第百二十七話 装備の受け取り(装飾品)後編と日本探索者ギルド連盟会議
累計PV数192万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「よう、お待たせー」
「って、あれ? まだやってるみたいだね」
秋彦達が装飾品を装備し、下の階へ戻るとどうやらジュディ達はまだ髪をカットしている最中の様だ。
まあ女性であるジュディ達はいろいろあるのだろう。そこら辺は男性の秋彦達にはあずかり知らないところである。
二人は暇になってしまったので少し雑談で暇をつぶしておくことにした。
……SNSで自分達がビューティーサーチャーで装飾品を買い、髪を切っていたことがすでに拡散されているようだが、もう気にしない。
………………………………
「お待たせー、ってあれ? 秋彦どうしたのそれ?」
「それ……私が買った物じゃないわよね?」
「……お洒落?」
「あー、これは、うん。なんとなく気に入ったんだ」
「僕は結構似合ってると思うよ、それ」
女性陣も全員終わって合流すると、秋彦の髪についてふれてきた。あの後結局ウィッグは買ったのだ。尻尾の様な髪のウィッグは、秋彦にとっては自分で初めて意識したお洒落かもしれない。
ともあれ、これでようやく、今度こそすべての装備品の取得を終えた。
地方都市奪還作戦はいつ発令されてもおかしくない。今の時点で無事に装備を整えられたのは重畳だろう。
「さて、こっからどうしよっか。とりあえず俺らの装備集めの旅はこれで終わりだろ?」
「ええ、そうね。じゃあどうしようかしら?」
「とりあえず近くのご飯屋にでも……?!」
この後の事を話そうとしたら、突如スマホが大きな音をたてた。音というよりは音楽というべきか、だが聞き慣れない音楽だ。しかも秋彦達だけじゃない。その場にいる人の大半のスマホがほぼ同時になったのだ。
そして、先にスマホを見た人々が騒ぎ出す。
「うわー! 来た、とうとう来た!!」
「やべー! テレビ今どうなってる!?」
「ちょっとどいてよ!今大変なことになってんのよドラマなんていつでも見れるでしょ?!」
すっかり混乱し気味だが、その間にスマホを見てみる。
音を出していたアプリは探索者のためのアプリである【電脳ギルド】からの様だ。これはダンジョンの情報などをまとめ、探索者のレベルや、装備に合わせておすすめのダンジョンを紹介したりするアプリだ。
そしてそれがなったのは、どうやらこのニュースを伝えるための様だ。
≪地方都市奪還作戦本格始動並びに探索者の緊急招集のお知らせ≫
こんなニュースが突然現れたのだ。そりゃどこもかしこも大騒ぎだろう。
カット待ちの人々はサーチャービューティーにおいてあるテレビに張り付いている。下手したらカット途中の人々までやってきかねない勢いだ。秋彦も、持ち前の長身をもってのぞき込む。
テレビに映っているのは雨宮だ。Liveの文字がある通り生中継らしい。
雨宮はマスコミの撮影のカメラの前に立って堂々とカメラのフラッシュを受けながら話をしている。
「はい、今回の奪還作戦、決行するには今しかないと判断しました」
「なぜこの時期に奪還作戦を決行することになったのでしょうか?!」
「以前からもお話ししている通り、氾濫が一時的に収まっている状況と、聖域チョークの集まり具合を加味した結果です。勿論それだけが理由ではありません」
「ほかにどういった理由があるのでしょうか?!」
「そこは別にお話しする機会を設けます」
「それはいつなんですか?!」
大声で質問する記者に雨宮はいつものように笑顔で、それでいて淡々と答えている。
何というかマスコミの声が大きいせいか、まるで雨宮に食って掛かっているかのような印象さえ受ける。緊張と興奮のあまり語気が強くなっているだけなのだろうが、ちょっと腹立たしい。
「今回の奪還作戦の前に【日本探索者ギルド連盟会議】を開催する予定でして」
雨宮の一言に生放送をしている会場がざわつき、どよめいている。そして中継を見ているサーチャービューティーにいる人たちもざわついた。
「そ、その、日本探索者ギルド連盟会議とは何でしょう?!」
「簡単なことです。今回の奪還作戦に募ってくれた有志の探索者達を一堂に会しての会議。それをギルドが音頭を取って行おうという話です。その会議の中で今回の作戦の概要説明、それに伴う今後の我々の動きなどを説明いたします」
会場に歓声が沸いた。勿論中継を見ているすべての人々もこれには驚き、興奮したことだろう。
「なお、これはギルドランクのシルバーランクは、どうしても無理な場合を除いて強制参加、アイアンランク以下は前線以外での手伝いではありますが、有志を募りたいと思います」
「で、では、説明の機会というのはそこでなのでしょうか?!」
「勿論です。この話は作戦に参加するすべての探索者が知り、納得して行う必要があるという熟考の末の結論となっております。各地のギルドマスターは今頃それぞれ報道陣に呼び掛けてもいるはずです。今回のこの会議は日本全土のギルドの総意と思っていただきたい」
再びどよめく会場とサーチャービューティー。日本全土のギルドの総意とは強く出たものだ。もっとも、今までずっとその調整やらを行っていたことを考えれば、むしろ当然のようにも思えるが。
「会議の開始は一週間後、大阪にて執り行う予定です。送迎の手配も済んでいます。急な話だとは思いますが、今回参加していただく探索者の方々、またはマスコミの方々には予定をあけておいていただきたく思います」
雨宮が深々と頭を下げると写真のフラッシュが一層多く炊かれると同時に大きな拍手が巻き起こった。
そしてそこまで見ていたサーチャービューティーにいる人々もより一層興奮を抑えられず騒ぎだす。
「おおおおっしゃああああ! ついに来たああああ!」
「やばい! 武器とか防具とかどうなってたっけ?!」
「ゆ、有給申請しないと……道具の調達とかも……!」
「店員さん! 会議の為にもばっちり綺麗にお願いします!」
大騒ぎである。
店はすっかり蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。しかしそれは、外でも同じである。
あちこちでワーワーいう声が聞こえる。ただでさえ騒がしい街なのにさらにうるさくなったともいえる。
「すげーことになってんな」
「そりゃそうでしょうね。ついにやってきたこの瞬間。ダンジョンに辛酸をなめさせられてき続けてきた人間の反撃なんだから」
「そーそー、あたしなんてこっからが憂鬱なくらいだよ」
「え? どういうこったそりゃ」
「それは……ああ、来たぞこれ……」
説明が入る前に桃子のスマホが鳴り出した。
「もしもしPさん? うん、ニュース見た……特番? やっぱり? ……レインボーウィザーズは大丈夫、準備完了だよ……え? ビューティフルドリーマーの探索者業界本格参戦の電撃発表?! そっちもやるの!? ……わかった。すぐ向かう」
どうやら仕事の話だったらしい。雨宮からの話を受けて桃子がメインパーソナリティーを務める番組、ダンジョンチャレンジャーでも緊急特番を行うことになったらしい。
「そういう訳で、あたしこれからテレビ局向かうから、秋彦送ってよ」
「はいよっと、前のスタジオでいいんだよな?」
「関係者口ね」
「わーってるよ」
こうして、地方都市奪還作戦の本格化を皮切りに、レインボーウィザーズは一旦解散し、残りの期間は各自での調整となった。
勝負の時は、目の前である。
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次の投稿は1月13日午前0時予定です。
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