第百二十三話 装備の受け取り(鉱物) 中編
累計PV数185万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「じゃあ、すんません、今日はありがとうございましたっす!」
「あ、ありがとうございました……」
その後はコアラさん監修の元、ひたすらにヨウチューブにアップするための動画の撮影をし続けていた。今回はレインボーウィザーズが動画に来る上に、今後も仲良くできるとあって、流石に気合の入れようが違かったらしい。
なにせ最初の自己紹介以降、台本を渡され、その後はほぼすべてそれに従うだけだった。交渉の場面はあらかじめ購入金額は決まっていたが、丁々発止の交渉を演出したりもしていたし、工房の紹介の時は何度もリテイクを出してしまったりもした。受け取る商品を見せられた時は一発どりだったが、満足できる出来だったようだ。
もっとも、この程度はテレビ撮影の時もあったので。いい加減秋彦も優太も慣れたものだ。
聞けばコアラは、元プロテレビカメラマンで動画編集や監督に近いこともやっていたらしい。恐るべし。なぜ今こんなところにいるかなどは、聞かない方がいいだろう。
「では最後に、改めて装着をお願いします。最後に撮影場所で、写真を何枚か撮りたいので」
「あ、わかりました」
といってももうドレスアップリングの中に入れてあったので出すだけだ。すでにドレスアップリングにしまう動画は撮影済みだからだ。
さっそく中にしまっていた装備をドレスアップリングで装着する。
秋彦が受け取ったのは槍と小手に鉢がね、そして靴だ。なぜここで靴を受け取るのかというと、これは白鋼製の鉄板が仕込んであるうえに魔獣の皮で作られた靴で、ジュゲムとカインとアベル兄弟の合作だからだ。
一つずつ見ていこう。まずは白く、ちょっと凝ったデザインをした槍からだ。
【剛白槍】
≪白鋼とミスリルを使った強力な槍。白鋼の強力な槍にミスリルを使う事で魔法を込めた強力な一撃を放つことが出来るようになった。肉体力+2800魔法力+1000 特殊効果:魔力撃(魔力のこもった一撃を放つ、攻撃の威力に魔法力の一部が上乗せされる)≫
続いて黒い小手だ。今まで使っていた武人の小手よりもごつくなく、すっきりしたデザインだ。
【武王の小手】
≪武を貴ぶ王が身に着けていた小手。素手での戦いにも向いているが、武器を握ると武器の扱いがさらにうまくなる。肉体力+1500魔法力+500 特殊効果:戦術強化(自らが所持しているすべての戦術スキルのレベルが一つ上がる)≫
そして鉢がね。鉢巻の様な赤い布につけられており、見ているとなぜか戦いたくなってくる。
【闘志の鉢がね】
≪赤い布に着けられた鉢がね。つけるものの闘争心を刺激し、闘志を燃やさせ土壇場での攻撃能力が上昇する。肉体力+1000魔法力+1300 特殊効果:逆境(窮地を悟ると奮い立ち、攻撃力が大幅に上昇する)≫
最後は獣の皮で出来た靴だ。履き心地も良好でつま先部分が硬くなっており、鉄板が仕込まれていることがわかる。
【餓狼の靴】
≪餓狼の異名を持つ狼の毛皮から作られた靴。狼のごとき瞬発力を得ることが出来る。また靴には鉄板が仕込まれており、防御面でも安心できる代物となっている。肉体力+1200魔法力+800≫
これで秋彦の装備は完成だ。武器に小手と鉢がねに靴、すべて揃った。後はアクセサリーしか付けられない。
だがこの三つだけでも肉体力は6,500、魔法力は2,800の上昇だ。これまで受け取ったり持っていた物をすべて総合すると肉体力は14,100の上昇、魔法力は8,500の上昇だ。これを自分本来の肉体力と魔法力にプラスし、補正を加えたものが自身の戦闘力になる。
いったい今の自分はどれほどの戦闘力を有しているのか。気になったのでダンジョンウォッチで久々にチェックする。
名前:南雲 秋彦
レベル23→28
【装備】
武器:剛白槍(肉体力+2800、魔法力+1000)
頭:闘志の鉢がね(肉体力+1000、魔法力+1300)
体:フィールドキメラアーマー(肉体力+6800、魔法力+4100)
腕:武王の小手(肉体力+1500、魔法力+500)
腰:スタミナスウェットパンツ(肉体力+800、魔法力+1600)
足:餓狼の靴(肉体力+1200魔法力+800)
【装飾品】
無し
肉体力(前回):600+450(装備分)=1050
↓
肉体力(今回):3,400+14,100(装備分)=17,500
魔法力(前回):370+80(装備分)=450
↓
魔法力(今回):1,200+8500(装備分)=9,700
戦闘力(前回):2200+800(装備分)=3000
↓
戦闘力(今回):5,750+28,250(装備分)=34,000
驚異的な上がり幅だ、圧巻と言えるだろう。
レベルが25を越した際にステータスの上がりがよくなったのもそうだが装備のレベルが格段に上がったのがすさまじい。秋彦の場合ユニーク装備があるのも大きいのはもちろんなのだが、これならそうそう後れを取ることはないだろう。
