第十四話 集会
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皆様のご愛読、誠にありがとうございます!
「要するにこいつも事情を知ってやがるのか」
「その上で事情が分かる人を呼び込んでるんだよこれ!」
ダンジョンウォッチを見せた状態での写真にイベントという言葉。これらから、イベントというのは二日後に迫った処理を行っていないダンジョンからのモンスター一斉氾濫の事を差しているのはほぼ間違いないだろう。そしてそんなことをわざわざ呼び掛けているということは……
「まさか、人材を集めているのか?」
「主要都市で、って書いてあるし、主要都市くらいは何とか守ろうと、事情の分かる人たちを探して呼び掛けてるんじゃないかな?」
「そうとしか思えねーよな……少なくとも俺みたいな考えなしでも察しがつくんだ。変に裏がなけりゃそう見るのが自然だ」
「ど、どうする? どうしよう?」
「そうだな……」
正直言って悩むまでもない。元々自分たちで出来る範囲でやれることぐらいはやっていたのだ。あまり大きな混乱にならずに済むならそれに越したことはない。人数が増えればやれることは増えるだろう。
地元の処理は終わったのだ。電車で一本の場所である東京で起こる、モンスターの氾濫を抑える手伝いはできる。
それに、せっかく守ってやろうと奮起し、仲間を集めている人間がいるのだ。答えは一つだ。
「乗ってやろうぜ。ちったぁ手伝えるだろ」
「……そういうと思った。わかった。僕も行くよ!」
「……意外だな。親友が自分から修羅場に飛び込もうなんて」
「あはは、もう、無関係じゃないし……ね」
「……おう!」
………………………………
連絡を取った翌日、月曜日。氾濫まであと一日。
二人は東京のオフィス街の一角に居た。というのも、呼びかけていた人物に呼び出されたからである。この時点で集まった人員で当日の説明を行うらしい。
現在の時刻は18時。学校が終わった後、急いでここまで直行したのだ。説明会の開始時刻は18時30分。幸いなことにそこまで遠くなかったので、直行すれば間に合った。
ビルの中に入り、案内板と、指定された階層を見比べる。指定された階は貸会議室になっているようだ。
指定された階層まではエレベーターを使う。その間に二人の間に会話はない。
それはいよいよもって期日が迫っていたモンスターの氾濫に対抗する実感が湧いて来たことによる緊張故か、あるいは、初めての自分たち以外のダンジョンへ潜入した人物たちとの出会いに対する興奮かはわからない。
指定された階に付き、受付を探す。確か、説明会とだけ書かれている看板を設置されているらしい。
……あった。説明会の看板の近くにスーツ姿の男女のペアが座っている。傍から見たら、どこかの会社の入社面接かと思うくらい固い雰囲気をしている。秋彦は声を掛けた。
「すみません。ここ、明日のイベントの説明会場であっていますか?」
秋彦はそう言いながら、さりげなく右手を机の上に置き、ダンジョンウォッチを見せる。
ダンジョンウォッチを確認した男性が笑顔で受け答えを行う。
「はい、どうぞお入りください。まもなく説明会が始まります」
「ありがとうございます。親友行こう」
「うん」
受付が済んだので早速部屋の中に入る。入ろうとしたところで……誰かにぶつかった。
「きゃあ!」
「うおっと?!」
ぶつかったのは女性だったようだ。しかも外国の人みたいだ。
日本人では決して出せない茶がかかっているが綺麗な金髪をポニーテールにしており、肌もとても白く、日本人とは違う。目の色も紺眼。
「ごめんよ、大丈夫か?」
「ええ、こちらこそごめんなさい。わざとではないのよ」
手を差し出す秋彦、それに応え手をつかみ、秋彦が力を込めて引き上げ、立ち上げる。立ち上げてから気づいたがこの女性背が高い。流石に秋彦ほどではないが、秋彦と頭一つ分くらいしか違わない。モデルなのだろうか?
「飲み物を買いに外に出ようとしたのだけれども、同時にドアを開けてしまったのね」
「正直全く気付かなかった。すまない」
「……私、ジュディって言うの。後でまた話しましょう? 私、とりあえず飲み物を買ってくるわ」
「ああ、分かった。俺は南雲秋彦だ。じゃあまた」
そういってジュディと名乗った女性は外に出て行った。なんというか、とても綺麗な人だった。
「秋彦? どしたのぼーっとしちゃって?」
「え!? あ、ああ。悪いいつまでもここにいちまって。そろそろ中入ろう」
「分かった。というか僕完全に置いてけぼりだったな今の会話……どうせ僕はちびだよ、ふーんだ……」
会議室に並べられた机といす。ざっと辺りを見回してみるが、正直に言うと数が少ない。具体的には50人位だろうか?
