第百八話 龍素材の装飾品
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
気を取り直して、秋彦はドラゴンズライフを手に取り読んでみる。
基本的なところは今までのレシピ本と変わらないが、やはり出来る物が他のレシピ本にはない物ばかりだ。幼龍の素材を使うものが多いのでワクワクする。
「そういえば昨日から骨加工スキルのレベル上がった?」
「まあね。とりあえず必死こいて3にしておいた。レベルが上がるとやっぱり込められる魔力も変わってくるから、つけることで増える戦闘力にも差が出て来るよ」
「あら、たった一日でずいぶん上がったのね?」
「俺ら全員Lv28だからな。このレベル帯になりゃ、とっかかりの技能さえ習得しちまえばこんなもんよ。にしてもいろいろあって目移りするな。どれ作ってみよっかね」
パッと見ただけでも面白そうな効果を持つ道具がいくつもある。
例えば以前から目を付けていた龍の角笛は、角から作ることが出来る道具で、吹くと材料の龍にどこにいても居場所を教えることが出来るらしい。つまり、龍之介に居場所を教え、迎えに来させることが出来るようになる道具になる。それ以外にも違う龍を遠ざける効果もあるようだが、そっちは別にどうでもいい。
また、角は砕いて粉にしてからポーションと混ぜることにより、ポーションの効果を大幅に上昇させる【龍角紛】というものにもなるらしい。龍の素材は薬としても重宝されるようだ。
だが、もっぱら多いのはやはり武器と防具、そしてアクセサリーといった物だ。【ドラゴンクローイヤリング】【ドラゴンバイトリング】【ドラゴンスケイルネックレス】といった、半ば素材そのままのアクセサリーでさえ、職人がきっちりと加工し、仕上げれば肉体力や魔法力を大きく上昇させることが出来るらしい。
ただし、加工の難易度も相応に上がる。
だがそこは、骨加工スキルLv3だ。昨日必死に上げておいた甲斐があるというもの。さっそく始めていこう。
まずは龍の角笛だ。これがあれば龍之介をいつでも呼ぶことが出来るようになる。まあ転移魔法があるのだから使いっ走りのようにするつもりもないが、作っておきたい。
レシピ本を見る限り、制作方法は単純明快。龍の角における付け根部分を削って中空にし、細い先端部分に穴をあけるだけだ。だが想像以上にデカい。まあそこら辺はマジックバッグもあるので別にいいのだが。
次に興味を引くのは龍の鱗だろうか。龍の鱗を使ったネックレスだが、最低でも肉体力300プラスはなかなか惹かれるものがある。
ともかく始めていこう。
「さて、やりますか……」
「頑張って。見てるから」
………………………………
「よし……まずはこんなもんか」
「お疲れ様。そろそろお昼よ」
「おお、そうだな。飯にしようか」
最初に作った龍の角笛は比較的あっさり作ることが出来た。試しにちょっと吹いてみたが、結構難しく、はじめは吹くことが出来なかった。少し練習をして、何とか吹くことが出来たが。
そして次にドラゴンスケイルネックレス作りを始めたのはいいが、まさか最初にやる作業が素材を加工して素材として使えるようにするところからだとは思わなかった。まあ言われてみれば確かに素材として使うのにはかなり大きい。例えば鱗は大体拳一個分くらいある。それを削り、小さくしてから素材として使うのだ。他の素材も同様だ。
しかしその削ってちょうどいいサイズまで削るのが地味に大変だ。
龍の鱗だけあってかなり硬いので、鉄やすりで削っていくのだが、魔力を道具に込めながらやらなければならないため、非常に骨が折れる作業だ。
それでもドラゴンスケイルネックレス一つにつき鱗三枚必要な中でなんとかメンバー全員分の鱗を用意できた。この龍の鱗はメンバー全員に配る予定だ。とりあえずでも持っておいた方がいいだろう。
「にしても悪いな、折角来たのに構いもせずに家事やらせただけになっちまってるし」
「承知の上で来ているんだからむしろこれでいいのよ。さ、今日はお弁当作ってきたの。食べて?」
「うっわ、本当に悪いなそこまでしてもらっちまって」
とりあえず食事を地下室で食べるのは辛気臭くて嫌なので、地下室を出てリビングへ戻る。エリザベスも龍之介もお腹を空かせていたらしく、二人が来るのを待っていた。
『パパ! おなかすいた!』
