第百三十四話 大阪、会議開始!
累計PV数202万突破、評価者数330人を突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
挨拶に始まり、自己紹介を済ませた三チーム。
その後、しばらく雑談を行っていたが、やがて会議の時間となったため、雑談を終え、席に着く。
会場に戻ると壇上には各地のギルドマスター用の椅子と机があり、ギルドマスターが勢ぞろいで座っていた。日本探索者ギルド連盟会議を主催する【日本探索者ギルド連盟】を構成する【日本八大ギルド】のギルドマスター達だ。
左から順を追って見てみよう。
北海道ギルド【北の試練】ギルドマスター、団子鼻と頬の傷後が特徴的な、枝野 公人。
東北ギルド【川辺の風車】ギルドマスター、腰まで届く長髪の若々しい女性、鬼塚 喜美恵。
中部ギルド【ウィッシュ・オン・ザ・スター】ギルドマスター、ノッポで眼鏡をかけている、立川 宏。
近畿ギルド【大文字】ギルドマスター、顔の彫りが深くカイゼル髭が特徴的な初老の男性、家本 久継。
中国ギルド【瀬戸の戦士】ギルドマスター、屈強な体つきをしたオールバックの男、千田 陽介。
四国ギルド【こんぴらさん】ギルドマスター、物腰柔らかそうなやわらかい笑顔を浮かべている、水無月 翔平。
九州ギルド【修羅の巷】ギルドマスター、黒のスーツをバシッと着込んだサングラスの男性。黒田 俊樹。
沖縄ギルド【シーサーの欠伸】ギルドマスター、三つ編み姿で人懐っこい笑顔をした、少し太り気味の中年女性、小野崎 天音。
そして演壇の前にいるのは、秋彦達にはすっかりおなじみの関東ギルド、悪夢の終焉ギルドマスター、雨宮 猛だ。
いずれも各地のギルドを支える探索者業界の大物たちである。彼らがいなければ探索者は成り立たず、ギルドも成り立たない。彼らににらまれると言う事はその地域の探索者ににらまれると言う事であり、全員からにらまれる様なことがあれば、それすなわち全探索者を敵に回すも同じである面々なのだ。
雨宮は演壇のマイクに声を上げた。
「はい、それではお待たせいたしました! ただいまより日本探索者ギルド連盟会議を始めさせていただきます!」
全員が一斉に拍手を行う。割れんばかりの拍手が鳴り響く。
雨宮が腕を上げると拍手が鳴りやみ、そして演壇に用意された特大のスクリーンに次の様な言葉が映し出された。
≪お疲れ様! 聖域チョーク、海洋の守護像5,043個買取!≫
「さて皆様まずはお疲れ様でした。皆様のご協力により何と、5,043個。これほどの聖域チョーク10個セットと海洋の守護像が手に入りました。ギルドは全力で買い取りました」
先ほどよりは抑え目ながら拍手が起こる。
現在シルバーランク探索者が五百人いることを考えると、すべての探索者が約十回前後チョークと守護像のセットを売っていたことになる。
勿論人によって回数にはばらつきがあったりはするだろうが……買取金額は買取強化を行っていたこともあってとても高かったはずなのだが、よくそんなに大量に買えたものだ。
「ギルドのスポンサーや政府などにも大いに協力をお願いしていただいての買取でしたが、買い取り切った甲斐があったというものです」
やはり政府も一枚噛んでいるらしい。災害扱いではあっても魔物による侵略ではあるので、防衛費だろうか。
「そして、この大量の聖域チョークと、それを手に入れ続けてくれた総勢約五百チームの精鋭探索者である皆様の実力をもって我々はついに実行に移すことが出来ると確信しました!」
スライドが違うメッセージを見せる。
≪地方都市奪還作戦、本格実行!≫
メッセージを見た時誰もが歓声を上げ、立ち上がり拍手をした!
