第百三十一話 飛行機
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
学校から声援を受けた翌日。
とうとう今日、地方都市奪還作戦の正式発令の直前段階であり、作戦発令に際する説明を行う大会議の開催日であり、会議に参加するために大阪に旅立つ日である。
この日の為に準備はすでに済ませた。秋彦は改めてドレスアップリングから装備を取り出し身に着けてみる。
始めこそコスプレ感がひどく街で着るにはひどく抵抗を覚えるものだったが、今ではすっかり自分の戦闘服であり、自分の正装といっても過言ではない。
そして自分のステータスを見てみる。
装備もスキルも揃えられるだけ揃えたと言っていいだろう。
レベルもスキルも上げられるだけ上げたと言っていいだろう。必要になるであろう物は新たに習得した。特に投擲術は、秋彦が、新たにクリエイト・ウェポンという魔法を会得したことで、使い捨ての武器をその場で作れるようになった事から新たに入手したスキルだ。
現状これ以上の用意は出来ない。本当にそう思えるような満足のいくステータスだと思う。
満足したので、通常の服に戻る。流石に武器防具をむき出しにして外には出れない。
道具も泊り用の道具もすべてマジックバッグの中なので旅行という感じは毛ほどもないが、今日は空港に行き、大阪に行くことになっているのだ。
「よし、龍ちゃん。行くぞ!」
『はーい! 行きまーす!』
準備自体は事前に済ませてある。秋彦と龍之介は早々に家を出た。
向かう先は勿論優太の家だ。優太もコロナも待っているはずだ。距離が近い上に今はマスコミに追いかけられているわけでもないので歩いていく。
いつも通り歩いていくと、やはり待っていた。優太と小さくなっているコロナだ。
「あ、来たね秋彦」
『秋彦おじちゃん、龍ちゃん、おはようございますなのです』
『おはよー、コロナちゃん!』
「ああ、おはよう二人とも」
優太も自分用のマジックバッグをもって、準備万端だ。手ぶらでもその実旅行鞄よりも圧倒的な量の物を持ち歩いているのだからやはりマジックバッグは便利だ。
「じゃあ行くか。時間的にはまだ余裕あるけど、先に羽田空港に送るからな」
「あ、お願いしまーす」
『ありがとうなのです!』
「龍ちゃん、パパはお姉さんたち迎えに行ってるから、優太おじちゃんと一緒にいい子しててくれ」
『はーい! 龍ちゃんいい子だからおじちゃんといい子にしてるね!』
羽田空港には、両親がアメリカに行くときに見送りに行ったのでテレポテーションで飛んでいくことが出来るので優太とコロナ、そして龍之介には先に行ってもらう事にした。
「じゃあ、行っててくれ。はぁ!」
優太とコロナは一瞬でその場からいなくなった。勿論テレポテーションの結果である。
秋彦は、アキーズブートキャンプと呼ばれる初心者支援を行うに当たってずっと補助魔法を使い続けた結果、魔法能力もそれなりに鍛えられたのだ。結果、魔力制御や魔法効率化などのスキルも大幅レベルアップし、特に高速詠唱はレベルが最大の5まで行き、ついに魔法の一節も言わずとも、魔法を使えるようになったのだ。掛け声の一つで済むのでほぼ無詠唱の領域だ。
そして魔法効率化のレベルが一定数上がったことにより、今までは単体にしか補助魔法を付与できなかったのが、味方全体に一度で魔法を付与できるようになったのだ。これは素直に大きい所である。もっとも限度はあるし、大量に付与するならそれなりに溜めも必要になるのだが、今までとは違う戦法も取れるようになったのだ。
自分の成長をしみじみと感じつつ、秋彦は全員を迎えに行く。
………………………………
はれて空港に全員集合した。それぞれ荷物と従魔を連れ立って到着である。
まだ待ち合わせ場所に人は来ていないかと思いきや、搭乗時間までまだ時間があるのに雨宮がいた。
「雨宮さん! もういらっしゃってたんですか?」
「君たちこそもう来たのかい?! 僕は案内とか、他にもやることが結構あってね、ちょっと早めに来ていたんだけど……」
「僕らはほら、テレポテーションとかあったんで」
「ああ、成程ね……」
その後、秋彦達は空港を観光することにした。東京の圏内であっても空港なんてなかなか来るところではないので、東京土産や、空港内部を見て回ることで少し時間を潰す。
そうしてしばらく空港内をうろうろしていると様々な空港の注意書きなどが目につく。
当たり前だが、ダンジョン産のアイテムがあちこちに台頭するようになってから空港側もいろいろルールが変わったりしているようだ。
例えばマジックバッグは機内に持ち込み禁止。あれだけ大量に物が入るものだ。なんでも入れられることから危険物の持ち込みの可能性もあるし、X線などで見てみても中身が一部しか見えないため、何を持ち込まれるか分かったものではない為だそうだ。なのでマジックバッグは普通の旅行鞄と同等の貨物室に入れられる様だ。
正直どれも同じようなものな上に小さいから荷物の受け渡しが非常に心配なところではあるのだが、そこは我慢するしかないだろう。
当然、武器や防具をもって搭乗するのはあり得ないので、ドレスアップリングも一旦取り上げられるらしい。ここもリングが混ざらないかどうかが心配ではある。
また、従魔については専用のケージに入れた状態でなら、機内へ持ち込みが出来るらしい。理由として、従魔は今のところ確認されている物は、すべて体長調整スキルがあるおかげで最小ハエ一匹分にまで縮小することが出来る上に、ほとんどの従魔は人間の言う事を聞くどころか、念話にて意思表示が出来るのだ。
元から飛行機の機内には金魚や昆虫などの小さい動物は、条件を満たせば機内へ持ち込みで来ていたので、ここまでできるなら問題ないだろうという判断の元、専用ケージに入れれば問題ないらしい。
とりあえず従魔と離れ離れにならないで済むことにとりあえずレインボーウィザーズは全員安堵した。
というよりマジックバッグもドレスアップリングも取り上げられ、この上で従魔まで取り上げようというならそろそろ不満が大きくなりすぎるところだった。
いくらハイジャックなどの事件が心配といっても探索者がいる時点で、やろうと思えば一般人相手であれば素手でだってどうにでもなるのだが。
そこら辺の現実に、まだ航空会社などが対応しきれていないのだろう。ここも、今後の対応の改定が待たれるところか。
そうこうしている間に時間が迫り、他のシルバーランク探索者が集まってきた。
ダンジョンポリスでもある矢場率いる万鬼抹消、メーツー編集部等、よく見知った第一陣メンバーに、多くが顔なじみではない探索者第二陣の面々がそろい踏みだ。
全員の到着を確認し、手続きを手早く済ませて飛行機に乗り込む。
飛行機に乗って約一時間半の旅路だ。不安と緊張、そしていくばくかの興奮を胸に、飛行機は飛び立った。
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