『お母様、小父様、私もお腹がすいてしまいましたわ』
「……そうだったわ、ごめんなさいね。エリーと龍ちゃんの分も作らなきゃいけなかったわ……」
「どっちみち龍ちゃんは結構食うから、ジュディが作ってきた分じゃ多分足りなかったと思うし、俺が肉焼くさ」
早速調理開始である。とはいっても、深めのフライパンにこれでもかというほどにオーク肉を入れ込み、優太謹製魔物用焼き肉のたれを豪快に使い炒めていく。
かなりスパイスがきいているようで刺激的なにおいがする。龍ちゃんは待ちきれなさそうに机の上で羽をパタパタと動かしているが、ジュディにとっては少々きつそうだ。
「うわ……結構においがきついわね……」
『わーい、ゆうたおじちゃんのやきにくのたれだー! りゅうちゃんだいすき!』
『……た、確かにずいぶんおいしそうなにおいですね。オーク肉というだけでこの匂いは出せないですし……あまりお肉は食べないのですが、今日は秋彦小父様のお肉を頂いてみましょうか』
「え?! エリーがお肉を進んで食べる……!?」
「あー、これな。最近になって親友がコロナちゃん用にレシピ本から作ったらしいんだよ。普通動物は薄味や味なしの物しか食わせちゃいけないんだけど、どうも魔物は味が濃い方が好みらしいぜ?」
予想外の反応を示したエリザベスに驚愕するジュディだが、秋彦がフォローを入れた。
さっさと肉を焼き、皿によそう。
「ほれ、出来たぞ」
『わーい! いただきまーす!』
『い、いただきますわ。……あら、美味しい!』
「え、美味しいの!?」
「やめとけやめとけ。食ってみたけど舌が馬鹿になるぞ」
実際作った優太でさえ、薄めないと人は食べられない。あっという間に高血圧になる。と言っていた程だ。人が食べるべきではないだろう。
人が食べるべきなのはやはりこちらだろう。
「さて、俺らも頂くとしようか。母さんや親友以外の手料理を食うのは久しぶりだ」
「お口に合うといいのだけどね」
「じゃあ、いただきます!」
両手を合わせていただきます。日本人としては当然だと思う。ジュディは両手を組んでのお祈り。ここはキリスト教圏の作法らしい。
改めて弁当箱を開くと、彩り豊かな弁当が広がっていた。卵焼きに野菜の炒め物にプチトマトという、黄色、緑と茶、赤という具合で、野菜に肉と栄養バランスもしっかりしてそうだ。
まずは一口食べてみる。
……美味い。
卵焼きはちょっと甘めだが、好みの範疇と思われるし、野菜炒めはあまじょっぱく、こちらも美味しい。
イギリスと言えばメシマズとしても知られているので、ここまでおいしく料理が出来るというのは意外だ。
「美味しい! へぇー、失礼かもしれないけど、料理できるんだな」
「ありがとう。日本に来てから料理を覚えたけど、やっぱり日本の料理はおいしいわね」
「……まずいって聞くもんなぁ」
「安い所のはまずい所が多いわね。美味しい所もあるけど基本高いし」
しみじみと頷く。やはり自分の故郷であっても思う所はあるらしい。
「しかし家事もばっちり料理も出来るってすごいな。俺もやれるようになったのは最近なのに」
「手放しでほめられると照れるわね……えへへ」
「ほんとほんと、こりゃいい嫁さんになるわ」
「……あら? それは嬉しいわ。それは貴方が私をお嫁さんに貰ってくれると言う事?」
蠱惑的な表情でジュディがそういうと、秋彦が思わず噴き出した。
自分の発言がそう飛ぶとは思っていなかったらしい。
「……あ! え、ちょ」
「うふふ、冗談よ」
「あーもう、悪い奴だなぁ。は、早く食べて続きやろう」
からかわれて、秋彦は顔を赤くしてしまった。先に言い出したのは秋彦なのだが。
………………………………
「じゃあ、取り合えずこれ、ネックレスな。そのイヤリングもそのうち作り直すよ」
「綺麗ね本当に。ありがとう」
夕方を過ぎ、日も落ちた頃になって作業を終え、メンバー分のドラゴンスケイルネックレスを作り終えたのでまずはジュディに渡しておく。
「この後どうする? 赤龍にでも行くか?」
「せっかくだし、そうしようかしら」
「うし、じゃあ行くか」
そういって赤龍に行く二人を後ろからついていく龍之介とエリザベス。
『なんか、ほんとうのパパとママみたいだねー』
『ふふふ、それはあの二人の前では言っちゃだめよ?』
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