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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
地方都市奪還作戦 準備編
122/385

第百二十話 装備の受け取り(布) 後編

累計PV数183万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

 試着室を出ると、すでに優太は外に出ており、湯川さんと話をしていた。


「石動様の属性は三つあるとお伺いしまして、今回のコーディネートではそれぞれ三属性の物を使用しております。着心地を考慮しまして、風属性の布を肌着にさせていただきました。風が一番肌着としての付け心地がいいのです。炎もいいのですが、今後の時期は暑くなってしまいますので」

「そうですか、成程……だから赤いマントや上着が一番上に来るようになってるんですね」

「その通りです。でもそれでもこの時期に着るには少々暑いので、ズボンだけは水属性の物を使用して、温度調節も効かせられるようになっております。色合いが単色になりすぎるとそれはそれで見た目がよろしくありませんしね」

「ああ、マントをリバーシブルにしなかったのはそういう訳があったんですね……」

「それだけではありません。そのフード付きのマントは炎魔法の強化効果がありまして、それのレシピ本が運良く手に入りまして。これはぜひ石動様にと思いまして。社長も張り切ってデザインをしておりましたよ」

「え、レシピ本を頼りに作ったものじゃないんですか?」

「勿論レシピ本を頼りに作成しておりますよ。ですが、服などは特に顕著なのですが、紋様や刺繍などは好きに入れていい個所がありまして、そこのデザインを社長自らがやっているのです」

「そうなんですね……あ、秋彦、って、カッコいい!」

「おう、親友もいかすじゃねーか、イケメンっぷりに磨きがかかってるぜ!」


 そのうち優太が秋彦に気付いて、秋彦の格好を見て目を輝かせた。

 秋彦も優太の服をよく見てみて、その完成度の高さに驚き、称賛する。

 パッと見た時に目につくのはフード付きのマントだ。赤黒いマントに不思議な紋様が光っており、とてもきれいだ。

 マントの下はジャケパンスタイルとなっており、鮮やかな赤いジャケットと、白いシャツに青いパンツを着こなしている。

 本人の顔立ちも相まって素晴らしくいけている。マントを取れば、普段のファッションとしても行けそうだ。


「おお、南雲様、よくお似合いですよ」

「ああ、ありがとうございます。でもデザイン自体はシンプルでしたね。俺好みですけど」

「南雲様は鎧を着ることが前提となっておりますので鎧のデザインを阻害しないよう、下に着る服としてシンプルに仕上げました。しかしその分、マントには力を入れましたよ」

「そういえばこれ、リバーシブルになってましたね」

「それだけではありません、お召しになられているとあまりよくわからないでしょう。マントを肩まで羽織った状態で鏡の前へどうぞ」


 よくわからないが言われるがままにマントを深く羽織って鏡の前に立つ。

 すると着る前までは赤と青のリバーシブルで無地のマントだったはずなのに、着る前にはなかった模様、紋様というべきものが浮かび上がっていた。

 そして背中には紋章の様な絵も描かれていた。盾の枠組みの中に、右側に縦一本の槍とその左隣にドラゴンが描かれていた。


「あ、あれ?! さ、さっきまでこんなの……」

「これは着ている人の魔法力に反応して所持者が自然に放出している魔法力を吸収し、浮かび上がってくるのです。これが浮かび上がっている間はマントの特殊効果などは発動するようになっています。この紋様や背中の紋章のデザインも社長が行っているんですよ」

「……これも、レシピに?」

「はい、と言っても、ここには好きに刺繍などを入れてもいいとしか書いていませんでしたので、魔法素材の特殊な糸で刺繍したのですが」


 そんなこともできるのか。これは面白い。

 とりあえずそろそろ女子陣の着替えも終わっているはずなので、先ほどの待合室に戻る。ノックして着替え終わっているかを確認する。


「社長、石動様と南雲様の着替えが完了いたしました。こちらにいらっしゃっています」

「わかったわ。こっちも終わっているわ。お通しして」


 GOサインがもらえたので中に入る。

 すると着替え終わっていた三人が出迎えてくれた。


「二人ともずいぶん遅かったわね?」

「全く、待ちくたびれちゃったよ!」

「……遅い」

「お、おう……悪かったな……」


 文句を言う三人だったが、秋彦と優太は思わず見とれてしまった。

 茜は弓道袴に弓道着という完全に弓道スタイルだ。色気も何もないが、本人が凛としていて、とても似合っているし、ワンポイント桜があしらわれていたりと、決してオシャレを捨てている訳では無い様だ。

