第百二十六話 装備の受け取り(装飾品)中編
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「いらっしゃいませ、ようこそ探索者専用戦闘美容院 ビューティーサーチャーへ」
あらかじめ予約を入れていただけあって、外の行列を無視して中に入ることが出来た。外の列はあくまで飛び入りの客であって、予約している人たちは並ばずに入ることが出来るようだ。そういう物だが、まるでアトラクションのファストパスの様だ。
正直外で並んでいる人々には申し訳ないのだが、こちらはジュディが正規の予約を行っているので堂々と中に入る。
「レインボーウィザーズの皆様ですね。お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
チャラそうに見えるお兄さんに案内されて、ジュディ達とは一旦分かれる。どうやら階層によってメンズとレディースが分かれているらしい。秋彦と優太は二階へやってきた。
その場にいたスタッフに案内され、髪をカットするための椅子に座って、カットした髪が服に入らない様につける髪除けを付けた。
「さて、お客様は戦闘美容院についてはご存じでしょうか?」
「あ、いえ、こういうのはさっぱりです」
「わかりました。ではご説明させていただきます。この美容院では髪のカットを始めとし、髪の装飾、タトゥーシールによる装飾などのお客様の総合的なコーディネートを行います」
装飾品とは、何も指輪、腕輪、首輪などには留まらない。
髪飾り、イヤリングは勿論、ウィッグやタトゥシール、果てはネイルなんて物まで装飾品としてカウントされる。
そうなると、初心者ではうまく付けることが出来ない物や、どうやってつけるのかがわからないような物も結構あるのだ。
そこで最近になって、つけ方が分かりにくい物等に関して美容院等が、実際に装着を手伝い、また、美容院側が装飾品を用意し、買い上げるサービスが生まれたのだ。戦いの準備であり、美容や装飾の疎い探索者のそれを一手に引き受ける。それが、戦闘美容院である。
こういったサービスは名を変え様式を変え、大なり小なりあるが、今一番浸透している呼称が戦闘美容院らしく、ここら一帯ではそれで通っているらしい。
「そういうサービスもあるんですね……」
「はい、これも時代に合わせた新しいサービスの形となっております。では改めまして……お客様の髪型や髪色などを決めていきましょう」
そういうと、スタッフは何か紙を取り出して、自分がどのような髪形や髪色がいいかなどを聞いてきた。髪を切る前のヒアリングなのだろうか? 秋彦も優太もそこら辺には疎いので、とりあえず校則に触れるので髪染めは無し、髪形も長いと校則に触れるので短くしてほしいと要望を出しておいた。
………………………………
「はい、ではこのような形でいかがでしょうか?」
「おお~、かっこいいですな~」
まずは髪のカットが終わり、鏡で見せてもらうとただ髪を切ってもらっただけだというのに意外に様変わりしていた。
今まで特に何もいじらずに寝ぐせだけ直していたが、これなら少しは気を使うべきかとも思った。
秋彦はおでこがよく見えるタイプのウルフカット、優太は短めのエアリーヘアスタイルだ。どちらも元の印象がより強くなったようにも感じる。
「さて、次は本題の装飾品についてですね」
「おっと、待ってました!」
スタッフがそういうと装飾品の一式が並べてあるカートを持ってきた。基本は指輪とイヤリング等だが、ウィッグにタトゥシールもある。
秋彦達が見たことが無い様なものも多く、正直興味をそそられる。
「やっぱりいろいろありますね」
「ダンジョンで手に入った物だけでなく、最近はレシピ本から作られたものも取り揃えています。タトゥシールやウィッグは大半がダンジョン製、指輪などは作成物ですね」
「あー、そこら辺はやはりまだ人の手で作るのは難しいですか」
「そのようです」
スタッフはカートの中からジュディが購入した装飾品を取り出し、秋彦達の前に並べてくれた。
改めて今回ジュディが用意した物を見ていく。今回ジュディが用意したものは、指輪、タトゥシール、イヤリングの三種だ。ネックレスは秋彦が作成したドラゴンスケイルネックレスを使用することにした。
まず指輪。とてもシンプルな銀の指輪だ。何の装飾もないものだが、だからこそ手甲等をしていても邪魔になりにくいだろう。
【コンディションガードリング】
≪嵌めていると状態異常にかかりにくくなる指輪。他の状態異常軽減と併用することでさらに軽減率が上がる。魔法力+50 特殊効果:状態異常軽減≫
次にタトゥシールだ。赤い模様が書かれており、頬につけるものらしいが、不思議とみていると力が湧いてくる。
【蛮族のタトゥー】
≪つけると闘争本能を刺激し、力が溢れて来るタトゥシール。とは言っても理性的な行動に影響はない。体のどこにつけても効果は発揮されるが、別のタトゥシールを付けるとどちらも効果がなくなる。肉体力+200≫
最後にイヤリングだ。これは耳に穴をあけるピアスタイプではなく、耳に挟んでつけるタイプの代物だ。先には緑と赤のマーブル模様の玉がついている。
【リベリオンイヤリング】
≪付けた者に強靭な意志の力を与えるイヤリング。死ぬような一撃を受けても一度だけ耐えることが出来る。耐えたらイヤリングは砕け散る。肉体力+50 特殊効果:食いしばり(死につながる攻撃を一度だけ耐える)≫
こうして見るとガチ構成だ。攻撃力を上げるタトゥーに状態異常をさらに防ぎやすくする指輪に、食いしばりの効果を持つイヤリング。タトゥー以外は肉体力などの上昇率は低いがそれも納得の効果を持っている。
「流石ジュディさんだね。僕らの事をよく考えてくれているよ」
「全くだ、頭上がんねーよあれだけある中から……ん?」
秋彦がたくさんの装飾品が並ぶカートをちらっと見ると、たまたまそのうちの一つに目が行き、目を奪われた。何故だか知らないが妙に心惹かれるものがあった。
それはウィッグだ。長さからして尻尾髪を作るタイプの物だろう。
いつもならば何にも気にならないだろうが、妙に気になってしまい、思わず手に取ってしまった。
「あの、すみません。これは?」
「それですか? それは【直感のウィッグ】ですね」
「ほう」
気になったのでちょっと見てみることにした。
【直感のウィッグ】
≪つける者のカンを鋭くするウィッグ。染色しても使える。ちょっとしたアクセントにも優秀。特殊効果:直感強化(直感スキルのレベルを1上げる)≫
「……ふーん」
「……ご入用でしょうか?」
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次の投稿は1月10日午前0時予定です。
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