第百十四話 友人たちの戦闘準備
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これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「よっし! またレベル上がった!」
「よしよし! こっちもだ! いや、すごいな。初級の第二階層で荒稼ぎって出来るところってなかなか無いからこんなにレベルアップが早い!」
本日何度目かのレベルアップにはしゃぐ友人チーム。
レベリングは適正レベルの所でやると時間がかかるものなので、さっさとレベルが上がっていくのはやはりうれしいものがあるようだ。
「いやー、本当にありがとうね。付き合ってもらって」
「いやいや、ちゃんと力量があるのも、根性あるとこも見たしさ、ボーナスステージみたいなもんだ」
そう、秋彦は見たのだ。この五人がちゃんと戦えるところを。
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「よしよし、てことでとりあえず到着だな」
「おいおいアッキー、ここ、オークが出て来る階層だろ? なんでここに来たんだ?」
「まあまあ、ちょっと確認したいこともあってさ」
秋彦は、最初にどこのダンジョンに行くのか、行き先を告げずにやってきていた。桃子には少し遅く来てもらうように裏で口裏合わせをしているから、今はまだ桃子はいない。
なぜここに来たというエミー達友人チームに、秋彦は問う。
「ところでさ、皆はオークを倒せるか?」
「え? オーク?」
「そう、オーク」
「……どうだろう、戦ったことはないけど、たぶん行けると思うんだ。ねぇ?」
真崎が友人チームを見ると、全員頷いた。
「レベル的にもそんなに厳しくはなさそうだし、話に聞くような特徴だったら、たぶん行けると思う」
「そうですね、危険かもしれませんが、恐らく行けると思います」
奏と言葉の女子組も行けそうだと判断している。オークの特徴や戦い方と自分達と照らし合わせられている。とりあえず、情報収集はそれなりにしているようだ。
なので秋彦は、こう告げる。
「そうか。ならちょいとオークと一戦交えて貰えないか?」
「え?」
「いや、普通に考えて、お前らがある程度ちゃんと戦える探索者かどうかってのはやっぱ確認しとかなきゃまずいしさ。それに、俺にお膳立てされたから地方都市奪還作戦に参加できましたで、お前らそれでいいのって話じゃんか。まずそれなりに戦えるところを見せてくれよ」
そういうと五人とも、少し納得したような顔をした。
もちろんパワーレベリング自体は悪い事ではないだろう。事実、そうやって初級を突破している人たちだっているのだ。
だが、それがあまりに急すぎると、そのレベル帯でしておかなければいけない経験がすっぽり抜け落ちることになる。また、格上の敵と戦う経験が減るのもあまりよくない傾向だろう。
秋彦達が言えたことではないかもしれないが、レベルが上、戦闘力が上というだけで簡単に諦めるようではいけない。
秋彦とて、フィールドキメラゴブリンやバルカン等、格上相手に戦いを挑んだことだってある。突然現れる自分達より強い存在なんて珍しい物でもないのだ。
「てことなんだけど、どうよ?」
「そういわれたらやらない訳にはいかないね」
真崎が不敵に、にやりと笑う。戦いたくて仕方ないといった様子だ。
「おう、その意気だ。それにまあ、あんまり無茶苦茶言ってるわけでもねーんだぜ? ジュディ達がここのダンジョンに初めて入った時が確か15辺りだったはずだからさ」
「成程。稼ぎには向かないけど、倒すだけならどうとでもなるって聞くし、こらいっちょやって見せんといかんね」
真崎に続いてエミーもやる気になったようだ。腕を回して肩をほぐしている。
「しょうがないなぁ、ま、見たいっていうなら見せてあげるよ私たちの強さをさぁ」
「祭まで……もう、前衛はすっかりやる気になってますね。いっしー、いつも通りに行きましょう」
「そーだねー、目立たず騒がず、サポートしてこうねー」
残りのメンバーもやる気になったらしい。屈伸運動を始める奏と、仕方ないとばかりに深呼吸する言葉。ある意味いつも通りののんびりぶりの石崎。
気負った様子がないのはいい傾向だ。
「じゃあ、よく見ててくれよ南雲、俺の、いや、僕たちの戦いをね。チェンジ・ドレスアップ!」
「「「「チェンジ・ドレスアップ!」」」」
真崎に続いて他のメンバーも探索用の戦闘服に着替える。
まず真崎は和服を着た姿になっている。上が白でしたが紺の着物姿だ。どこぞのアルセーヌ・ルパンの三代目が連れてる仲間に似たような恰好だ。ただ手にしている刀はやたらと豪奢だ。秋彦にはよくわからないが装飾が本格的にされているように見える。
次にエミーは日本の甲冑姿だ。鎧も兜も日本風。はっきり言ってイメージに合わない気がするのだが。そして腕にかなり大きめの手甲を付けている。
奏は鉢金に、口元を覆う布。半袖の上衣、袴に脚絆。草鞋に足袋。エミーの物程ごつくはないが手甲もつけている。
これはもう間違いない。忍者だ。奏は女子だからくノ一というべきか。色合いも全体的に黒に近い濃い赤色をしている。懐から苦無、腰には忍刀を取り出し、チェックをして再びしまう。手甲から針も出している。あちこちに武器を仕込んでいるらしい。
言葉は紫と黒を基調としており、フードにマントを着込み、その中はドレスの様に綺麗でありながら下品に思わせない程度に色気を感じさせ、年相応に見えさせない。
手にした杖は両手で持つタイプの大きなもので月をイメージしたような先端の装飾がとてもきれいだ。
最後に石崎は、とてもオーソドックスだ。全体的に黒をベースに据え、大きくつばの付いた三角帽子にコートのいでたちはまさに魔法使いの典型と呼ぶにふさわしいだろう。手にしている杖は少し小さめだが、片手で持つにはちょうどいいタイプの物だ。
前衛組がやたら日本を強調しているような恰好だけあって、後衛二人はほっとする見た目をしている。
「……前衛組、なんでそんなジャパンジャパンしてるわけ?」
「装備整えたらなんかこうなっちゃったんだよ! 私だって、もっとこう……かわいい格好がよかったんだけど、上下が早く揃っちゃったから使ってたらなんか使い心地よくなっちゃって……」
奏は半泣きである。本人からしたらあまりいけてない格好らしく、不満たらたらの様だ。
反対に意気揚々と装備を自慢するのはエミーだ。
「俺は気に入ってるけどな。防御固める意味でもイカしてるだろ?」
ビシッとポーズをとって見せている。が、どうにもお茶らけてるので微妙に似合ってないのは言わぬが花というものか。
最後に真崎がため息交じりに何のこともないように言う。
「僕はまあ、ある意味いつも通りかな。別に奇をてらってるつもりはないよ」
「あらそうなの。まあいいんだけどな。見た目より戦えるかどうかだ。どれだけやれるか、見せてもらうぜ」
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