第百十九話 装備の受け取り(布) 中編
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
試着室へ入り、先ほど説明を受けた物を改めて見ていく。
まずは肌着から。肌着は当然パンツとサラシだ。一見ただの布だが、そこは魔法の布を扱う会社謹製の品だ。魔力感知がただの肌着であることを否定する。
【戦士のサラシ】
≪戦う男の最後の砦となるサラシ、腹部をがっちり守る。これが壊れたら装備的にも見た目的にも丸裸になること必至! 妖精布製で、通気性などの着け心地も抜群! 肉体力+100魔法力+200≫
【戦士のパンツ】
≪戦う男の最後の砦となるパンツ、股間をしっかり守る。これが壊れたら装備的にも見た目的にも丸裸になること必至! 妖精布製で、通気性などの着け心地も抜群! ブリーフ、ボクサーブリーフ、トランクスの3タイプがある。 肉体力+100魔法力+200≫
説明も受けたが、改めて見てみると驚きの肉体力の向上ぶりだ。何せ肌着の時点で既に入門ダンジョンで手に入る防具を軽く凌駕している。
これの上にさらに強い下着と上着、さらにそれより上に鎧とマント、あるいはローブといった感じで着込んでいくのだから、更なる向上幅に期待がかかるというものだ。
現在、装飾品以外の着こむタイプの服タイプの防具は、肌につける肌着、肌着の上に着る下着、その上に着る上着が、それぞれ上半身と下半身の二種類。計六つまでが服というタイプの防具として肉体力と魔法力、つまりの戦闘力に上乗せできる形となる。
なお、鎧などの上につけるマントは、布で出来ているにもかかわらず、鎧などのカテゴリに入る。つまり、ローブなどと同じく鎧の下に着る服の防具とはまた別のカテゴリになるらしい。
服を着れば着るだけ強くなるなら、服を大量に重ね着をすればいいという発想に至った人もいるようだが、やはりそう上手くはいかないらしい。
女性には上半身につける肌着としてブラジャーがあるが、昨今メンズ用の代物があるとはいえ男性にブラジャーを付けさせるというのは酷という物だろう。
いくら見えない場所で、しかも肉体力等に影響が及ぶとはいえ、正直それを付けているのがばれたら尊厳が傷つく。
しかし、男性の上半身につける肌着を付けないでいて、上げられる肉体力を上げないというのももったいない。
それに対して男性が上半身につける肌着として注目されているのがサラシだ。
サラシは最近ではコスプレで女性が胸に巻くケースもあるが、基本的には男性が腹部に巻く肌着であり、任侠映画や、祭の法被姿から目にする機会がある程度の物だろう。
しかし元はと言えば、身体のほかの部分と比べて骨も強靭な筋肉もない腹部を守るものだ。
任侠物でよく目にするやくざ出入り(決闘)のときに腹部を刺されたり切られたりするシーンがあるが、実際に腹部が傷つくと、すぐには何ともないが、放っておくと損傷した腸管の中身(消化物)が漏出し、細菌が腹部全体に散らばり、腹膜炎を起こして苦しんで死に至ることになる。漫画では腹が刺されたりすることなどはよくあるが、実際に起こると恐ろしいことになるのだ。
故に任侠映画では、腹部を守るためにさらしを巻き、特にやくざ出入りの前には念入りに巻き、仲間がプーッと酒や水を吹きかけて濡らして、より強靭にしているシーンがある。
昨今は日常でほとんど使われなくなっていた肌着であるはずのものだが、まさか今になってこんなに注目を浴びることになるとは思われなかっただろう。
サラシはがっちりまくことが要求され、一人での着用は難しいとされているが、探索者の腕力なら一人でも着用も簡単だ。
まずはパンツとサラシを付けてみる。
つけてみての感想は、意外と安心感が出る。布を巻いただけだというのに、気持ちが引き締まる。
次に肌着の上から着る下着だ。
【ダークインナー】
≪闇の霊布を以って作られた薄手のインナー、大いなる闇を身に纏うものは闇から受ける不利益を軽減する。 肉体力+200魔法力+400 特殊効果:ブラックタイツと同時着用時、闇属性状態異常付与確率減少≫
【ブラックタイツ】
≪闇の霊布を以って作られた薄手のタイツ、暗き力を躰に着けるものは暗がりに住まう物に迎えられる。 肉体力+200魔法力+400 特殊効果:ダークインナーと同時着用時、闇属性状態異常付与確率減少≫