「すっげぇことになってんな……」
「素敵よアッキー」
自らの戦闘力の上がりに驚いていると、ジュディが声を掛けて来る。
続いてジュディの装備だ。こちらは鎧に兜、剣に盾、ガントレットに靴とこちらも大量だ。こちらも一つづつ見ていこう。
まずは剣だ。塚の部分が翼の様になっている装飾が施されており、刀身にも模様が入っている。
【ウイングミスリルソード】
≪ミスリルを使った強力な剣。持ち主の魔法力に反応し、刀身の輝きを変える。羽の装飾が見目麗しいだけでなく、頑丈さに合わないほどに軽くて素早く振れる。肉体力+2000魔法力+1800 特殊効果:魔力撃(魔力のこもった一撃を放つ、攻撃の威力に魔法力の一部が上乗せされる)≫
続いて盾だ。こちらは盾全体が翼を開いた鳥の様な形をしている。見た目重視の実用性が薄い盾の様に見えるが、込められた魔力がそれを否定してくる。
【ウイングミスリルシールド】
≪ミスリルを使った強力な盾。持ち主の魔法力に反応し、輝きを増し、所有者を守る。頑丈さは折り紙付きで、所有者が魔法力を盾に送ることで強固な結界を張ることが出来る。肉体力+1900魔法力+1900 特殊効果:魔防壁(魔力による防御結界を張る。範囲を狭めるほど強固になり、防御力を下げるほどに防護範囲が広がる)≫
次は兜だ。兜と表現した物の、これはどちらかというとティアラの様に見える。
細かい細工や宝石で装飾されており、全体的に光り輝いている物の、込められた魔力が自らが防具であることを主張している。
【レディティアラ】
≪淑女のための美しきティアラ。パーティーで付ければ視線を独占出来ること間違いなしの一品。防御力は見込めなさそうに見えて、魔法力によって防御能力もしっかりあり、戦場におけるドレスアップにもおすすめの代物。肉体力+1300魔法力+1000)≫
そして次は鎧だ。しかし鎧と言っても肩当はないし、顎当と胸当の間からは肌が出ており、胸も上からのぞけば見えてしまいそうだ。あるのは顎当と胸当、腰当に草摺といったところか。
こういうとだいぶいかがわしい格好のように思えるが、実際はお姫様の格好をした人が剣をもって戦う女子向けアニメで見る様な姿であり、いわゆる姫騎士などと呼ばれる人だ。
露出が多い鎧でありながらも決して隙や下品さを感じさせない。
【レディナイトアーマー】
≪戦う乙女や淑女のための鎧。ドレスの上に着る鎧であり、これを来たままダンスパーティーに出られそうな気品を醸し出しつつも、魔法力が本来の目的である戦闘による防御にも心強くサポートする。肉体力+2400魔法力+1500)≫
最後に靴だ。靴といっても流石にあまり極端に角度はついていないがハイヒールのような物で、正直これでは動きにくいのではないのかと思わざるを得ない。だがこれも例によって魔法力でばっちりなのだろう。本当にどういう仕組みなのやら。
【マジックハイヒール】
≪魔獣の皮を丹念になめして作られた革のハイヒール。動きにくく見えても戦いや運動時においては運動靴並の快適さを誇る。蹴りによる攻撃にも使える頑丈さを持ち、使えば使うほど味の出る逸品。肉体力+1000魔法力+1000)≫
これでジュディの持つべき装備もすべてとなる。
もうぱっと見、ファンタジー漫画やゲームに出て来る戦うお姫様そのものだ。着るジュディがモデル並みの容姿をしていることからそれがさらに際立つ。茶がかかっているが、天然物の金髪紺眼の持ち主で、自己主張の強い胸とすらりとした肢体を持つ美女なのだ。正直映えない訳がないのだ。
「おう、ありがとう。ジュディも綺麗だぜ」
「うふふ、ありがとう」
「……二人ともいちゃついてないの」
声を掛けたジュディにそう返すと、嬉しそうにはにかんだ。が、茜が割り込んでくる。
そして品としてもこれが最後になるのは茜の弓道用の胸当だ。
これもアギト謹製の品であり、魔獣の革による代物だ。やはり魔獣の皮で出来た代物らしい、かなりの力を感じられる。
【和弓乙女ノ胸当】
≪和弓を嗜む大和撫子の為に作られた一品。風を纏う魔獣の皮を丁寧になめして作られた胸当。弓を持つものに力を与え、矢の命中精度及び矢の威力が上昇する。肉体力+2200魔法力+1600 特殊効果:魔狙撃(魔力のこもった矢を放つ、攻撃の威力に魔法力の一部が上乗せされる)≫
「な、い、いちゃついてねーよ!」
「……写真撮影が始まるから早くいく」
「あ! ちょっと待て茜! 話し終わってねーっての! おい聞いてんのか! おい!」
「……そんなに力いっぱい否定しなくたっていいじゃない……」
いうだけ言ってさっさと撮影場所に行く茜を慌てて追いかける秋彦。
そのさらに後ろにいるジュディはぽつりと口を尖らせたが、それを見る人も、聞く人も周りにはいなかった。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は1月1日午前0時予定です。
よろしくお願いします!