な矢の一撃をお見舞いしている。狙撃手と言えるレベルで戦場を掌握している。
そして先ほどファイアボンバーが通用しなかった優太だが、優太は優太で、強力な魔法をこれでもかと言うほどに連射していた。
炎属性魔法Lv18で覚えるフレイムアロー、この魔法は他の炎魔法に比べて発生と攻撃速度がとても早く、今まで炎魔法は鈍重なイメージがあったが、これはそんな鈍重さを感じさせない速度で、敵を殲滅しにかかっていた。
また、この魔法は炎で出来た矢を相手に放つ魔法なので、貫通力もなかなかあり、先ほどは通用しなかった魔防壁も、見事に貫き敵の元に攻撃を仕掛けられている。流石優太。通じないなら通じないで、今度は貫通力のある魔法で攻める方向に切り替えたようだ。
先ほどの矢の攻撃が矢の雨などと笑わせる。本当の矢の雨とはこういう事をいう物だと言わんばかりである。魔法制御が無ければ味方にも被害が出かねないほどの量と威力だ。
だが、持続力にかけるらしく、一定の周期で休憩を入れたりしている。
とりあえずレインボーウィザーズは相変わらずで何よりなのだ。
なので他のチームは今どうなっているのかをちょっと見てみることにした。この時も相変わらず敵を倒しつつの作業なのだが、今の秋彦なら余裕である。
思った通りとはいえ、個々で見ると戦闘力五千が、全く大したことのない連中であるのはちょっとしたカタルシスを覚えるが。
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「うおおおおお!!! どけどけどけどけーーー!」
Aクラス探索者チーム、鋼の騎士団リーダー、村田は今までにない力の湧き様、体の動き様に高揚していた。
鋼の騎士団は攻撃と防御を重視し、素早さを完全に捨てていたチームだ。重たい剣と盾を持ち、重たい鎧を身に纏う事で、攻撃力と防御力に秀でることで、どんな敵と相対そうとも一撃では決して死なないし、一撃を耐えることで隙だらけの相手に対し、渾身の一撃を見舞う事で様々な敵を屠ってきた騎士たちだ。
だが今はどうだ。この重たい装備のすべてが、まるで羽のように軽い。今までの自分達と比べると圧倒的に早い。にも関わらず攻撃の一撃一撃が凄まじい重さをもって敵を一刀両断していく。
敵を紙屑の様にちぎっては投げていくことが出来る。今の自分達は体当たりだけでも敵の魔物が吹き飛んでいく。その圧倒的な力に、自分自身怖くなるほどに酔いしれてしまう。
「今の僕たちなら、この程度敵ではない!」
「そうですね、でも油断は禁物ですよ! 突出しないで、今まで通りフォーメーション通りに戦っていきますよ!」
「勿論だ!」
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「よしよし、これで何匹目だっけか……」
「二十から先はもう数えてないよ」
ゴブリンの集団を焼き払った後、アンリアルコードメンバーが一息ついた。
Bランク探索者、アンリアルコード。彼らは魔法をメインとした戦士たちだ。基本は魔法を使っての遠距離攻撃がメインで、接近されても武器をもって立ち回れるスタイルだ。
属性も炎、風、光といった遠距離攻撃に秀でた系統でそろっている。
「もうすでに騎士タイプのゴブリンはあらかた倒せたね」
「うん、貫通能力のある魔法で戦えば普通に貫けるし、冷静になってみれば魔防壁相手にファイアボンバーが効きづらいってのはすぐ分かるべきだった……」
「ちょっと恥ずかしかったね……」
気が緩むと、先ほどの醜態を思い出してしまい、赤面してしまう。優太のファイアボンバーが防がれたときだ。
あの時はCクラスの人と一緒におびえてしまったものの、よく考えてみれば驚いたりおびえる必要も全くなかったのだ。あれはむしろアンリアルコードの面々はCクラスを諭す側だったはずだ。
いくら優太が規格外の魔法使いであると言っても、特徴などを考えればあれは当たり前の結果だったはずなのに。
「……秋彦さんの補助魔法のおかげで普段よりはるかに調子がいいし、もっともっとやらなきゃな!」
「そ、そうだね! ハハハ!」
思い出したら恥ずかしくなったのか、全員魔法による攻撃を再開した。
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一方、Cクラス探索者チーム、アリアンタイムズは余裕すら見えるAクラスやBクラスとは対照的に、大激戦を繰り広げていた。
飛んでくる矢をはじき、剣を鍔迫り合いではじき、斧をよけ、隙を見て攻撃を行う。相手をしている量はそれぞれあまり変わりないのだが、少々苦戦が垣間見える。
しかしそれでも周りに助けを求める程ではないし、数は確実に減らしているのは評価できる。
恐らく補助強化が無ければこうはいかないだろうが、それでも頑張れている。
「くっそー! なかなか厳しい!」
「それでも、まだやれてるよ! 頑張ろう!」
「俺たちは、せめて足手まといにならないようにしないと!」
アリアンタイムズは、前衛と後衛がはっきり分かれているチームだが、この時ばかりはなるべく団子になって全方向に隙が出来ないように必死に立ち回っている。一人一人が一騎当千ではないこのチームはそうしないと囲まれたときが大変だ。
そうして奮起しているのに、足手まといにならないようにと言っているところが悲壮感を漂わせているところではあるが、実力的には最も下である所を考えるとやむを得ない所なのだろうか。
かくして、それぞれがそれぞれの実力を示し、見せつけながらも大暴れをしていく。
そうして戦う事十数分。
数えきれないほどのゴブリンの群れは、死体の山へと変わっていくことになった。高速道路解放戦線の第一歩、駐車場の制圧終了の瞬間だった。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は2月18日午前0時予定です。
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