こちらも下着以上の上がり幅だ。魔法力の上がり幅の方がいいのは、布製品の特徴なのだろうか。
改めてインナーとタイツを見る。
ダークインナーは要するにTシャツだ。見た目は真っ黒なTシャツだが、手にした際に感じる魔力が、ひんやりとした印象を抱かせる。
ブラックタイツもこれからの夏という季節にはつらい物がありそうだが、不思議とそういった印象は受けない。込められた魔法力が体温調節もするのだろうか。
しかし何より目を引くのは特殊効果の項目だろう。ダークインナーとブラックタイツは両方着ることで、闇の状態異常を受ける確率を減らせるらしい。
つまり暗闇、毒、睡眠、呪いの状態異常を使う敵に対して強気に出ることが出来るようになるらしい。勿論受けるときは受けるだろうが、いざという時に打てる手が増えるのは悪い事ではない。
インナーとタイツを両方着ると、それぞれの持つ魔法力が共鳴するかのように強くなりだした。そして、なんとなくだが今なら闇属性の状態異常魔法を受けてもある程度抵抗できる気がしてきた。
状態異常の脅威は以前に思い知った。今後も服や装飾品から状態異常に対する耐性を身に着けるケースは多いだろう。服はファッション性が分からなくても、これからは買いそろえるようにした方がいいだろう。
そして最後に上着だ。
【ヒールスウェットシャツ】
≪治癒力を持つ布で作られた白い服。着心地がサマースウェットのようであることから厳密には違うがスウェットの名を冠する。これを着ている者の自然治癒力が上昇し、ちょっとした擦り傷切り傷程度ならすぐに治る。 肉体力+500魔法力+1000 特殊効果:リジェネレーション(時間経過でけがの回復)≫
【スタミナスウェットパンツ】
≪持久力を持つ布で作られた白いズボン。着心地がサマースウェットのようであることから厳密には違うがスウェットの名を冠する。これを着ている者の持久力が上昇し、スタミナが向上する。 肉体力+500魔法力+1000特殊効果:フィジカルアップ(スタミナが向上し、激しい運動を長く行えるようになる)≫
最後にまた上がり幅が大きくなったものだ。以上の服6点で、合計を出すと、肉体力がプラス1600に魔法力がプラス3200されることになる。
しかも最後の上下スウェットは自然治癒力アップとスタミナアップの効果付き。これを着るだけで、入門どころか初級まで駆け上がれそうなほどに強力な装備だ。
尤も、素材がまだ出そろわない中で必死に工面したからか、値段も相当に張るらしい。今回は共有の資金から5人分すべて賄うが、今後も世話になるときがあるなら覚悟はした方がいいだろう。
それにどんなに相手と差があると言っても実際に戦えるかどうかは別問題だ。そう簡単な物でもない。
とにかく着てみると、ぱっと見普通のスウェット着ただけの人に見える。この上から鎧を着ればまた印象が変わるのだろうか。とりあえずマントは鎧を着てからなので、さらにフィールドキメラアーマーを着てからマントを見る。
【サバイバルマント】
≪酷暑、または極寒といった厳しい環境へ赴く人のためのマント。酷暑の場では照り付ける日差しから、極寒の地では熱が逃げないように守る。また、炎と氷による攻撃も軽減する 肉体力+1000魔法力+500特殊効果:体温調整(着ている人の最適温度となるように調整し、外気の過剰な暑さと寒さに強くなる)フレイム&アイスガード(炎と氷の攻撃から身を守る)≫
見た目は一方が赤で、もう一方が青をした、リバーシブルの様な構成のマントだが、これはかなりすごいマントなのではないだろうか。
これでフィールドキメラアーマーも入れれば、合計で肉体力はプラス7600になり、魔法力はプラス5700というすさまじい上がり方になる。さらにレベルアップで入れた自分本来の肉体力と魔法力を合わせれば、今ならそうそうめったにやられることはないという自信が出て来るというものだ。
とりあえず、このすさまじい上がりようを誰かに見てほしくて、そそくさと試着室から出た。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
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次の投稿は12月24日午前0時予定です。
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