たった3日、4日でこれだけの人間がダンジョンでボスを撃破する実力をつけたのだから数はむしろ多いといえるかもしれないが、これで東京全土をカバーというのは少々現実味がないかもしれない。
とはいえ、頼もしいのは確かだ。男も女も、老いも若きも、今この段階では様々な人たちが集まっていた。それが全員同じ目的のために動こうとしているのだ。気持ちも昂ると言う物である。
とりあえず空いている席について、待つこと30分。前の入り口から、昨日見た写真投稿に映っていた男が出てきた。
髪を金髪に染め上げ、首元には貴金属の装飾が飾られ、服装も白のスーツと、ホストをイメージさせる見た目で、こういうのもなんだが、軽薄なイメージが付きまとう。
「やあやあ皆さん初めまして。この度は僕の呼びかけに答えてくれてどうもありがとう! 正直これだけの人数が集まったことがうれしいです!」
セールスマンか、あるいはウィーチューバーのような軽快な語り口調だ。
「さて、改めて自己紹介を。僕の名は雨宮 猛。歌舞伎町でホストをやっています。皆さんどうぞよろしくお願い致します」
仰々しく頭を下げる。ホストのような見た目だとは思ったがまさか本当にホストだったとは。その服装、まさか仕事着か?
「質問やご意見等は最後に時間を取りますので、そこで発言をお願いします。さて、今日ダンジョンウォッチを持っている皆さんにだけわかるようにメッセージを送ったのは他でもない。こいつを持っている皆さんならわかっているとは思いますが。もうすぐ、というか明日に日本に、いや、世界中にモンスターがダンジョンからあふれ出てきてしまう。僕はそれの被害を何とか抑えたくて、今日皆さんをお呼びしました」
そういって雨宮はダンジョンウォッチを昨日見た写真のポーズで見せる。
「とはいえ、実際にこちらがやれることは少ない。今からダンジョンをあちこち潰したってはっきり言って時間が全く足りない上に、遅かれ早かれこういうことは起こると思う」
それはこの場にいる者たちも大いに同意できる。
結局全員が、ダンジョンと言う物に対して共通の認識を行わないと、陰でダンジョンを攻略して回るにはあまりにもダンジョンに潜っている人間の人口が少なすぎる。一般の人間にも参加してもらわなければ、とてもではないが手が足りない。
「ならばいっそダンジョンからモンスターを溢れさせ、ダンジョンの存在を世間に見せつける。それと同時にあふれたモンスターの処理をすることで、モンスターと戦える我々のような者たちもいるということを証明し、自身の存在意義を確保し、自分たちの身を守る。そういうことも大事だからね」
確かにそうだ。
モンスターと戦える人間という形で自分たちの存在価値を見せて行かないと、今後自分たちのような魔法を使え、未知の化け物相手に戦える人間たちを排斥しようとする運動が起こってもおかしくない。そうでなくても、魔法を使えたり、超人的な力を持っていたりしていることがばれたら、世間やコミュニティーから爪弾き者にされるかもしれない。
「だから今回皆さんにわざわざ御労足願ったんです。これから我々は嫌でも世間に注目される。このダンジョンというもので結ばれたコミュニティー。ゲーム風に言うと【冒険者ギルド】のような存在。顔合わせ、あるいはコミュニケーションくらいはしておいた方がいいと思いましてね」
正直感心した。ダンジョンウォッチを使って自分たちに呼びかけただけでなく、明日の事だけでなく、今後のことも提案し、考えて行っている。この男、頭は回るらしい。
「それにどうしても明日に備えて今日やっておかねばならないこともあるんです」
そういって雨宮が手をたたくと女性が何人か現れた。いろいろな衣装をもって
「さて、皆さんにはこれからコスプレの採寸合わせをしてもらいます」
一斉に会場がどよめいた。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも頑張っていきますので、ぜひ評価感想の方を頂戴したく思います。そうしたら私はもっと頑張って作品を展開できますので。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします!




