第百六話 秋彦の意外な特技と進化する衣装
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「はい、食後の洗い物終わりっと、次はお洗濯でもしちゃおうかしら?」
「ちょ!? 洗濯はいいってもう洗濯機回してるし! 洗濯物の中には下着あるんだから勘弁してくれよ!」
「はいはい、じゃあ掃除しちゃうわね」
「風呂とトイレはやってあるから、掃除機だけでいいぞ」
「わかったわ」
二人そろっててきぱきと家事を行っていく。
ジュディが秋彦の家の家事をやらせてしまっているのは秋彦としては少々心苦しいが、本人がやるといった以上やらせないのもおかしな話だと思っての事だ。
それにしてもジュディは割と家事の要領がいい。洗った食器の並べ方も掃除機掛けもそつがない。誰かに習っていたのだろうか?
お嬢様が家事やるというのは失礼ながら想像もしていなかったがきっちりできるようだ。洗濯をやると言い出した時は秋彦も焦ったが。
流石に同年代の女性に下着を洗濯されるのはちょっと恥ずかしいものがある。
と言ってもさっきも言ったがすでに洗濯機はもう回しているので、後は洗濯が終わるのを待つだけなのだが。
ちなみに今回は血染めの衣装も洗濯機の中に入れてある。いくら魔法力があるものは大体がメンテナンス不要の代物になるとはいっても気分としては洗濯しておきたいので、時々洗濯は行っているのだ。
もう少しで洗濯が終わるタイミングで、地下室のカギを開け、地下室にアイロンとアイロン台を持っていく。
そして洗濯が終わったところで洗濯物を取り出し、一旦アイロン台に濡れたままの衣装を置いて地下室のカギをかける。そして庭の物干し竿に洗濯物をぶら下げていく。すべての洗濯物を干し終えたところで、ジュディから声がかかる。
「秋彦、こっち終わったわ」
「ありがとう。こっちも後は血染めの衣装にアイロンかけるだけだ」
「あら? あれ洗ってるのね。というかなぜ地下室に?」
「ああ、俺探索で得たものって皆地下室に置いてるんだよ。地下室に続く扉はこの家で唯一外に着ける物並にカギと扉が頑丈なんだ」
「そうなのね……」
秋彦に言われてよく見てみれば、地下室の扉は階段を下りた先にあるし、扉自体もかなり頑丈そうにできている。
「というか昨日も思ったけど、日本で地下室のある家ってかなり珍しいわよね?」
「両親はアメリカで仕事してるからな。大学もアメリカで留学して卒業したんだってさ。そのせいか結構かぶれてるところあるんだよね。日本にも地下シェルターいるとか言い出すくらいだし」
「あら本当。でもそういうのはいいと思うわ。ミサイルなんて飛んでこないと思って気を抜いているよりはね」
「まぁおかげで面倒もあったけどな。他の何が出来なくてもこれだけは出来ておけって言われて英語とかみっちりやらされたし」
それを聞いて、ジュディは意地の悪い笑みを浮かべ、バリバリのネイティブの英語をしゃべってみた。
『そうなの? でも文法だけじゃだめよ。言葉は話をするための物なんだからね』
『分かってる、安心しなよ。言っただろ、みっちりやらされたって。読み書きも会話もビジネスで英語使ってる両親から鍛えられたんだからな』
秋彦の英語を聞いてジュディはぎょっとした。英語で話したのにしっかり英語で返されたからだ。しかもアメリカ英語だがちゃんとしている。
「……どーせ日本式の読み書きだけしかできないようなの想像したんだろ? お生憎様」
「びっくりしたわ……まさかそこまでちゃんと話せるなんて思ってなかったもの……」
「俺は勉強きらいだけど、これだけはきっちりやったんだよ。親友さえ、英語の宿題は俺に頼むくらいだったしな」
「そうなのね……ねぇ、時々でいいから英語で話をしてもいい?」
「たまには聞き喋りしないと腐るし、いいよ。さてアイロンをかけなきゃな」
秋彦は、意外な共通点を見つけて内心嬉しいジュディと一緒に地下室に降りてゆき、鍵を開けて中に入った。
中に入ったら、服が宝箱漁ってた。そして、服が光ったと思ったら……服が鎧になった。
「「……は?」」
二人そろって間抜けな声と顔になるのも仕方ないというものだろう。正直途中から見ていたというのに何が起こったのかがわからない。
見ていて分かったのは、血染めの衣装が、まるで透明な人間が着ているかの如く動き、探索で得た様々な素材アイテムなどが仕舞ってあるダンジョンから持ち帰った宝箱を漁っていた事。そして宝箱を漁っていたら、突然衣装が光り出し、光が収まったと思ったら、衣装が無くなっており、近くに衣装を元にした鎧としか言いようのないデザインの鎧が置いてあったのだ。
その鎧は衣装ではなく、鉱物特有の光沢を放っている。
上半身は飾り付けが派手な肩当と頸当、胸当には龍の顔の様な装飾が施されていて、下半身は腰当と草摺がある。
はっきり言って見慣れた血染めの衣装から布地部分を切り取って、そのまま全部金属にしたかのような感じだ。だが、正直頭で理解が追い付かない。
「……いやいやいやいや待て待て待て待て」
「え、えっと……何、今の?」
「ていうか本当に待ってくれ、え、これ何? 『力よ!』アナライズ!」
二人とも目の前で起きたことのよくわからなさに気が動転している。
秋彦はとりあえず、鎧を手に取りアナライズをかけてみる。
【フィールドキメラアーマー(龍)】
≪血染めの衣装に宿るフィールドキメラゴブリンの魂が、衣装を着る主人に後れを取らないよう自らを研鑽するために高位の素材を取り込み、鎧として進化した物。
幼龍の素材と、魔法鉱物を取り込むことにより、更なる力を得ることに成功した。
今後も主の成長に従いさらに成長する。
肉体力+5000
魔法力+2500
特殊効果:
滑空(着ている間に空から落ちるとき、鎧から羽を生やし、滑空する)
???(さらなる成長にて解放される)
特殊能力:成長Lv2→自己改造Lv1(持ち主の成長に従い、自ら素材を取り込むことで肉体力と魔法力を上昇させる)≫
特記事項:ユニークアイテム(この世にたった一つしか存在しえない装備である)
使用者制限:南雲秋彦のみ
説明文を見て秋彦は呆然とした。ジュディも絶句している。
「ななななななな、なんじゃこりゃー!!!」
「これは……とんでもない物が……」
しばらく経って思わず絶叫する秋彦。もはや二人の頭からは、今日来る予定であり、楽しみにしていたドラゴンズライフの事は頭から抜け落ちていた。
ピンポーン!
……インターホンが鳴るこの瞬間までは。
「あ、はーい」
『すみません、お届け物ですー!』
「今行きますわ、少々お待ちください」
流石に今の秋彦に行かせられないので、ジュディが応対する。
ジュディもそろそろ色々なことが一気に置きすぎて頭がパンクしそうになっていた。
とりあえず何とかドラゴンズライフを受け取り、地下室に戻ると、まだあわあわとしている秋彦がいた。
「……そうね、こういう時はティータイムにしましょう。それがいいわ」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は11月12日午前0時予定です。
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