 桃子はもうあからさまにアイドル的な格好だ。ピンクのスカートにピンクのベスト。可愛らしい帽子も頭に乗せ、胸には大きなリボンをつけている。背中に引っ掛けているマントが無ければ、もうこのままドームに言って歌えそうな格好だ。何というか非常に女の子らしいかわいい格好だ。

 最後にジュディだが……一言でいうと、ドレスだ。薄い黄色を基調としており、肩が大きく露出し、そのせいか胸も露出し気味だ。正直目のやり場に困る。

 下はロングスカートより少し短い感じで、ふわっとしている浮いているような感じがする。これなら活発に動くことも問題ないか。あまり長すぎると動きに支障が出る。


「皆綺麗だねー、見とれちゃったよ!」

「えへへ、ありがとう優」

「……優もカッコいい」

「そ、そうかな、ありがとう」

「ど、どうかしら、似合う?」

「お、おう……パッと言葉が出てこない位に綺麗で驚いた」

「あ、ありがとう……アッキーも素敵よ?」

「うーん、いいわねー青春してるわねー! でも時間おしてるからそろそろいいかしら?」


 全員で互いを褒め合ってまごまごしていたら突如峯田社長が割り込んできて、全員一気に我に返った。

 この後もいろいろ回るのだからここであまり時間を取られすぎるのも良くない。

 というか現在株式会社カッソロは日々仕事に大忙しなのだ。日本最大手の魔法の布による服作りの会社がわざわざ時間を取ってくれているのに、変に無駄にするのは良くない。

 本当はこんなところにいるべきではない峯田社長、不本意ながら巻きに来たらしい。


「うんうん、どれもこれもみんな素敵よ! 特に優ちゃんにモモちゃんは完璧。二人は防具は盾以外は布製品で固まっているからね! 今回用意した装備、特に下着とかは言ってくれればまた作るからね。一応肌着と下着は五着、上着は3着用意したわ。マントとかは流石に一着だけどね」

「十分ですわ。ありがとうございますわ社長」

「ええ、このくらいはお安い御用よ。今後ともごひいきに」

「「「「「はい、ありがとうございます!」」」」」

「じゃあ、最後に写真撮りましょ! これ、事務所にでかでかと飾っちゃうんだから!」


………………………………


 そうして最後に貰った服を着ての撮影会を少しした後、レインボーウィザーズは次の目的地に向かっていった。

 峯田社長は車が見えなくなるまで手を振っていたが、見えなくなったとたんにダッシュで事務所に戻り、社長室で本来の業務を再開する。


「あーヤダもう。結構時間かかっちゃったわ。遅れを取り戻さないと」

「ええ、しかし彼らと交流することは我が社の利益になります。それに社長だって、彼らと会うのを楽しみにしていたじゃないですか」

「それはそれ、これはこれよ」


 秘書もだいぶ気を揉んでいたようだが、戻ってきた事で安心したらしい。

 そして社長は改めてパソコンとにらめっこを開始する。送られてきたメールの確認だ。日本語のものも多いが、英語の物もかなりある。

 それを見て、舌なめずりせんばかりに嬉しそうに見る。


「いい? くどい様だけど、この1年か2年かが勝負よ。わが社はあそこで猛ちゃんに協力して今がある。探索者用布装備制作の最大手という大きな位置にいる今があるわ。ここで満足するのは簡単よ。でも私たちはそれじゃダメ。もっと上に行けるのに、目指さないなんてありえないわ」

「全く持ってその通りですな。現在社員の士気も高い。みんな一様に新しい魔法の布素材の加工に参加すべく、探索者としてレベルを上げ、裁縫スキルを習得している。裁縫スキルの習得によって給料大幅アップの確約が大きかったですね」

「これをもっているか持っていないかで後が決まるわ。非正規雇用だって正社員採用するし、お給料だってドーンと上げるわよ! 後は引き抜かれない様に気を付けないとね。とにかく、日本最大手の称号は手に入れたわ。世界に打って出る日も近いわ、気を引き締めてついてきなさい!」

「お供いたします、社長」


 峯田社長、強かかつ貪欲な女性社長。彼女の野望は始まったばかりである。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は12月25日午前0時予定です。

よろしくお願いします!

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