第百九話 石動優太の日常 朝
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「ん、んん……もう朝か……」
皆さん、おはようございます。僕の名前は石動優太。高校に通いながら実家の手伝いと探索者をしています。
朝、目が覚めると目覚まし時計が朝を知らせています。
眠いけど、体は調子がいいです。学校は補習期間に入っており、テストの点数がよかった人たちは一足早い夏休みに入っているので、しばらくは探索者と実家の手伝いに専念できます。なのであまり早く起きる必要もないと思われるでしょうが、最近はそうもいかないのです。
なのでまずは身支度をします。洗面台に行き、顔を洗って髪をとかし、歯を磨き、とりあえずこんなものですね。
「お父さん、お母さん、おはよう」
「おう、優坊おはようさん。もう飯出来るぞ!」
「おはよう優ちゃん」
『おとーさん、おはようです!』
挨拶をすると、全員から挨拶を返されました。どうやら今日一番の遅起きは僕のようですね。コロナよりも遅いとは。
リビングへ行くとお父さんがキッチンで料理を作っていました。お母さんは洗濯機を回し、コックスーツにアイロンをかけているようです。僕の家では家での料理はお父さんの仕事なので。コロナはのんびり椅子の上で顔を洗っていました。
そしてお母さんがアイロンがけを終わらせたタイミングで料理が出来たようでお父さんから声がかかります。
「よし、飯が出来たぞ!」
「はいはい、運ぶよー」
「今日も美味しそうだねぇ」
『おじーちゃんのごはん、おいしそうなのです!』
「おう、コロ坊の飯はこれだぜ、しかしすげー匂いだ……」
『わーい、おじーちゃんだいすきですー!』
はい、作っておいていうのは何だけど僕もそう思います。
あれ、塩分だけでなく香辛料もだいぶたくさん入れてます。人間が食べたら舌が馬鹿になるうえに血圧が大変なことになると思います。最悪死ぬとさえ思います。
でも、魔物的に味にも体調にも問題ありません。これは僕が初級ダンジョン後にしれっと持っていた生産スキル【料理】で作ったものですし、教官役で入った入門ダンジョンで偶然手に入れたレシピ本【まものごはん~従魔喜ぶ美味しいごはん】に書いてある【魔物用万能ダレ】のレシピをもとに作成されているので間違いありません。
実家が料理屋で、僕も結構家の手伝いしてましたしね。秋彦の格闘術の様に、こういうスキルがあるならすぐ生えてくる下地はあったようです。
「よし、じゃあ、いただきます!」
「「いただきます」」
『いただきまーす、です!』
………………………………
食事を終えたら、着替えを行います。お母さんがアイロンをかけてくれたコックスーツを着て、前掛けををして、靴も滑り止めがしてある作業靴へと履き替え、両親と、午前中の僕の戦場である一階にある、赤龍の厨房へやってきました。
「じゃあいつも通り仕込みからだね……」
いつものように早速仕込みを開始していきます。
仕込みとは、料理をすぐに作り始められるように、あらかじめ下拵え、つまり、食材をすぐに使えるように一定の大きさや形にしておいたり、すぐに調味料を使えるように用意しておくことです。中華鍋を温めておいたりするのも作業の内ですね。
まあここは慣れたもので、さっさとやっていきます。仕込む量は最近ちょっとすごいのですが。
僕は最近だと基本的にオーク肉の仕込みをやっています。あれは魔法力がちょっとあるので、料理スキルが高い方がやると、補正が高いです。
父も母も入門ダンジョン攻略を行った事と、料理を生業にしていることから料理スキルは持っていますが、探索者としてスペックが違いすぎるので、料理レベルは僕の方が上になっています。
料理レベルは現在母が2、父が3、僕はが5あります。倍近くの差です。
家族全員料理レベルがあり、割と高い事で、通常の料理にも魔法力が乗るので、今は大量にお客さんが来るようになりました。なので仕込みもちょっと大変です。
もっとも、料理レベルのおかげで通常の料理の速度や料理の出来も良くなっているので今や商店街の名物店となっています。
そのおかげか最近は、アイドルタイム(店を開けている間にお客さんがいなくなる時間の事です)が全然なく「暇している時間がここんとこ全然ねーぞ!」と、最近お父さんが嬉しそうに愚痴をこぼしているのをよく見ますよ。
売り上げもすさまじいほどに伸びていて、現在は日の売り上げが恐ろしいことになっています。お母さん曰く、「この売上なら物価上昇を差し引いても十分利益を上げられている!」らしいです。
探索者用メニューとしてオーク肉を出す代わりにかなり高い値段のメニューも今は出しているので、その影響ですね。勿論取りに行くのは僕らです。
金銭のやり取りも、ギルドに売買後にやり取りをした金額の書かれた書類を提出することで、税金関係を一任出来ているので安心です。
………………………………
開店時間が迫っていますが、仕込みも上々、食材上等、準備は万端です。
今日も忙しくなりそうですね。余裕があるのでふとコロナの方を見ると、店の片隅に敷かれた小さな座布団で寝ています。
コロナは今や赤龍の看板従魔です。定位置で招き猫の代わりをしているだけだけど、常連さんたちにも可愛がられているし。
それに、もしガラの悪い探索者が店に来て悪さをしようとも、コロナが相手になることが出来ます。コロナは赤龍の番人であり、看板従魔なのです。
……まあそうはいっても、僕の実家で悪さしようなんて言う客もいないんだけど。
僕の実家で暴力沙汰なんて起こしたら、僕も黙っていないし、僕を黙らせられてもレインボーウィザーズを引きずり出すことになる。蛮勇もいい所です。
今僕と秋彦は、イメージアップ運動も相まって、秋彦は【龍を従える者】や【無属性の使い手】に【槍の南雲】といった感じで通り名が出来ています。
僕は【灼熱王子】とか、【BB】とか【タイガーマスター】みたいに呼ばれています。
……BBに関しては爆破狂よりはましだと思いますし、秋彦から「親友と爆発はもう切っても切り離せねーよ、諦めろって」とまで言われているので諦めました。
他にもジュディさんは【戦乙女】に【白馬の少女】に【大地の淑女】という風に。
桃子ちゃんは【戦場の歌姫】に【探索者系アイドル】に【赤い結晶の光】とか。
茜ちゃんは【和弓を持つ大和撫子】に【聖水令嬢】に【海原渡り】という感じで通り名が出来ています。
これらはすべて、僕らが出演した探索者のイメージアップ番組のダンジョンチャレンジャー! 迷宮へ挑む人々、の中でつけられたものです。
そう、僕らはもうとうとうテレビデビューまでしているのです。はっきり言ってもう顔をどう隠しても逆にばれるレベルなのです。
その番組で強さの検証とか、戦闘力とかいろいろ公開しています。プライベートまで根掘り葉掘り聞かれました。もう聞かれていないことの方が少ないかもしれません。僕らの顔はもはや全国区です。
だいぶ話が脱線しましたが、とまあこんなわけで、うちの店で人が暴れたという話は僕がいなくてもありません。ここら辺は安心です。
後、この放送でうちの店を紹介したこともあってお客さんが多くなっています。その関係でこの商店街全体の売り上げが上がっているとかでとても感謝されています。
「優坊、そろそろ時間だ! 母ちゃんも用意はいいな?!」
「あ、はーい!」
「はいよ、開けるからね!」
そうこうしてたら、開店時間になったようです。さあ、今日も戦いの様な時間が始まります。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は11月21日午前0時予定です。
よろしくお願いします!