ついに来た、ついに地方都市奪還作戦の開始が宣言されたのだ。この緊張、恐怖、興奮、高揚。様々な感情が織りなす雰囲気は、まるで贔屓にしているスポーツクラブの試合で得点を取ったかのような雰囲気に似ている。
「皆様どうか静粛にお願いいたします。ですがそうです。ついに日本を人間の手に取り戻すための作戦がついに始まります!」
とりあえず全員再び席には着いたものの、興奮は収まりきっていない。皆、皆隣の席の人々や仲間とこの興奮について語り合っていた。
「えー、そしてですね。我々日本八大ギルドのギルドマスター。全員一致で最初に攻めるべき場所がある。そういう見解を持った場所があります」
その言葉を聞いて会場内が静まり返る。緊張が走っていると言えるだろう。
自分達の最初の戦場であり、一番最初の開放場所だ。出来れば故郷が近い所がいいだろうし、気にしないでいるという方が無理だろう。
「それは……高速道路です」
会場がざわつく。
地方都市奪還作戦、と銘打っておきながら、最初に出てきたところが高速道路というのはいささか締まりがないと言えるからだろう。
「ええ、言いたいことはわかります。地方都市奪還作戦、そう銘打っておきながら最初に攻めるのが都市ではなく高速道路であると言う事。少し滑稽に見えるかもしれません。しかしよく考えていただきたいのです。今のこの国の流通の要であり命綱。それが今魔物の手に落ちているという事実を。それがこの国の衰退を加速度的に早めている事実を」
そういわれると確かにそうだ。
高速道路、それは地上の流通の要と言える場所だろう。電車にコンテナを積んで運ぶ事は出来るが、それでも最後にそれを人に届けるのはやはり道路なのだ。そこを抑えられているというのは確かにつらい所ではある。
高速道路に魔物がいる、とは言っても現状人気のない場所にはダンジョンはなく、元々人気のあった場所にダンジョンが生まれ人がいなくなったケースがほとんどである現状、高速道路のど真ん中にダンジョンが出来たりしているケースはない。
なら高速道路が魔物に占拠されているとはどういうことなのかというと、魔物がいるのはサービスエリア及びパーキングエリアにいるのだ。
サービスエリアもパーキングエリアも、長距離ドライバーの休憩所にして要である。もしもここがある日突然殆ど封鎖され、使用が出来なくなったとあっては、ドライバーはトイレも食事も睡眠も高速道路上では出来ない。
高速道路による長距離運転をしたことのある人なら、これがどれほど致命的かは説明するまでもないだろう。
運転経験が無かろうと、人の運転する車に乗ったことがあれば、気が付いたら寝てしまう事も多いのではないだろうか。車にただ乗っているだけでもその程度には疲れがちな物なのだ。運転している人間の苦労は推して図るべきなのだ。
例え高速道路を降りたとしても、そこも安全かどうかなどもわからないし、そもそもそこで休憩場所があるかもわからないのでは意味がない。ならばどこであっても変わらないだろう。
現在トラックによっての運送というのは、高速道路をどこにも止まらず、トイレも食事も睡眠さえも我慢して行う決死のデスマーチで切り抜けるか、氾濫がおこる以前までほとんど人が寄り付きもしなかったような無人のパーキングエリアを探して、見つけられたらそこで休憩を取るかしかないのだ。
しかしだからといって氾濫で使えなくなった場所だけを使わずにいればいいという訳でもなく、近くを通るときに、そのサービスエリアから氾濫で出てきた魔物が襲ってくる可能性もあり、ドライバーは常に命の危機にある。
まずはそこを何とかし、国内の流通を立て直そうという話なのだ。
そこまでを説明すると、雨宮が咳ばらいを行い、大きな声で宣言した。
「そういう訳で、地方都市奪還作戦、その前哨戦ともいえるだろう、この【高速道路解放戦線】を敷くことを宣言したい!」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は2月1日午前0時予定です。
次回はステータス開示の閑話回になります!
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