第百五話 ジュディの支度
累計PV数147万突破、総合評価8300pt突破、感想数140件突破しました!
そして河守広隆様より、3つ目のレビューを頂きました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
次の日、ジュディは寮にあてがわれた自分の部屋で、早々と起床し、秋彦の家に行く準備を始めていた。ジュディは内心秋彦の家に行くのを楽しみにしていたのだ。
たまたま昨日と今日は予定がなかったことも幸運だった。流石に現在ジュディがメインで行っている、日本国内外にある探索者関連の企業に対してのパイプを作る予定を潰してまでやることではない。
昨日も秋彦の家には行ったが、昨日はたまたま会ったその場で、その場の流れで決まった事だ。用意も何もないままに来てしまったことをジュディは少し後悔していた。
昨日の服装はシャツに半ズボンというかなりラフだった。下着もあまり飾り気のない物だった。意識している異性の家に行くには可愛らしさがないと言えただろう。
しかし、あらかじめ行く約束をしているので今回は準備ができる。
まずは軽く身だしなみを整え、自分に合う香水を選び、服装も下着から慎重に選ぶ。
彼はどういう服装を好むのだろうと、思い浮かべながら、いくつもの服を鏡の前で当てて、自分がその服を着ているところを想定する。
とりあえず下着は綺麗なレースの白い物を選ぶとして、これに合う服は何だろうと、思案する。
「……やっぱりワンピースかしら? エリー、貴女はどう思う?」
『お母様はどんな服でも素敵だと思いますわ』
突然話を振られ、当たり障りのない回答を返しておくエリザベス。
尚、エリザベスはここでは手乗りの大きさになっており、ぬいぐるみ扱いで部屋にいる。流石に寮なので、ペットを置いておくような場所がないのでほぼ仕方なくだ。
ファッション誌では、清楚で可愛らしいワンピースは男性受けするらしい。ならば自分が今一番気に入っているワンピースを着ていこう。ならば合わせる香水はこれだろう。
そう思い、着ていく服をワンピースにし、つけていく香水を決定した。
着ていく服が決まったら、次はお弁当を作っていこう。家庭的なアピールに繋がるらしい。
思い至ったので、とりあえずラフな物に着替え、寮の厨房を借りる。食材も後でお金を払うことを条件に使っていいことになった。
流石に一流のお嬢様学校の寮にある厨房だけあって、調理器具や材料も様々な物がそろっている。
弁当箱も様々なサイズがあったので、秋彦の体つきから想定し、秋彦の為の大きめのものと、ジュディが使う為の少し小さいものを使い、簡単な炒め物や卵焼きなどで弁当箱を埋めていく。
このくらいは家庭科の授業で習う範囲のものだ。彩も野菜を入れてきれいに仕上げ、これで完成だ。
これで大体の準備が出来たので、最後にシャワーを浴び、決めた服に着替え、香水をつけ、作った弁当をバッグの中に入れ、準備完了だ。
「準備完了ね。エリー、出るわよ」
『はい、ではバッグへ入りますね』
声をかけられたので、さっとバッグの中に入る。
そして、寮を出る。寮を離れてしばらくしてからエリザベスをバッグから出す。
……尚、ジュディがエリザベスという従魔を寮の中に入れていることは秘密なのだが、半ば公然の秘密だ。ジュディが寮に住んでいる以上はそこ以外いる場所がないのは誰が見ても明らかだ。
だが学校側は知らない。そういうことになっている。探索者稼業で有名になっているので仕方ない一面もあるのだ。
「じゃあお願いできる?」
『はい、お任せください、秋彦小父様の所までですよね?』
「ええ、そうよ。いつも悪いわね」
『いえ、走るのは大好きですから』
エリザベスはそういって、体長調整で大きくなっていく。
体長調整で少し時間が出来たので、秋彦に個人チャットでメッセージを送る。
≪おはよう秋彦! 今日はいい天気ね! 今寮を出ました。エリーに乗って行きます、今日は楽しみましょうね!≫
少々テンションの高い文かもしれないが、こんなものだろう。
そうしてエリザベスが大きくなるのを待っていると、秋彦から返信が来た。
≪分かった。待ってる≫
飾り気のなく、短い文章だ。思わず苦笑いが出てしまう。らしいと言えばらしいのだが、ちょっと寂しい気もする。
そうこうしていると、エリザベスの体長調整が終わったらしい。
『お母様、準備が出来ました。お乗りください』
「ええ、ありがとう」
エリザベスから声がかかったので、ふわりとエリザベスの背中に乗る。鞍も手綱もない馬の背中だが、ジュディの従魔であることもあって何の問題もない。
「じゃあ、お願い!」
『はい、ではいきますよ!』
………………………………
『到着ですお母様』
「ええ、ありがとう」
エリザベスから降り、降りたことを確認してから、エリザベスは再び体長調整で体を縮める。
今のエリザベスなら東京から埼玉南部程度なら15分ちょっとの距離である。肉体力800は伊達ではない。
さっそくインターホンを鳴らす。すると慌てた様子の秋彦が出てきた。
『はい! 南雲です!』
「ハーイ、私よ」
『ああ、ジュディか……え?! も、もう来たのか!? さっきメッセージ来たばっかりなのに……?』
「うふふ、私も驚いたわ」
『ふふん! 肉体力800が本気を出せばこんなものですよ!』
『そ、そうか。まあいいや今行く』
どうやら宅配業者と勘違いしたらしい。
しばらく待っているとどたどた音がしたと思ったら、鍵が開き、秋彦が出てきた。
「おっす、昨日ぶり。入ってくれ」
「ええ、お邪魔します」
『お邪魔します』
さっそくリビングに入ると、龍之介がソファで高いびきを掻いて寝ていた。ばつが悪そうに秋彦がジュディ達に話す。
「龍ちゃんは朝飯食うとすぐ二度寝するんだ。悪いな……」
「別にいいわよ。かわいいじゃない」
『困った子ですねぇ全く』
ジュディ達は笑って流したが、秋彦にはなかなか恥ずかしかったらしく、顔が真っ赤になっていた。
「で、こんな早く来ると思ってなかったからまだ家の事さっぱりなんだわ。悪いんだけどもうちょい待っててくれん? 本命のドラゴンズライフもまだだしさ」
「あ、それなら私も手伝おうか?」
「……いいのか?」
「構わないわよ。それくらいなんてことないし」
それにここで家事も出来るところを見せておけば、高評価につながるかもしれない。という打算もジュディにはあったが、あえて言うことはなかった。
「うーん、客にやらせることじゃねーんだが……わかった。ちょっと手伝ってくれ」
「ええ、任せておいて。こう見えて家事だって習ってるんだから! お嬢様でも出来るってところ、見せてあげるわ!」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は11月9日午前0時予定です。
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